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  1. 茨城県議会 2008-10-21
    平成20年農林水産常任委員会  本文 開催日: 2008-10-21


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 午前10時30分開議 ◯加倉井委員長 ただいまから農林水産委員会を開会いたします。      ─────────────────────────────── 2 ◯加倉井委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  新井委員と磯崎委員にお願いいたします。      ─────────────────────────────── 3 ◯加倉井委員長 本日,農林水産部長から,清田農地整備課長が体調不良のため欠席する旨の届け出があり,委員長においてこれを受理しましたので,御了承願います。      ─────────────────────────────── 4 ◯加倉井委員長 次に,本日の日程について申し上げます。  本日は,本委員会の閉会中の活動テーマであります「安全・安心で付加価値の高い農林水産物を提供していくための生産,販売,情報提供等」に関しまして,3人の参考人の方々から意見聴取を行いたいと存じますので,よろしくお願いいたします。      ─────────────────────────────── 5 ◯加倉井委員長 それでは,これより議事に入り,参考人の方から意見聴取を行います。  まず初めに,有限会社ユニオンファーム代表取締役いばらき農産物流通研究会の事務局長を務められております玉造洋祐様より御意見を伺いたいと思います。  意見聴取の進め方でございますが,初めに参考人の方から御意見をいただいた後,意見交換を行いたいと思います。  玉造様におかれましては,本日大変お忙しい中,本委員会にお運び,お越しをいただきましてまことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして,心より御礼を申し上げます。  玉造様のプロフィールにつきましては,お手元にお配りしてありますが,適正な農業生産工程管理認証制度でありますJGAPの認証取得にいち早く取り組まれ,全国組織である日本GAP協会の理事も務められるなど,県内にとどまらず広く御活躍をされております。  それでは,早速お話をいただきたいと思います。  なお,御説明にはスクリーン画像が使われますので,委員の皆様で画像が見えにくい場合は,適宜,席を移動してごらん願いたいと思います。  それでは,玉造様,よろしくお願いいたします。 6 ◯玉造参考人 ただいま御紹介いただきましたユニオンファーム玉造と申します。
     私ども,ユニオンファームを含めまして,茨城県内,現在36農場が加盟しております,いばらき農流研農産物流通研究会という正式名称がありますが,若干名前が長ったらしいということで,農流研という略称を使わせていただいております。  この取り組みの中で,2006年の3月から活動を始めたわけですが,その中のGAPという部分について御説明をさせていただければと思います。  このグループをつくるきっかけとなったのは,皆さん御承知のように,昨今食品の安全について社会問題化されている部分があるかなと。これは農産物も例外ではないというところから,根拠ある安全・安心をお届けしようと,その取り組みの中で有利に販売をしていくわけですが,生産者もやはり現在取り組みとして不足している部分もあるであろうと,やらなければならないことはあるであろう,という認識の農場生産者を募って活動を始めさせていただきました。  まずは信頼される生産者グループを目指すというところで,現在,青果物,特に野菜の自給率は70%を超しておりまして,その中で産地間競争,県内外と繰り広げております。その中で流通業者の方々,小売店,外食というユーザーの方々に満足できる農産物,彼らのニーズに合致したものを生産し供給することが,安定的な販売,安定的な経営につながるだろうというところから,こういうテーマを掲げております。  資料の方,進めさせていただきますが,簡単に概要を説明させていただきたいと思います。  生産者は地域をまたがっております。現在ここにありますように7市町村にまたがっております。中核となっておりますのが,行方市,茨城町というところになっておりますが,複数の市町村にまたがっております。  正会員を生産者,農業生産法人ということになっておりますが,このほかに賛助会員ということで,我々と利益をともにする者ですね,資材を供給する側,そして流通業者,彼らは我々生産者がいかにもうけていけるかという部分に利益を共通しているわけですね。私も前職,農業資材を販売する側におりました。その中で危機感を感じております。やはり,お客さんである生産者が減っていけば減っていくほど,事業継続の危機という部分を,今後10年先を見据えていった場合に必ず起きること。その中で生産者現場をいかに盛り上げていくか,これが大きな課題でした。その中で生産者みずからが取り組むこうした取り組みには,こういう会社の皆様にも多大な御協力をいただいております。  取り組みとしましては,メーンのもの,やはり生産して販売をすること,ここが中核となっております。それに付随する機能として,集荷,そしてお客様のセンターヘの配送という部分の物流機能,そして農産物に関する研究ですね,根拠ある農産物づくりということで,茨城県におきましても農業総合センターにも御協力をいただいております。その中でそれを根拠にした販路を開発すると,主にこのグループでは私の方が販売促進の担当をさせていただいております。  さらに,今回御説明させていただきますが,JGAPに基づいた農場管理基準というものをつくらせていただきまして,全員でそれを運用しております。  次のページにいきますと,生産・販売の共通認識,これはやはりつくる人がこれだけ多い人数がおりますと,さまざまな視点でやられております。  過去からさかのぼっていきますと,やはり生産者現場におきましては,品質の追求はもちろんのことですけれども,どうしても収量という部分に注目が置かれている経緯がございます。戦後,食料難から生産者の収量をふやしていく,食料を安定供給するという視点があったわけですが,ここにきて飽食の時代を迎え,農産物が余っている状態になっております。その中で選ばれるためには,やはりこういった安全で新鮮でおいしいもの,安心というのは,我々が提供する情報をもって食べていただく方,買っていただく方がそれを判断して得られるもので,我々が提案で提供できるものはこの3点にとどまるかなと。すべての生産者,多かれ少なかれこの視点は持っていると思いますが,我々の取り組みとしては,その明確な根拠を持ちましょうと。うちの農場の野菜は日本一ですよと,おいしいですよと,安全ですよと,これはやはり日本国内すべての生産者が口にすることだと思いますが,買い手側に立ってみた場合に,ではどれぐらい安全なのですかと,どこと比べておいしいのですかと言われた場合に,やはり答えようがないわけですね。その中で一番わかりやすい方法は,やはり数値化である部分だと思います。  そこをできれば数値化していくと。もしくは違う論理的な根拠を持つという取り組みをしていこうと。その中で農産物の安全を確保する。そしてそれを高めていくということも一つの取り組みでした。  昨今問題となっておりますのが残留農薬,国内の野菜に関しても残留農薬基準値違反という事故は起きております。そのほかにも,病原性の細菌ですね,O-157の事件もありましたし,大腸菌,サルモネラ菌,そういったさまざまな食中毒,人間の健康を脅かすような細菌というのが農業生産現場にはございますし,農産物に付着する可能性は十分に考えられるという状況です。  また,ここ最近の一大テーマでありますが,軟弱葉菜類,例えばホウレンソウ,コマツナ,チンゲンサイ,みず菜,茨城県でも主要な品目がございますが,ここに含まれる硝酸態窒素が人体の健康被害をもたらすのではないかということで,今,各産地がさまざまな取り組みをしているところでございます。  このほかにも,これは買い手側のところでたくさんと出てきておりますが,異物の混入ですね,そして表示ミス,特に最近は認証制度が幾つかできておりますし,特別栽培,あと有機JASといったような表示の制度があります。その中で表示ミスというのが現に起きているということ。こうした食品の農産物の安全性を脅かすような事例というのが,今の生産現場にあるという事実から,これを解決する仕組みを取り入れなければいけないと。  まずは,いろいろさまざまな現在行われていた取り組みを検討しました。有機JAS,私の今現在いるユニオンファーム有機JASの認証農場です。このほかにも特別栽培,エコファーマー等認証制度,そして生産履歴記帳運動ということで各地に広まっておりますが,このほかに残留農薬抜き打ち検査ですね。こういったことが安全性を高める取り組みとして現在行われておりました。  ただ,それぞれの取り組みに関して,これでは安全性は確保できないと考えておりました。現に有機JASをやっていても,有機JASの生産者,そこから出てくる有機農産物がもろ手を挙げてを安全といえるのかという部分は,やっている私自身が感じるところではありました。特別栽培もしかりです。エコファーマーも似通ったところがあります。あとは生産履歴,これは非常に重要なことではあるのですけれども,記録を書くことで農産物そのものの安全性がどこまで高められるかという部分に関しては,特に根拠がなかなか薄い部分ですね。例えば登録のない農薬,例えばイチゴに登録のない農薬を使ってしまったと,気がつかないで使ってしまったと。その場合に記録をしたところで安全性は高まらないわけですね。間違ってそういうのを使わないような仕組みという部分が必要なところで,記録では限界があるんだと。抜き打ち検査,その工程管理がされていない農産物を抜き打ち検査したところで,それに漏れた農産物に残留農薬が含まれないかどうかというのは,やはり抜き打ち検査の限界という部分が見えてきております。  その中でちょうど1年ぐらい悩んだところでした。実際の取り組みでは安全性の高さを証明できるような取り組みがなくて,当時私は前職に,生産者のグループづくりの企画を担当していたのですが,ここ一歩を欠くというところでした。たまたま会を立ち上げるという,会議の日程の方が決まっていまして,それの日程が迫る中で安全性を確保する取り組み日本じゅうを探して回りました。その中で偶然,茨城県内つくば市でこのGAPに関しての国際会議がありました。その中で,たまたま知人に誘われて行ったわけですけれども,そこでこのGAPの事例報告がありました。  主にはアジア,オセアニアの国からの報告でしたが,やはり英語でのプレゼンテーションでしたので理解できない部分が往々にあったのですが,何となく農産物の安全を確保する仕組みなのかなということはありました。その中で気がついたのが,周りの国々は既にこういう取り組みをしていると。もしくは国がそれを推進しているということに,若干危機感を感じながら時間を過ごしていたわけですが,一番最後に報告があったのが日本からだったのですね。今の日本GAP協会の方が日本の取り組み事例として報告したわけですが,日本にもあるのかと。その場で,私がちょうど足りていないところにすぽっとはまるのがこのGAPという取り組みでした。  当時,GAPを調べてみたわけですが,我々が今回採用していますJGAPのほかにもたくさんのGAPがあります。現在GAPを推進する上で問題といわれているところですが,GAP制度の乱立という状況が今ございます。それを行っておりますのが,最大手の量販店だったり,生協もしくは行政というところで,さまざまな立場の方がGAPという制度をつくり上げております。8割,9割,ほとんど内容は同じにするものなのですが,それぞれの立場で行われてしまっていると。  ここを現在の問題と指摘される方もいますが,私などは,このGAPが始まってまだ2年足らずという状況の中で,むしろ好ましい状況かなと。やはりそれぞれの立場の人が食品の安全に関して何かやらなければいけないということで,このGAPに注目しているという事実だと思います。この中で今現在農水省でも行われておりますし,日本GAP協会内でも行われておりますし,基準の一本化,日本の標準的なGAPをつくりましょうという活動がされております。  当時さまざまなGAPを知ったわけで,その中でこのJGAPを採用したという理由がそこに上げられております。  農場側からしますと,安全性を確保するだけでは事業の安定的な継続というのは難しく,自然環境にも配慮しなければいけません。やはり農業は地下水を大量に使いますし,肥料を使うことで地下水汚染というものを起こしております。茨城県内の地下水を調査しても,幾つものところで硝酸態窒素の基準値を超えた地下水というものがあります。それが家庭内で飲まれていたりとかという事例はあるわけで,そういった環境にも配慮しなければいけないと。  もう一つは,私の会社もそうですけれども,茨城県内は特に大規模化が進んでおります。その中で研修生,実習生,そしてパートさん,社員を含めた企業化がされているわけですね。そうなると,今まで家族経営で行っていた部分,すべて家族でコントロールのきいたところから,コントロールのきかない他人が農業生産に携わるという局面に来ております。その生産者の中で労働者という視点が生まれたわけですが,彼らの安全を確保しなければいけないと。残念なことに,日本の農業生産現場というのは労働者の安全を確保できておりませんで,過去30年から毎年400名が亡くなっているという状況です。ほかの産業からしますと,徐々に業界団体での活動として,この作業現場での事故というのは格段に減ってきたわけですが,農業生産現場においては,高齢の方がこれからふえていくということもありますし,こういった亡くなる方は400人おりますが,もっとたくさんの事故というのが生産現場に起きていると。ここにも取り組まなければいけない。  もう一つ最後に,農場経営と販売管理ということで,やはり我々事業としてやっておりますので,もうからないといけないわけですね。いかにしてもうけていくか,安定的な経営をやっていくかという部分で,経営そのものと販売管理もやはり委託してすべて販売を賄うということには安定性を欠くと。  こういった点から,四つのテーマ,細かく分けますと129の項目がJGAPにはございます。およそその6割が農産物の安全を占めたものですが,129項目を農場管理の理想とすべき農場の管理点,そしてそれぞれの項目に対しての適合基準,この基準を満たしましょうというものが策定されております。実際読んでみますと,適正な農場管理をする上で何をすればよいかと,それが合法的かどかも含めまして,的確に整理されていたということが一番大きなものです。  この129項目を策定するに当たっては,生産者だけではなくて学識者も当然いらっしゃいましたし,農産物の取り扱い業者食品メーカー,さまざまな方がさまざまな視点で,売り手と買い手が参加してつくり上げたものであるということに一定の評価が得られるかなと思いました。これが販売の局面で生きてくるなという感触を得ております。  また,今現在,世界基準といわれているGAPがあります。当時はユーレップGAPというものでしたが,ヨーロッパEU内で策定されたGAPです。現在はグローバルGAPと,名実ともに世界基準ということで名称を変更しておりますが,現在,日本GAP協会の方で昨年行っております同等性レベル認証制度,いわゆるJGAP世界基準となっております。当時これに向けての準備が進められておりましたので,やはりやる以上は世界で共通するもの,なぜこれ世界基準なのかと,我々自身は輸出というものを一切考えておりません。その中でなぜ世界基準かというのは,GAPのシンポジウム,先ほど御説明した国際会議の中で感じた危機感の一つです。  そのとき積極的なプレゼンテーションがあったのが中国,台湾,韓国,ベトナム,タイ,ニュージーランドということで,日本にたくさんの農産物を輸出している国々です。買い手側に立ってみますと,今は安全な農産物として国産を選ぶ方々が多いです。ところが,安全な海外の農産物が出てきた場合に買い手はどうするかと,これは間違っても安くて安全なものを選んでいきます。その中で,それよりも取り組みとして劣るものをやっていたのでは,買い手側に確実に評価されてはいかないということで,やはり世界基準のものが必要だということを考えておりました。ですので,世界基準の必要性は輸出のためではなくて,輸入品に対する危機感とういところから求めておりました。  このさまざまなGAPの中で唯一第三者認証という制度を,当時JGAPは求めておりました。現在はそういう形になったわけですが,民間の審査認証機関に審査を外注しております。ですので,協会が行う審査ですと,どうしても第二者認証ということで公平性を欠く形になります。ですので,第三者,利害関係を持たないものが審査を行うことで,その取り組み自体の評価が高まっていく,信頼性が高まるということで,ここを一定評価しております。  当時JGAP,私もよく理解しておりませんでしたので,特に農業資材の販売をしておりましたから,生産現場というものを深くは理解しておりませんでした。その上で,やはりこれは指導していただかないと,40名弱の生産者には普及は難しいなと。その当時,JGAPには導入指導員という制度が誕生しておりまして,そこには指導員というのがおりました。ですので,導入するに当たっては,彼ら,JGAP導入指導員の協力が得られるということもJGAPを採用した大きな理由になっております。  次のページにいきますと,こういう過程の中で,まずは我々グループとなっております。それぞれの視点で生産をしていた生産者の方々がいらっしゃるわけですが,共通の農産物としてグループとして販売する以上,やはり規律が求められていきます。買い手側からすれば,生産者が変わっても同じものでなければいけない,安全性に関しても同じレベルでなければいけないという視点から,まず第1段階で,すべての農場がJGAPの認証を取得するというのが第1段階。  第2段階として,それをベースとした農場管理基準,そして内部でそれを取り締まれる仕組み,内部監査というものを制度化していきました。昨年,団体認証という一歩踏み込んだ認証がJGAPにあるわけですが,その認証も取得しております。  個々に当たっては,現地,生産者の現場においてどういう管理のやり方が適切なのかどうかというのを現地指導に当たったと。生産者みずからだけではなかなか行えない部分がここにはございましたので,指導というものはやはり今後も不可欠であろうと考えております。  また,記録という部分ですね,農薬,肥料の散布記録だけはなくて,農薬,肥料に関しては在庫管理,農産物の取り扱いに関しての危害要因の分析,さまざまな記録がJGAPの中では求められてきます。やはり生産者現場,記録にはなかなかなれないところがございます。ですので,まずは書き込む,いかにして楽に記録をとっていくかという視点での帳票フォーム,フォーマットをつくっていきました。それに加えて管理基準の策定ということになっております。  これをいかに生かしていくかと,これは販売の局面でしか生かされないと,まず考えておりました。ですので,商品管理,品質管理ですね,安全性というものも一つの品質という理解をしておりますが,まずは安全性の部分,信頼を一番失いやすい部分に関しての管理の手法として,JGAPが生かせるであろうという役割に現在もなっております。  実は茨城県内でも残留農薬の事故を起こした事例というのもここに数件ございますが,その方々の末路がどうなっているかと申しますと,やはり契約取り引きをしていたところからは契約を打ち切りということ,これは当然なっていきます。そのために出荷した農産物の回収,ここに数千万円のコストがかかっていると。  栃木県のイチゴでもありましたように,集荷被害ということで数億円といわれておりますが,多額の,信頼を失うだけではなくて,実際かかってくる多大なコスト,これを避けなければいけないと。今後将来得られるはずの売り上げも失うという観点からすると,この農産物の食品事故の起す影響というのは計り知れないということから,そのリスクを最小限にできるGAPの役割というのは大きいなと考えております。  実際に私の方で販売をしたわけですが,私も大学を卒業してからずっと農産物の販売,もしくは仕入れという業務に携わらせていただきましたけれども,農産物というのは全く扱ったことがなかったわけですね。営業の方法自体は似通った部分がありましたが,業界のことも余りよくわからずに,飛び込み営業的にやった部分もありました。その中でマーケティングツールとして活用できた部分が大きいかなと思っております。  野菜を一品も扱ったことがない人が営業しに行って,我々の野菜こうですよといったときに,恐らくはこのGAPという取り組みがなければ,評価されることはなかったであろうと思います。農産物の販売自体は極めて簡単なものというわけではなくて,やはり過去長い間やられた中でノウハウというものが必要な部分があります。それを欠いた上でも現在の販売が成り立っているというのは,やはりGAPを評価していただく方々への一つのプレゼン材料になったのかなと思います。  この中で一つありますが,農産物の最低条件は安全であって当たり前と,それほど高い付加価値かどうかは相手側の評価するところですが,これは最低限のものとしてとらえております。現在までには,この農産物の安全というものを担保する制度というものがありませんでした。その視点で量販店などもプライベートブランドですとか,独自の管理基準などを設けておりますが,明確にできない部分でした。  生産者サイドにとっては,一番下に書かれておりますが,需要者にとっても満たされないニーズというのが,実はこの安全性だったわけですね。量販店のバイヤーさんからお話を聞いても,安全なのは何となくわかったけれども,本当かどうかという確信は持てないというところは,大手の量販店さんのバイヤーさんもおっしゃっておりました。そういう意味で評価をしていただいたのは,やはりこういった根拠のある取り組みですね。バイヤーさんが実際に農場の現場を見られることもありますが,正直言って全くわからないそうですね。当然スーパーの管理をされている方が農場,つくられている場所の管理点というのはわかるはずがないわけですね。どういう作業があるのかもわからない。どういうものが使われているかもわからない。こういう専門外の方に農場の安全性を確認する方法というのは現実的にないわけですね。この方法がない中で農場を審査,監査するプロ,いわゆる第三者認証における認証機関ですね,そのプロが見て問題ないという太鼓判を押したところには無条件で信頼を置けると。  実際に商談の場では,幸いながらも相手がGAPを御存じでした。特にJGAPに関しての理解が深い量販店もしくは外食の買い手の方々で,GAPという部分を我々は取り組んでおりますよという,この一言で安全性の確保,取り組みに対しての説明は一切要りませんでした。GAPをやっているのね,わかりました。次は品質,おいしさの部分はどうなのですかということで,商談が極めてスムーズにいったという取り組みです。なので,ここでは記帳がどうこう。どういう記帳をしていますよという説明もありませんし,残留農薬の検査をどうやっているのという質問も全くありませんし,農薬をどういうふうに使っているの,肥料は何を使っているのという質問も全くなく,安心していただいたという評価をいただいていると感じております。  実際に国内,個々熾烈な産地間競争があるわけですが,それぞれの産地が取り組んでいる農産物,その中には必ず商品性というものがあると理解をしております。それは品目によって,地域によってさまざまで,ここに上げただけでもさまざまな商品性というものがあります。  近年ですと,ゴボウ,前は長いものが中心でしたけれども,最近はカットゴボウと。車で買い物をされる方は長くても短くても構わないかもしれませんが,電車もしくは自転車,ちょっと前に三人乗りでスーパーに買い物に行く主婦の映像がテレビでありましたが,あの状態で長いゴボウ,長いネギを持って帰れるのかどうかということから,特に都内に行きますと電車で農産物,野菜をスーパーに買いに行くという方もたくさんいらっしゃいます。その中でカットゴボウ,そして冷蔵庫に入る,最近の冷蔵庫は長いゴボウも入る冷蔵庫がありますけれども,短いまま冷蔵庫にも入れられるということで,使いやすさに視点を置いた農産物もございます。当然おいしさ,もしくは新鮮さと。茨城県内でも真空予冷が大きな産地で取り組まれておりますが,この一例かなと思います。  こういった見た目,内患的なものだけではなくて,その地域の文化を背負った,一番わかりやすいのは京野菜なわけですけれども,おいしいか,おいしくないか,新鮮かどうかという以前の問題として,京野菜という文化を背負った農産物もございます。これは茨城県内にも当然あるわけですが,さまざまな商品の根底にあるのは,これは積み木だと思っていただけるとわかりやすいのですが,一番根底にあるのはやはり安全という部分なのですね。この安全という部分が揺らぐと,上にいかなる商品性を積み上げたところで一気に崩れてしまうわけですね。  例えば茨城県内で一番評価が高い新潟県産の某産地のコシヒカリ,ここも安全性が確保できていないと,あそこの米は危ないよとなった途端に,おいしさ,そこまでの歴史というものをすべて失う結果になるわけですね。現に某地域のお米に関しては,カドミウムが過剰に含まれるということで産地の取り組みをしておりますが,産地内では前から知られたことですけれども,やはり鉱山が近いということで用水からカドミウムが水田に入ってきて,稲は非常にカドミウムを吸いやすい作物ですので,玄米への残留が多いということは,以前から指摘されておりました。  こういった中で,その産地も今はJGAPに取り組んでおりますが,やはりこういった部分を,今までは余り対策もなく取り組まれていなかった部分を,今取り組もうという産地がふえてきております。  ただ,これだけではいい条件で売っていくというのは極めて難しい話でして,実際に営業という局面にまいりますと,その価格が適正なものなのかどうか,その販売するところで売れる金額なのかどうか,業界によっては,例えば百貨店,量販店,それぞれ適正価格というものがあります。大体一般のスーパーで売られている農産物ですと,198円を超える農産物というのはほとんど売れないと。ですので,上限価格198円で設定しているところが多いと思います。これは果物とか,そういったものになると若干異なってきますけれども,一つの上限などを求めている量販店さんもおります。  ところが,一方百貨店に行きますと,安いものはなかなか今度は売れないと。極めて価値の高いものを高く売ると。高く買っていただけるお客様を客層として持っておられるプレイヤーもございますし,そこの販売するところに合った価格なのかどうか,そしてその規格ですね,一つの包装に入っているものが,そこのお客さんにとって適量なのかどうかという判断をしなければいけません。  そしてその供給時期,一年じゅうそれを供給できるのか,安定的に供給できるのか。毎日100ケース欲しいんだったら,365日それを切らさずに納品できるのかどうかということも,買い手側にとって,幾ら商品性が高くても入ってこないときがあるということがあると,特にチェーンストアの業界というのは困るわけですね。私もその業界に農業資材ということでおりましたが,やはり次の日に入ってきてもらわないと困るわけです。チェーンストア業界の中では商品の棚をあけるということは完全にタブーなわけですね。壁面を見せてはいけないという常識がございます。ですので,供給量,供給時期というものは極めて重要な販売上の条件となっております。  もしくは品ぞろえという部分も,我々一つの重要な要素だと思っております。一品を買うのに一つの取引先としかできないと。例えば我々のところで買うとサツマイモは山ほど買えますよと,でもサツマイモしか買えないということは,買い手側からすると仕入れ先としてのメリットというのは薄れていくわけですね。市場というものがその逆をいっているわけで,何でもありますよということが強みだったわけですが,やはり品ぞろえをそろえていく,これが実現できるのは全国でも限られ地域になるわけです。  茨城県,この温暖な気候と広大な面積の農地,これを生かしてさまざまな品目が生産されております。これを流通の段階では弱みとされている部分も若干ありましたけれども,これを強みにできる地域,これは茨城県しかないなということで,あえてその強みを出していこうということで,我々年間を通して30品目の取り扱いをしております。  また,リードタイムということで,これは向こうの発注してから納品するまでにかかる時間,短ければ短いほどいいわけですが,それを物流の仕組みでどこまで成り立っていけるかということも,販売の面では,有利な条件を引き出す上では極めて需要な要素と,さまざまな要素があるということを説明させていただきました。  具体的なGAPの取り組みを簡単に御説明させていただきますが,2006年の春から,すべての生産者への認証取得に向けて取り組みをしました。  まずは,動機としてさまざまありましたが,大きく上げるとこの3点。安全性は価値ではなくて,これは前提条件であると。これを活用した販売チャンネルを広げていくということを一つの動機としております。  また海外でGAPが普及しておりますので,近い将来,農産物を買わないといっていられるのも恐らく限界はあるだろう。いつか農産物が大量に入ってくる時代も恐らく来るという危機感は,我々生産者,皆さんがお持ちのものです。  事業継続の不安というのは,先ほどお話した食品事故を1回起こしてしまうことで失うロスということで,ここを確実になくしておいて継続的に事業を行っていくと,その上でGAPを導入していくということで春から始めております。  実際には,一番前におりますが,日本GAP協会から派遣されてきた指導員という方に,地域ですとか,テーマを分けて,すべての生産者全2回,まず1回目で「農産物の安全」についてというGAPの項目について,なぜこの項目をやらなければいけないのか,実際的にここにある問題なのだろうか,その裏づけとなっている法律,例えば農薬取締法ですとか,毒物劇物取締法,危険物,さまざまな法律が食品衛生法も含めてございます。そういう法律も含めた説明を,まずはしていただきました。  2回目でそのほかの部分ですね。環境への配慮,その他2点の項目について指導員から説明をいただいております。  同様に,この座学の研修は午前中の4時間だけということで,私も含めて生産者は,なかなか人の話を長時間聞くということにはなれておりませんで,まずは午前中ぐらいにしておいて,御飯を食べてから外の空気を吸いに行くという視点からも,その代表農場の現場に行っております。  午前中言っていた話がどこにどう当てはまっていくのかと,まさしくここは百聞は一見にしかずというところに該当するわけですが,目で見て問題点,さっき言ったのはここなのかという新たな問題の発見がこの場で見つけられていきました。その際に対策というのはどうすればいいのかと,これは建物を建てなければいけないのかというところを,問題解決を一通りしていきました。  この研修で一通りGAPというものを理解して,それぞれの農場がまずは自主的に改善を行うということを,およそ1カ月間をかけてやってもらいました。その中で初めてやる取り組みですし,現場個別に状況が違います。方や1億円の売り上げを持っている農業生産法人,方や家族だけでやっている生産者,当然施設,取り組み自体が,取扱量も含めてですけれども,全く異なるわけですね。それぞれの生産者に合った個別指導というものを,私は「農家の店しんしん」のJGAP指導員いう方々に協力をいただいたわけですが,当時,実は私,こちら側にいたわけですね。この40名の指導をしていく指導員の一人でした。  ここで現場の改善も去ることながら,記録が適切にとられているのか。そのとる場所,場所によっては家に帰ってから書くよりも,現場で書いた方が効率よく記入ができるというケースも含めて,必要な記録がつけられているかということを確認していきました。この中で問題点の改善がなされたという形になります。  先ほど第三者認証という説明をさせていただきましたが,JGAPに関しては審査を受けての合格,不合格で認証が発行されております。当時は第二者認証だったわけですが,昨年から第三者認証に移行しておりますが,一番右の奥にいらっしゃる方がJGAPの審査員です。この審査機関から現在は派遣されて来ているわけですが,一番左の奥にいらっしゃる方が旧美野里町のニラの生産者の方ですね。その農場の審査の画像がそこにあると思います。  まずは聞き取りということで,129の管理点について,記録も含めた聞き取り調査を行い,その後,現場確認。圃場,作業場,貯蔵庫,さまざまな施設,圃場の実態調査と周辺状況の確認をしていきます。およそ4時間の審査となります。  これをすべての生産者,当時40名いたわけですが,40名の生産者が審査を受けております。ここに下に費用と書いておりますが,個人で審査を受ける場合には,現在でも同じかと思いますが,5万円の審査料がかかっていきます。ここに旅費,交通費は別途ということになりますが,団体審査になると2万円前後に下がるということになっております。これは人数によっても異なりますので,詳しいことは審査会社に問い合わせていただく形になると思います。  実際にこの審査を終えた後に,その場で不適合項目が上がってきます。あなたの農場はこことここが不十分でしたよということで,審査員から報告をもらいます。その場で合格,不合格と,あなたよかったよ,あなただめだよという話ではなくて,その1カ月間,是正期間というものが設けられます。1カ月以内に今回十分ではなかったところを是正してくださいと,そこを改善した内容もくしは画像も含めて報告をしてくださいと,それが適切であれば合格,それでも不適合ということになると不合格になるわけですが,それを4週間以内にやってきました。  この中でも是正指導というのを行っております。それまでに自分が考えることというのは,すべて生産者はやったわけですね。それでもだめと言われた。これは打つ手がないということですね。そこに対しては,あなたここをこうしなければいけませんでしたよということを,指導が必要な部分として上げられると思います。  これを終えて審査機関への届け出をして,合否判定が行われるわけですが,審査判定委員会というものが当時ありまして,今現在は審査認証機関が行っておりますが,そこで合格さされますとJGAPの認定書というものが農場に配られます。  この認証期間を確保される有効期限ですね,これは1年となっております。現在は129の項目すべて審査の際に不適合がゼロ,すべて適合している農場に関しては2年という猶予がありますが,ほとんどのケースで1年となっております。ですので,毎年審査を受ける形になります。  ことしも9月に我々の方も3回目の審査を受けておりまして,実はおととい認証継続が認められたという状況になっております。  1年目やっていく中で,前段に御説明しております管理基準ということで,より具体的に落とし込んでおります。これ,今変更が加えられておりまして,正式な項目数は記憶しておりませんが,およそ129のJGAPの管理点から必要な対策というものを抜き出して,現在154項目程度あったかなと思います。あくまでJGAP自体は管理点と,ここを押さえてくださいよという内容にとどまっております。そこからどういうふうな手法で農場管理をしていくのか,どういうふうな記録のつけ方をしていくのかというのは,農場に一任されているわけですね。ですので,さまざまな1年目,ここはかなりちゃんとできているなと,ここは何かぎりぎりだなというところがございましたので,まずは一つの最低限の基準づくりということで,こういう基準をつくらせていただきました。  主に二つあるわけですが,農場管理と。これは圃場だけではなくてすべてそこに働いている人も含めて全体的な管理をする,販売管理を含めてですけれども,生産工程以外の部分も管理するパート1。今度は生産工程ですね,種がまかれて収穫するまでの間の管理点というものをパート2でまとめております。  このほかにも我々事務局の方で農場ごとの情報を管理しております。そこの農場が定めている責任者がどれなのかと,JGAPの中では農薬と肥料,あと雇用に関しては責任者を設けることという項目がございます。それぞれ問題があったときには問い合わせるわけで,その責任者がだれであるのか,栽培している作物,圃場,そして圃場の面積,圃場の所在地,そして機械,どういうものが使われているのかということを事務局で集中管理をしております。  あと栽培基準書ということで,ここの農場が作物ごとに使用する農薬,まず事前に事務局の方で,その農薬の登録が正しいかどうかというものをチェックしていきます。そのチェックされたものを生産者,グループ農場の方では使われていくという形になります。  ここに幾つか,象徴的な導入後のコメントをされた生産者の話の内容を若干まとめておりますが,共通して言えるのは,多くの方が正直なところ本当に安全かどうか自信を持って出荷できていなかったと。きょう出したものが,もしかするとあしたクレームで返ってくるかもしれないと,しおれがあったかもしれないと,こんなものがついていたかもしれない,入っていたかもしれないという不安を,やはりどこか持って出荷していたわけですね。それがやれることをやっていると,これだけのことをやっていればある程度の安全性というのは確保できているだろう,というところの安心感を生産者自身が持つことになったということになると。一つ上げられると思います。実際にクレーム自体が減っていくという農場も多くあると聞いております。  GAP自体,先ほど129もあるということですが,この後の説明にあるかもしれませんが,一個一個見てみると,極めてハードルの高い項目というのは実はないのですね。それがたくさんあるので大変な印象を受けるのですが,実際に今GAPを御存じの生産者でも,余りやりたくないなという方も当然いらっしゃるわけですが,まずは読んでいただくこと,無茶な要求はしていないということを読んでみると理解していただけるかなと思います。  一番下にあるA社ですね。ここは3ヘクタールの施設を持っている農業生産法人ですが,法人となりますと若干考え方が変わってきまして,やはり企業運営という視点がありますね。経営改善のためだけに行ったと,有利な販売は営業力によって変わってくると。ですので,まずは,特に法人,大きな生産者となりますとさまざまな取り組みをしております。取引先の要望にあわせて使える資材というものを限定されていきますし,その上で安定生産もしていかなければいけないと。確実な労働力も確保していかなければいけない。その取り組みの中ではいろいろなことをしているわけですが,やはり農場管理の専門家ではないので,どこをどういうふうにしたら満足なのかということを常に模索しているわけですね。その方々にとっては,ここを押さえれば一定のレベルでこういう基準を満たせるというものがあるのは,極めて便利な道具ということが言えると思います。  またほかに幾つかありますが,後で御一読いただければと思います。  よくJGAPは勘違いをされるケースがあるわけですが,導入そのもの自体に果たして目的があるかということを,まず取り組む生産者は理解しなければいけないということですね。これをとれば世界が変わる,どんどん引き合いがふえて有利に動いていくということは,恐らくないと思います。そこに積極的な販売の意思がない限りは,やはりものというのは有効に動いていかないと,これは農業に限らずすべての製品でそうなはずなのですね。ですので,そういった取り組みは必ず必要ですし,産地はそういう取り組みを既に行っていると思います。その積極性の中でこういう道具は生かされていくということから,JGAP自体は導入に目的はなくて,あくまで手段であり道具であるということを,まず理解すること。これがないと,JGAPを導入したといった後に何も変化がないという状況になると,これは余りいいものではないなと。続ける必要はないなということを農場側が思ってしまうわけですね。ですので,あくまで道具であり,その使い方次第で物事は変わっていくと,有利な条件で販売するかどうかも,その活動いかんによるということが一つ重要な要素ではないかと感じております。  やはりコストというものが,導入していく上ではかかっていくわけですが,このページにまとめておりますのは,まず行政から出てきている公的な支援というものがあるかなと思います。食の安全・安心確保交付金ということで,我々初年度これを活用させていただきました。その際には県庁の園芸流通課の方に多大な御協力をいただいて,この場をかりて御礼申し上げたいと思います。この費用がかかっていく中で,その費用の50%を負担していただくというのは,取り組む上で強力な推進力になったということは紛れのない事実だと思います。  お金があればできるかというと,決してそうではなくて,これとあわせて生産者の導入を支援する方々の協力というもの,これも不可欠であったと考えております。  今現在,私の団体の方によく視察の依頼が来るわけですが,よく年に2回来ていただいているのが,普及員の方々が毎回30名から50名ぐらいでGAP農場の見学にいらっしゃっていただきます。農林水産省の生活技術研修館というところが対普及員へのGAPの指導をしているということで,我々喜んで受けさせていただいておりますが,なぜそういったものの御協力をさせていただくかと言いますと,全国に農業改良普及員というのがこれだけいらっしゃいます。さまざまな業務に携わって大きな負担になるかもしれませんが,普及員という方々がこれだけ日本全国に散らばっている中でGAPを理解してやりたいというときに,すぐに相談できるところ,なおかつコンサルタントであれば,我々も当時日本GAP協会には多額のコンサル料を導入指導の際には払っております。これを気軽に近いところで指導のお願いをできるという立場から,やはり公的機関の中で普及員の活動できる部分というのが往々にあるのかなということで,どんどんまずはGAPを知っていただいて,日本じゅうでGAPをやってみたいという方には手を差し伸べていただきたいなという視点から,どんどん我々のグループの農場を開放しているという次第でございます。ですので,こういう公的な金銭面での支援と,あとはこういう技術的な人的支援というものは,今後のGAPの普及の中では欠かせない大きなテーマであろうと理解をしております。  以上が,我々が取り組んできておりましたGAPの取り組みの経緯と動機,そして使い方というようなことになっております。 7 ◯加倉井委員長 長時間にわたる御説明,ありがとうございました。  それでは,ここから意見交換の時間とさせていただきます。  ただいま御説明をいただきました内容,御意見につきまして,委員の方で質問,御意見がありましたら,お出しをいただきたいと思います。  佐藤委員。 8 ◯佐藤委員 いろいろ御説明いただきましてGAPに対する理解というものを,多少わからせていただきましてありがとうございました。  その中で玉造さんが事務局という形も含めて,正会員が36名という形で現在いらっしゃいますけれども,このGAPを含めたところでの正会員さんとか準会員さんがいるかどうかわからないですけれども,それが拡大をするとか,このGAPに対しての考え方でもっともっと幅広くやっていきたいとか,その辺の状況についてわかれば。 9 ◯玉造参考人 そうですね。生産者の頭数で勝負はしていないのですが,やはりお客様がより多くの商品を欲しいと,こういった品目が欲しいという場合には,随時補充をしていきたいなとは考えております。  この36名,どういうふうにして集まったかと言いますと,最初は私が前職で所属しておりました「農家の店しんしん」ですね,アイアグリのおなじみのあるお客さんに対して100名,まず,この小美玉市を中心とした100名に声かけをしていただいて,そこから集まりスタートを切ったわけですけれども,その後は,会員からの紹介制をとっております。  この紹介制のよさは,やはりGAPというもの自体,我々の販売自体を理解していただかないで入るといろいろなトラブルを起すわけですね。思った以上にGAPは大変だったということになってしまうと,我々も困るわけで,現在それを実行している方,販売をされてこういう販売,販売もある程度規律がありますので,約束事もたくさんありますし,それを守れる方々,同じ感覚で農業生産をできる方々ということは考えております。  先ほど申し上げました地域だけですと,品目が限定されるというのが今のテーマの一つですね。例えばレタス,キャベツ,白菜と,茨城県は県西が大きな産地ですけれども,今の地域の中にはそういう商品の生産者は限りなく少ないわけですね。また県西はネギの産地だったりするわけですし,あとはトマト,キュウリというところはまた別な産地に広まっていくと思います。そういった中でお客さんの要望にあわせてそういう品目が必要となれば,そういった得意な地域にメンバーをふやしていくという構想も直近のところで持っております。 10 ◯佐藤委員 ありがとうございます。  また,消費者側から見たGAPに対する理解度というのですか,意識というものはどのように受けとめられているか,感想でも結構ですが。 11 ◯玉造参考人 消費者の方でGAPを御存じの方というのは,恐らくほとんど国内にはいらっしゃらないと考えております。私どもが量販店向けに販売させていただいている商品には,JGAPの認証取得ですとか,GAPをやっていますという文言は一言も書いておりません。表示するばかりがいいことではないとは思うのですけれども,私個人としては,表示して消費者にそれを知っていただいて選んでいただくということは,必要なことだと思いますが,現在のJGAP取り組みとしては,個包装にJGAPの表示をしてはいけないという規定がございます。  何のためにしているか,現在でも議論を進めているところですが,同等性を確保している先ほどのグローバルGAPですね,この世界基準のGAPが表示を認めていないからなのですね。  何のためにヨーロッパでGAPができたかと申しますと,あくまで仕入れ基準なのですね。それぞれの大手の量販店,EUになりましたので域内であれば広域農産物が扱われるわけですが,それぞれの大型の量販店,日本などよりもトップの会社のシェアが限りなく大きいところですね,それぞれGAPみたいな仕入れ基準を持っていたわけですね。まず最初に彼らが集まって一つの組織をつくったときのテーマは,農産物の安全というものは全国共通でなければいけないだろうと。この基準は一つにしないかというところから始まっております。
     日本国内で言えば,ヨーカ堂さんですとか,イオンさん,日生協,CGCという農産物の大きな扱い手が一つの基準づくりをしたというのが,グローバルGAPの生まれです。その中で仕入れ基準だから消費者はそれを知らなくていいと,あそこのスーパーで売っているものは安全だということを確保するのが売り手の義務だというところから,表示を制限しております。ですので,日本のJGAPもそのグローバルGAPと同等性の手続をとっておりますので,同じように表示はしてはいけないということになっております。  その取り組みの中で農産物,今はJGAPの認証農場は私の知っている限りですと250農場ぐらい,今日本全国で誕生しておりまして,いろいろな産地が取り組んでおります。その中にも表示をすべきだと,もしくはすべきじゃないという議論もたくさんありますし,日本GAP協会の中でも推進する派と,それをしない方がいいという部分が分かれておりますが,私自身は表示をすべきという立場で議論をさせていただいております。 12 ◯佐藤委員 ありがとうございました。 13 ◯加倉井委員長 ほかに,御意見,御質問。  山岡委員。 14 ◯山岡委員 今,全国で250くらいということですけれども,茨城県内ではどのくらい。 15 ◯玉造参考人 そうですね。茨城県,実は認証農場数で言うと恐らく一番多い県でありまして,そうですね,私どものグループが認証農場36です。つくば市にみずほの村市場というのが,社団法人日本農業生産法人協会の長谷川会長の組織ですけれども,ちょっと正確には覚えていませんが,そこで数十人,我々よりも人数が多かったと思いますけれども,認証農場が昨年誕生していると思います。  また,県西の農業生産法人でも団体認証を取得しておりますので,恐らく100弱ぐらいあるかなと。正確な数字はあれですけれども,日本GAP協会のホームページにもしかするとのっているかもしれませんが,100を切るぐらいの認証農場数があります。 16 ◯山岡委員 私も今お話を伺っていて,GAPの認証を受けたら何かあった方がいいような気がするのですけれども,見通しというのはどうなんですか。 17 ◯玉造参考人 そうですね,これは国内のJGAPだけの問題ではなくて,その部分になっていきますので,これは協会側としても早いタイミングで議論をして,ある程度の結果を,結論を出さないと,これが続くことで認証農場数が減っていくという局面はやはり避けなければいけませんし,それは緊急課題として今取り組んでいる部分かなと思います。  我々の場合,農産物のブランドというものをやっております。これは,販売する量販店さんがプライベートブランドというのをお持ちの量販店も今たくさんいらっしゃいます。そのブランドの仕入れ基準がJGAPという量販店もありまして,そのプライベートブランドは我々も含めて共同開発したものですけれども,プライベートブランドを量販店が立ち上げるというのは,極めて大変な話なのですね。そこに人も割かなければいけない,プロでもないのに基準もつくらなければいけないと。そういう意味では,こういうJGAPを一つの仕入れ基準にしてブランドを立ち上げると。  イオンさんは実はグリーンアイというプライベートブランド,あれもイオンさんが定めた,通称イオンGAPというものですけれども,あれに合致した商品を仕入れ基準としていると思います。ああいったパターンでさまざまな量販店が自社でコスト,人的負担もかかることなく,プライベートブランドを,シールだけつくってしまえば,あとは産地を囲い込むということで,ある一定の価格競争にさらされない商品づくりができていくかなと。  我々はそこに積極的に入っていこうと考えております。 18 ◯加倉井委員長 新井委員。 19 ◯新井委員 今のに関連する質問なのですが,今や喫緊の課題になっているのが安全だよね。食の安全。だから,おいしい,おいしくないは二の次で,まず安全かということが非常に,消費者は生産のことは全くわからないわけですから,だからこういう何か基準があってこの判が押されているものは安全だよというものを示してもらわないと,消費者というのは選ぶ能力がないわけですから,せっかくこういうものを立ち上げているんだったら,どういうわけでそういう基準の認定を認められないのですか,反対もあるというのは,なぜ反対するのですか。このマークをつけるということ。 20 ◯玉造参考人 表示をしてはいけないということですね。 21 ◯新井委員 すべきだと思うのだがな。 22 ◯玉造参考人 私もすべきだと思います。  すべきでないという方は,ヨーロッパのGAPと同じような視点の方ですね。これは買い手側と売り手側との信頼関係の仕入れ基準として使うべきだという方が,反対されている方の中では多いのかなという感触を得ております。  また,一方で懸念される部分もありまして,確かに安全なもの,そこに価値があるかもしれませんけれども,例えばGAPという表示をされた商品が,例えばホウレンソウが茨城県内のスーパーで78円で販売されていたと。今度困るのは我々なのですね。これは都内で時期ですと大体148円から158円で売っているGAPの商品ですね。それは表示をされてなく,量販店のプライベートブランドとしてやっているわけですが,これ同じGAPが片方は78円,片方は148円,どこかの産地が例えば200円で,見た目は同じホウレンソウがついた場合,これは消費者がどう判断するかという議論がまた一方であるわけですね。  今おっしゃられたように,GAP自体は安全性を確保するものですので,おいしさとか形を評価する方法ではないわけですね。ところが,農産物の評価自体は,安全性は当たり前のものとしてありますけれども,さまざまな要素というのを買い手側の方々,消費者の方々お持ちなのですね。なので,このGAPが保証する部分が目に見えない部分であることに対して,こういう価格がさまざまに出てきてしまう部分,なので,始まっているこのタイミングですといろいろな取り組みがされてしまいかねないのですね。  ですので,私はその言い分はわかってはいるのですね。わかってはいますけれども,やはり生産者の立場から言うと,これを食べていただく方に選んでいただきたいと。中には文章なんかなくてもいいよという消費者も恐らくいらっしゃると思います。ただ,そうじゃないとだめだという方々には,そういう商品として提供していきたいという観点から,やはり表示はすべきだという方に賛同している部分がございますので。 23 ◯新井委員 安全を担保する場合には,市場性だけを追うわけにはいかないんだよね。今みんな市場,市場で競争原理でやっているでしょう。だから,安いのを欲しがるのは当たり前なんだが,でも危険性があればだれも欲しがりませんよ。  今,公共的に我々純粋な消費者感覚から言うと,高い安いはどうでも,まず安全なものが第一,その中で一番安いものをねらうのが目的だと思うのだよね。だから,きょう先生の話を聞くという中で,こういうシステムでこういう安全の担保をつけられるシステムがありますよと。だから今後こういう表示のものをきっちり皆さん買うようにした方がいいとか,そういう話を聞けるのかなと思ったのですよ。  だから,これは県の農林水産部の方でも,いかに安全なものを県民に対応する指導をしていくかということで大きな問題だと思うのですが,表示をする必要はないという感覚の,そんなの自己満足だと思うのだな,中途半端な学者の頭みたいな気がするんだが,きちっと,だめだよこういうのは,と思います。  以上です。 24 ◯加倉井委員長 五木田委員。 25 ◯五木田委員 関連なのですけれども,今のGAPの表示をする,しないというのは,最初は仕入れ基準ということが基本的,ただ,今の話の中でも対象者には表示すべきだと。それで,そのスタンスをちょっとお聞きしたいのですけれども,中国,台湾,韓国,あとはベトナム,タイ,そういう東南アジア諸国の思い,体制,考え方というのは,どっちの方なのかどうか。  それから,もう一つはGAPのちょっと意味がわからないから,「G・A・P」の解釈について,わかる範囲で教えてもらいたい。例えばJISマークみたいにジャパニーズ・インダストリアル・スタンダード,そういう決められた枠内でやっているようだったら全部表示するよね,商品。でなくて,このGAPについては一番先の説明では仕入れ基準だから,仕入れた,今言ったメーカーの方で安全ならば,メーカーでその次の表示をしてやればそれでいいのか,そこらのところの考え方と東南アジアではどう考えて今進捗しているのか,そこら辺わかる範囲でお聞かせ願いたい。 26 ◯玉造参考人 そうですね,今の御質問の中で2点あるかと思いますが,まずは簡単な方からということで,GAPの頭文字ですね,グッド・アグリカルチュラル・プラクティスですね。これは農水省の訳も大分変わっておりますが,最初は農業適正規範という表示をしていたのですが,よくわからないのですね。ですので,最近は農業生産工程管理の手法というような呼び方をしていまして,直訳するとなかなか難しいところがありますので,要するに安全な農産物,そして環境に配慮されたもの,作業者も安全な農場というところでの工程管理をしていきましょうという形ですね。協会側としては,よい農業のやり方という訳をしている方もいらっしゃいますけれども。  海外の取り組み状況に関しては,余り深く理解していない部分がありますが,まず一つ言えるのは,やはりふえていると。特に中国は国の政策として,中国はチャイナGAPというものを一つつくっております。これも特に表示はしていないわけですけれども,輸出国ですね,当然国内の消費もあるわけですが,する中で,まずは買っていただくために,例えば日本に買ってもらうためにGAPに取り組むと,彼らの中には消費者にどうこうという視点は特にないわけですが,日本の商社にいかに買ってもらえるかと,その取り組みとしてどんなことをやっていくか,これはヨーロッパのグローバルGAP視点の取り組みだと思いますけれども,指導員も昨年聞く話ですと,政府が養成して200人の導入指導員が生まれていると,審査員も生まれたという話を聞いております。  東南アジアに関してはちょっと情報を持っていなくて,細かい御説明はできないかもしれませんが,認証農場はふえていると。  一つ,昨年か一昨年のFOODEXという食品の展示会が幕張で行われたと思いますが,そこで国内の食品事業者がたくさん農産物も含めて出ていたわけですけれども,その中でメキシコですとかチリといったような国のブースには,メキシコGAPを取り組んでいますよというブースが幾つも見られております。ですので海外からは,末端の表示をするかしないかという部分よりもこういうホールセール,ビジネス,小売りという部分ではなくて,大分使われ方が海外では広がっているのかなと。  海外の貿易という視点ではそれでいいのかもしれませんけれども,先ほどおっしゃられたように,国内には消費者という独自のマーケットがあるわけですし,生産者はそれに向けていろいろなマーケティングをしています。この機能が足りないという御指摘がかなり大きく,実際そうだと思いますけれども,消費者とどう向き合っていくかという議論をしなければいけない部分なのかなと思います。これは買い手の方々等も含めた上で表示する,しないを含めて,まず,今GAPの基準が一つではないわけですので,まずそれを一つにした上で表示をどうしていくのかという,ちょうど議論の時期に,GAPが日本に誕生してやっと3年目ですから,そういう時期に達してきているのかなとは考えております。 27 ◯五木田委員 ちょっと単純な話を聞きたいのですけれども,コンサル料という説明があったと思いますけれども,GAPのコンサル料については,これは量がふえればペイできるでしょうけれども,実額どれぐらいなのか,それとも製品に何%ぐらい入っているのか,その辺,わかる範囲で聞かせていただきたい。 28 ◯玉造参考人 コンサル料がかかったのは初年度のみです。  このGAPの導入に関しましては,初年度の事業額として400万円かかっております。そのうちの大半,300万円強がこのコンサル費用,いわゆるGAP導入の指導料になっております。  現在日本GAP協会は指導の業務を行っておりませんが,当時は行っておりまして,その外注費用ということでかかっております。 29 ◯五木田委員 わかりました。 30 ◯加倉井委員長 ほかに。  本澤委員。 31 ◯本澤委員 余り言葉が上手でなくて率直に伺いますけれども,会員の方々は,このいばらき農産物流通研究会の方々は,GAPをやることによって収入はふえていますか。売り上げ,農産物をどこかスーパーなどに売っているのでしょうから,その収入はGAPをやることによってふえているという話でしょうか。 32 ◯玉造参考人 そうですね,それぞれの農場の情報は持っていますけれども,財布の中身までは情報を持っていませんで,詳しい幾らふえたのかという部分までは,正確にすべての生産者把握しておりませんが,我々の根本的な目的としては,やはり規模を拡大していくという共通理念がすべての農場にあります。逆に規模を拡大しませんかというところで人を集めていますので,その中で何が大切かといいますと,既存で,例えば市場もしくはJAさんに100円で売った商品を,有利な条件の110円が出てきたからこっちにシフトする,これでは農業経営はうまくいきませんよという指摘を最初の,私が前職で提案をさせていただいたときにあります。そこはそこで大事な取引先としてつき合うべきだと,新しくできた販路に関しては規模を拡大して生産しましょうと,それで1億円の農家を目指しましょうということを上げております。  ですので,基本としては,我々のグループはそれぞれの農場にとっては販売チャンネルの一つだという理解をしてほしい。今まで所属している任意組合ですとか,さまさまな部会がありますが,そこはやめずに,継続的にそこも信頼関係を保ちながら商売を広げてくださいと。  また,別な販売先として我々用意しますと。販売先をつくるための研究会という位置づけにもなっておりますので,ただ始まってすぐこれ1年間続くかどうか,自分のところで売っているチンゲンサイが一年じゅう取り扱っていただいて,今後も継続的に扱っていただけるかどうかという判断ができたタイミングでは,ハウスを増設したりですとか,そういう農場は幾つもあります。ですので,大きくふやした分は恐らく収益が上がっているのだろうなという解釈をしておりますが,そういう農場もふえております。 33 ◯本澤委員 規模拡大ができているということは,再生産価格で売れているのかなという気もするのですけれども,実際資材費が厳しい中,販売額は全然伸びないという現実が今言われていますよね,にもかかわらず,まだコンサルタント料も含めて大変な費用がかかっていて大丈夫なのかなと。だからここで,GAPで審査して生産された野菜がほかの野菜よりも高く売れていれば,差別化がされていれば,これはどんどん食いつくと思うのですけれども,差別化はされていますか。 34 ◯玉造参考人 されています。 35 ◯本澤委員 やはり価格差はありますか。 36 ◯玉造参考人 あります。  これはJGAPによるものではなくて,JGAPを根拠とした販売の活動の中で得られたものだと思っていますが,例えばこの周りの生産者の方々がJGAPの認証を取得しましたと。それを市場に持っていきましたと,これは10円,20円高く売れるかというと,恐らく売れないと思います。例えば水戸の市場の仲卸の方がJGAPの理解をしているかどうか,これが全く疑問ですね。恐らく茨城県の市場の関係者の中で,JGAPの指導員研修というセミナーがありますけれども,そこに参加された方はいらっしゃいません。今市場関係者で来ているのは,横浜の丸中さん,東京青果,シティ青果,こういう大手の市場の方々はいらっしゃっています。  現に丸中青果ではJGAPの農産物が扱われております。それは売り手の方々が理解されて,そういうものを望むお客様にそれをお届けしているという実情があるわけですね。やはりサプライチェーン,今つくっているものがだれのところに届くのか,そのルートが確立されない限りは,市場の相場に振り回されてしまうわけですね。これから抜け出そうということで,我々の,例えば外食向けに出している品目が10数品目ありますが,この価格に関しては1年じゅう同じ価格なのですね。いつつくっても同じです。そのかわり量もほぼ一定しています。ですので,生産者側はこれを安定的につくるためにはどうすればいいか。ですので,そのコストというのは,我々生産者も今よりも条件が悪いところに販売しようとは思っていませんので,まず売るか売らないかは,私の方でこういう品目がありますよと。大体これぐらいの価格でここで売れますよと,もっと安くほしいと,それは必ず生産者に伝えます。この価格と条件を出しますかと,仮にそのときの相場よりも安くても,1年じゅうこの値段で売れればもとがとれると,いわゆる年間を通しての再生産価格に見合うという判断がされたら,やられる方もいらっしゃいますし,プラスアルファの販売ができない限りは恐らく出荷はしないだろうなと思っていますので,そういう意味ではよりいい条件,これだったら出してもいいよという話で今の販売は実現しておりますので,損をしている生産者というのは恐らく一人もいないと思います。 37 ◯本澤委員 ここ茨城県は非常に大消費地の東京と近いものですから,農協などでもそういうきちんと生産履歴があるものをと,GAPとは違う形で,市場に大田市場などに出しているわけなのですよ。ところが実際有機野菜は,こだわり野菜ということでまた別なコーナーで扱う。あとは農協関係でまとまって出荷された野菜も,ちゃんと特別に見てもらっているようなのです。ところが,大田市場のもっと違うところに行くと野積み,たくさん任意農家から持ってこられたものが山になっていることがあると。最終的にはどうしてもそのものに足を引っ張られて,農協から出されたものだとか,こだわりはこだわりであるのかわかりませんけれども,なかなか価格が伸びないで,結果的には農協の出荷品もぐっと価格が下がってしまっているんですということが,ふだん私へいろいろな農家の方々から話があるものですから,そのこだわり商品としての価値が,数字的にはどれだけ懐に利益をもたらしているのかというとちょっとわからないという話ですが,その辺がどれぐらい伸びているかが今大切なことじゃないかなと思ってお聞きしているわけです。  ここは余りにも近過ぎて,任意の出荷業者が自由に売り場に入っているところもあるものですから,その確立,GAPがどれだけ認知されているのかなということが,ぜひ農家の収入など後でわかればと思いますので。  あと,今,会員が何人でしたか。 38 ◯玉造参考人 36名です。 39 ◯本澤委員 36名が,会員から会員ヘの口伝えで入ってくるようにしていると言いますけれども,2年間でどのくらい会員が,ぜひそれに入った方がいいなという思いで入ってきているのかということも,やはりGAPのバロメーターになるんじゃないかと思いますけれども,どうですか,2年間でふえ方というのは。 40 ◯玉造参考人 3年目にしてようやく基礎ができたと私たちは思っているのですが,最初の集まった40名というのは,実は考え方もいろいろな方がいらっしゃったわけですね。資材店のお客さんを中心に提案をさせていただいているので,期待している部分もそれぞれ違いますし,これが2年目のときには大幅な入れかえが発生しました。10名ぐらいがやめて,10数名が入会してくるということで,一つの,これは最初は創生期なのでやむを得ないことだと思いますが,2年目である程度の今の基礎ができて,3年目では足りない部分の生産者が入ってくる。  例えば今は野菜ばかりでなくて,ことしはお米の取り扱いもさせていただきました。米の業者の方々,大手の卸ですけれども,GAP認証をとったお米が欲しいと。野菜でやっているのでお米でもできないかと,茨城県にもお米を生産している方たくさんいらっしゃいますので,そこから生産者を芋づる式というか,つながりがあるところで集めていって,ことしはある程度の量の出荷ができたわけですけれども,3年目にしてようやく基礎ができたかなと,これから人数がふえていくかどうかというのは,生産者の満足度とはまた別な部分があるかもしれませんけれども,今,年間でもこのグループの売り上げが1億円ぐらいなのですね。ですので,今の潜在能力とすれば,恐らく20億円ぐらい売れる生産量を持っていますのて,当然規模を拡大するということを見込んだ上でですけれども,ですので,今は品目をふやすと,人数をふやすということではなくて,より規模拡大していただくことで伸ばせる販売量をいかにつくっていけるかということで,私の方は中心的に考えておりますが,もし足りない部分に関しては,例えばみず菜の生産者が数名しかいないと。ちょっと安定供給しないといけないわけなので人が足りないという場合には,その近所の方でもいいですし,こういうGAPに取り組めそうな人を紹介してもらって,その人にリスクを分配するという人のふやし方はあるかもしれませんけれども,あとは足りないアイテムに関して,ほかの生産者に加わっていただくというのはあるかもしれませんけれども,ここは何10人ということで,量的な拡大をしていこうと今は考えていない。むしろ質的な拡大をする時期かなとは考えています。 41 ◯本澤委員 会員の方々の3年間の経過の中で不平,不満,こうあってほしいという,いばらき農産物流通研究会の中で,もっとこうありたいなみたいな不安みたいなものがあれば。 42 ◯玉造参考人 そうですね,今一つあるのが規格外商品の取り扱いですね。いいものばかりができるわけではないので,上物,下物をどううまく売っていくかと。  事例としては,これは1年目のときから一つあったのですけれども,大きな,2L以上という大きさなのですけれども,ものになればビール瓶ぐらいの人参の規格を限定した外食のお客様がいらっしゃって,当然量販店に並ぶようなものをやっていてもそういうのが出てくるのですね。ある程度の場合は,時期によって,いい条件か悪い条件かわかりませんが,例えばそんな大きなものを市場に持ってきてしまうと,例えばキロ単価でも30円とか20円とか使いようがないわけですね。大き過ぎて。でもそれがほしいというお客さんがいるわけですね。ここでは80円に化けるわけです。こういうのがあるものですから,うちのサツマイモ,こんな小さなものもあるんだけれどもどうにかできないかと。  あとは,大きくなり過ぎてしまったコマツナがどうにかならないかということで,そういう,今どうしても量販店というといいところだけを欲しがりますよね。LサイズとかMサイズとか,ほかの部分をうまく販売先として確保してもらいたいというのが,一つの要望として上がってきてはおります。 43 ◯加倉井委員長 山岡委員。 44 ◯山岡委員 きょうはせっかくお越しいただいたのですから,例えば県でこういうことをやってもらえたらいいとか何とか,そういうのがありましたらお聞かせください。 45 ◯玉造参考人 そうですね,このGAPという点に関して申し上げますと,まだまだいろいろな場面で普及がしていないなということは感じます。これをやるかどうか,生産者が主体的に選んでやるべきだと思います。決してやらされるものではなくて,これはやるべきだとか,やりたくないけれどもやらなければいけないとか,というところで取り組むべきことだと思います。  ただ残念なことに,このGAPの中身というのがなかなか広がっていかない部分があると思うのですね。量販店もくしは消費者という方々に対しては,そういう物がなければ何の説明のしようがないわけですよ。ですので,まずは認証登録は別としても,事故の少ない産地づくりという意味では,安倍内閣のときにあった新農政2001の中では,あと何年後か忘れましたけれども,2,000産地にGAPを導入するということが上げられているわけですね。この中で,まずは正しいGAPの理解,もしくは情報を,いろいろなJAさんも含めて県内に広めていただきたいなという部分と,これをやろうと思っても,どうやったらいいのと困ってしまうわけですね。相談しても,だれもまだちょっと勉強中ですと答えられてしまっても,せっかく熱いうちに打たなければいけないので,JAさんの営農指導員でも構いませんし,普及員でも構いませんし,そういったところでやりたいという人,やらなければいけないという人に対して,そういう指導をしていただきたいなというのもありますよね。  私も今ユニオンファームとして茨城県の法人協会に所属しておりますが,やはりそれぞれの法人の中には,取引先から認証を取得するように言われているところがたくさん出てきて,やりたくないとか,やりたいとか言っている場合ではなくて,やらなければいけないことが出てきますので,そういった部分である程度生産者への情報供給が必要なのかなと。  余りやりたくないですよ,手間かかるので,痛いところつかれたりとか,見られてほしくないところを表に出してしまうので,黙っておきたいところだけど,やはり今の状況で生産者がやらなければいけない局面だと思います。 46 ◯山岡委員 ありがとうございました。  それで,執行部にお伺いしたいのですけれども,農林水産部としては,このGAPというものに対してどういうふうに取り組んでいくおつもりなのか,まだ決まっているかどうかわからないのですけれども,考えをお聞かせいただければ。 47 ◯加倉井委員長 大和田技監兼園芸流通課長。 48 ◯大和田農林水産部技監兼園芸流通課長 GAPの推進につきましては,この委員会でも暫時報告していると思います。  先ほど出ました全国で250と,そのうち茨城県では95農場がGAPをとっているということで,なかなか今,玉造さんが御説明いただきました,JA,役場で取り組めない産地もございますの,基礎的なGAPということで,今,営農支援センターとともども,いわゆる部会で,JGAPまではできないけれども,もうちょっと安全に取り組みたいということ,基礎的なところをきちんとまとめた中で今指導をしてございます。  できるだけJGAPという取り組みもふやしていきたいと思っておりますので,普及員を対象にした研修会というものもやりまして,生産者から求められれば,そういうことも指導できるように,今,充実を図っているところでございます。 49 ◯加倉井委員長 よろしいですか。  ほかにないですか。  ないですね。  それでは,以上をもちまして玉造様からの意見聴取を終了いたします。  玉造様には貴重な御意見をいただきまして,大変ありがとうございました。本日いただきました御意見等につきましては,今後の委員会審査の参考とさせていただきたいと存じます。本日は,まことにありがとうございました。  それでは,ここで暫時休憩をいたします。  なお再開は午後1時といたします。                 午後0時0分休憩      ───────────────────────────────                 午後1時0分開議 50 ◯加倉井委員長 休憩前に引き続き委員会を再開し,参考人の方から意見聴取を続行いたします。  本日2人目の参考人といたしまして,株式会社塚原牧場代表取締役の塚原昇様より御意見を伺いたいと思います。  塚原様におかれましては,大変お忙しい中,本委員会のためにお運びをいただきまして,委員会を代表しまして心から御礼を申し上げます。  塚原様のプロフィールにつきましてはお手元に配付してありますが,現在,国内で約100頭前後しか飼育されていない梅山豚(メイシャントン)を生産出荷され,その品質の高さと希少性から「幻の豚肉」と呼ばれるほど,高い評価を得ております。また,エコフィードを取り入れるなど,環境にもこだわった独自の飼育にも取り組まれているとお伺いいたしております。  それでは,早速ですが,塚原様,よろしくお願いいたします。 51 ◯塚原参考人 御紹介いただきました塚原牧場代表の塚原でございます。きょうはこういった機会をいただきまして,大変光栄に思っております。40分ですけれども,よろしくお願いいたします。  今回のテーマの「安全・安心で付加価値の高い農林水産物を提供していくための生産,販売,情報提供」ということですけれども,タイトルはやっぱり複雑ですので,梅山豚(メイシャントン)を私どもやらせていただいておりますので,その事例を紹介することで何かの御参考になればと思っておりまして,事例をまとめてきておりますので,ごらんいただければと思います。  スクリーンをぜひごらんください。  まず,私のプロフィールから,1966年生まれの41歳です。千葉大学を卒業しておりまして,日本合同ファイナンスという,今は株式会社ジャフコと名前は変わっておりますが,野村証券のファンドをやる部門でした。今ファンドは悪の象徴みたいになっておりまして,当時は平成元年でしたので,ファンドという言葉が皆さんよくわかっていらっしゃらないような時代でした。僕はファンドの走りのような人間の一人でして,当時も数人しか同僚がいないようなところで,野村グループの一員として茨城県内にも大分お金を落としまして,一番私が担当した先で今伸びておりまして一番有名になっておりますのが,ライトオンさんというジーパン屋さんですね。あれが4店舗のときに,立川が本社だったのですが,つくば市に移りたいということで野村グループにお越しいただいて,私が4億円を入れまして,今は東証一部に上場しておりますが,大分サクセスしたというストーリーの一つです。エコスさんも当時私が担当しておりまして,まさか茨城に出ていらっしゃるとは思いませんでしたけれども,エコスさんも担当の一つでもあります。  そういうファンドといって,お金を入れて株主になって上場してもらうと。上場したらマーケットは上場した市場で売るという商売を5年間やっておりまして,金まみれのことを5年間やってきまして,5年で退社をしております。  そこで,もともと社長になりたかったのですね。何か会社を起こしたかった。父親がやっておりました豚肉の生産販売会社の子会社が「ACT21」という会社がありまして,ここが新規事業ということで梅山豚を販売するということをやっておりました。そこを私に売ってくれと,子会社だったんですけれども,で,半分の株を私が買い取りまして私が代表として戻ったというか,跡継ぎなのですけれども,結局子会社部門を買い取って社長になったというのが歴史です。  豚の生産に携わってみますと,豚はくさい,あと本当にハエとか,あとうるさいということで近隣の迷惑がありまして,しかももうからない,全然もうかりません。大赤字でした。梅山豚は全然売れませんでした。  何か社会的に貢献するものをやらなければいけないんじゃないかと,存在意義がないではないかということで,筑波大学を社会人入学で受験しまして,環境科学研究科ということで,リサイクル,今はエコフィードという名前になっていますが,当時は全然そんな名前ではありませんでして,リサイクル,捨てるようなもの,要らないものをえさにしようではないかという研究をやりました。それが畜産が存在できる意義だろうと,当時考えたのです。  それで私の論文で書いておりますのが,カゴメ六条麦茶の搾りかすですね,麦茶の搾りかすをえさにしようということで論文を書きまして修士をとっております。カゴメ六条麦茶は,当時カゴメ那須工場で全量燃やしていまして,年間4,000トンを燃やしていました。私が大学院のときにスタートしまして,今は全量えさになっているというものです。ですから,もともと私がカゴメ六条麦茶の,麦茶の搾りかすですよ,大麦ですけれども,北海道産大麦なのでいいものなのですが,いかんせんなかなかえさにする人がいなかった。それをやり遂げたということで,エコフィードのスタートがそこで切れています。大学院で勉強をしておりました。  2002年,これは忘れもしません。BSEが日本で発生した年です。牛は危険だということで,何か牛にかわるいい豚はないのかということで,みんな探した時代です。そのときに,全然売れなかった梅山豚が急に売れるようになりました。それまで,余って,余って,たたかれて,たたかれて,どこにも持っていきようがなかった梅山豚ですけれども,和牛にかわるものでいい豚肉がどこかにないかという問い合わせが殺到して,そのときから,今もそうですけれども,売り切れの状態が続いています。  そこで私も考えまして,ACT21という名前では豚肉屋ではないような気がするなと思って,エコフィードをやるにはいいのですけれども,リサイクルなどをやるには。で,会社を分けまして,塚原牧場という会社で販売をしようということで会社を分けております。
     そこで余りの問い合わせが来ました。ちょうどそのときに「梅山豚苦労物語」みたいのを俳優さんが30分番組でテレビで,徳光さんの番組がやってくれたのですね。役者さんが私のかわりとか父親のかわりをやって,梅山豚をやるのはどれだけ大変だったかというのを,たまたまこのときテレビでやっていただいて,そうしたら会社の電話がパンクしまして,3日ずっと電話取りっ放しで1年ぐらいの受注をそのときにいただきました。そこで,じゃあ会員制を組織しようじゃないかということで,ファンクラブを同時に立ち上げて「梅山豚倶楽部」というのがなっております。  そこで会報というのが毎月ありまして,皆さんのお手元の資料の中に入れてありますけれども,会報が入っております。そういった会報をファンクラブには毎月,毎月,お肉をお届けするのと一緒にニュースとか情報をお届けしておりまして,70号近くになっておりますけれども,当時から始まっているものであります。  2004年に,余りに梅山豚がずっと売り切れなものですから,会社が伸びないじゃないかということもありまして,梅山豚のようなやり方を教えてほしいという会社,お問い合わせがたくさんありまして,じゃあ梅山豚でないものを売る会社をつくろうということで,子会社で「膳」という会社をつくっております。  筑波大学で勉強して,筑波大学発ベンチャーというのもちょうどいただいておりまして,筑波大のベンチャー企業になっております。  博士課程に最後は進んでおったのですけれども,事業の方が忙しくてなかなか博士にはなれなかったのですけれども,一応中退ということで私のプロフィールを終わります。  グループは,先ほどから言いますけれども,三つの会社があります。この真ん中にもう一つ会社のようなものがあります。これは農林水産委員会ですのでおわかりになると思うのですけれども,ACT21というのは,今はえさをつくっている会社になっております。エコフィードですね。もともとそこで豚肉もやっていたのですけれども,豚肉は塚原牧場という一番右の会社がやっております。真ん中にあるのが塚原農場という,個人事業主としての養豚業をやっている塚原家があります。えさはACT21がつくって塚原農場に売ると。塚原農場でできた梅山豚は全部塚原牧場が買い上げると。で塚原牧場が消費者に売っていくという仕組みです。  ACT21というのは,えさのエコフィードのコンサルティングもしています。北海道でコンサルティングを今やっておりまして,養豚家のコンサルティングをした豚を,今度は新しく子会社の膳という会社がまた買い上げて総代理店になって,それを販売するという2系統のビジネスを今やらせていただいております。  グループの紹介ですけれども,梅山豚というのはこういう豚です。中国からパンダの次に贈られてきた日中友好のプレゼントです。パンダがいない今,梅山豚は非常に貴重なプレゼントになっております。茨城県は非常に梅山豚とゆかりが深い,それは農林水産省にプレゼントされたものはつくば市にいるのです。あともう一つは独立行政法人家畜改良センターという,もともと関城ですね,関城に牧場がありまして,茨城の牧場でそこにいます。あと私どもということで,100頭のほとんどが茨城県内に梅山豚はいるのです。  私どもは直輸入ですけれども,プレゼントされた梅山豚と直輸入した私どもがほとんど茨城県におると。そこに種豚が,100%原種豚ですね,100%がいるわけです。  猪八戒のモデルになったのではないかとか,いろいろな説がありまして,中国は何で梅山豚をプレゼントとして,パンダぐらい貴重なものとして日本に贈ったかというと,世界で一番多産で赤ちゃんを産むのです。1回で33匹産んだというものすごい記録がありまして,うちの父親は会長ですけれども,やはり地球を救う豚だなと,食糧危機になっても33匹も産むのかということでうれしくなって輸入をしたわけですが,そこが地獄の始まりでして,未熟児が30とか20とか産まれますので,育てるのが大変。やはり1匹が小さいものですから,そこで非常に苦労したということではあります。でもたくさん産むというのは非常にいい可能性があります。  これがエコフィードです。私ども今10種類以上のエコフィードというのを混ぜてえさにしております。先ほど紹介しましたカゴメ六条麦茶の麦茶の搾りかすというのも当然入っております。あとは霞ケ浦で,舟和の芋ようかん向けに芋問屋が芋をむいているのですね。それが舟和の芋ようかんになっているわけですけれども,芋をむいて,中はようかんですけれども,外は要らないのですね。それを私どもは乾燥してえさにして,茨城県産紅あずまです。それとマ・マーマカロニさんのスパゲッティとか,マクドナルドさんのパン粉とか,トップブランドと直で私どもは引き取りをさせていただいて,それをえさにするということで,しかも春とか秋とか夏とか冬とかいろいろな季節がありますので,微妙に割合を変えながら,同じ品質を安定的につくる努力を,大学院で勉強したものを現場に落とし込んで,普通の豚肉はトウモロコシが50%以上で育っていますが,私どもはエコフィードという,自分で調達したえさで100%育てております。  そういったものを教えているのが北海道でして,北海道の望来豚(モウライトン)という豚を今プロデュースして,総代理店として販売をしております。望みが来るといういい名前,これ場所の名前でアイヌ語ですね。当て字ですけれども。  こちらの豚は何を食べているかというと,牛乳ですね。北海道ですから,明治のおいしい牛乳を食べております。あとチーズの上澄み液のホエーという,チーズは水に浸っておりますので,あの水のホエーとか,あとパンとかうどんとか,あと北海道はジャガイモですね。ジャガイモをゆでる工場がたくさんありますので,ゆですぎている部分があるので,それを食べさせるということで,北海道らしい豚を僕がプロデュースして,しかも伊勢丹とか本州に持ってきて販売をしております。  少し豚肉の話をさせてください。  豚肉はもともと庶民的なもので,一番手軽なものが豚肉でした。その大半は三元豚という豚です。皆さんも聞いたことがあると思うのですけれども,ランドレースのLと,Wは大ヨークシャーのW,デュロックのDという3種類を掛け合わせたものが三元豚と,LWDと業界では言っています。何でLWDがいいかというと早く育つし,あと歩どまりがいいし,要するにLWDは経済性が高いわけです。大量生産,大量消費の時代の象徴のような豚です。  じゃあ,これ以上もっと豚肉を食べたいのか,もっともっと豚肉が必要なのか,子供たちがもっと食べるのかというと,ちょうど行きどまって折り返しを過ぎたような形に,今なっていると思います。時代が変化してきているのです。  今はBSEとか鳥インフルエンザなどがありまして,安全が見直されて,豚で変わろうという動きが今あります。  さらに,大量消費の社会から,価値,高くてもちょっといいものが食べたいという人がたくさんふえています。生ハムとかイベリコ豚とか,国際化の中でたくさん多様化をしております。あと,中国ギョーザ事件など,私どもにも大分影響がありますけれども,安全性が見直されております。  ブランドって何だろうというふうによく言われておりますが,もともとは牛の枝肉に判こを押したのがブランドで,私の牛と,だれの牛かわからなくならないように判こを押したもの,これは自他と区別するものがブランドです。  よくソニーなども,ソニーという会社自体がブランドだとよく言われる,これはコーポレートブランド。あとトップブランドいうのがあります,いろいろ商品の中で,これはトップブランドだねというのも商品の中では存在します。あと,例えばスターブランド。ルイヴィトンとかエルメスとか,ああいうものみたいにスターもあこがれのようなブランドが存在します。  ブランド論というのは,どうやって売ろうかということでいろいろ発展してきている歴史で,環境をずっとやってきていますけれども,博士課程では環境マーケティング,どうやって環境を売ろうと,売れる環境にするかというのは相当マーケティングを勉強しました。  うちの塚原グループのミッションは何だろうとよく考えておりますけれども,今まで折り返しを過ぎた食のあり方を変えたいなと思っていまして,新しい食のあり方を提案したいと。豚肉などは特にそういうものでして,格づけでは背脂が厚いかとか,柔らかさはどうかとか,味には全く関係ない部分が格づけになっています。これはおいしさ,あと食の喜び,環境への貢献,あと私どもは種の保存,私どもにしかいない種ですので,自分で保存しなければいけない。それから,近親交配にならないように掛け合わせも勉強しなければならない。そういったものとか安全性,食育,農業を継続させていこうということなどが私どものミッションになって,こういったものがブランドの確立につながっていっていると思います。  少し歴史を話させてください。  平成元年に直輸入に成功しております。ちょうどその年,林間放牧場が放牧をスタートしております。それが草創期ですね。  私が帰ってきましたのが94年ですから,95年に梅山豚も三元豚も両方いまして,どっちつかずだったのですね。売れなかったのですけれども,梅山豚専業にしようということで統一しました。当時80頭いたのですけれども,その後,近親交配で非常に悪くなりまして,20頭ぐらいに減ってしまった時期があります。その後,農林水産省が協力をしてくれまして,今90頭以上の種豚を確保できていることに成功しておりますが,近親で途中はひどかった。  97年エコフィードをスタートしております。  2002年に塚原牧場を設立したと同時に,ここが非常にポイントだなと思うのですけれども,ブランド事務所と契約をしております。私ども小さいリーフレット,パンフレットの小さいものみたいなものを入れておりましたり,そういった読み物みたいな会報が入っておりますけれども,すべてブランド事務所がデザインして,ブランド事務所と二人三脚で,外の人が見るもの,ホームページもそうですが,全部ブランド事務所が管理しながら出していくと。自分たちがやらないというのに徹しています。プロに任せていくと。僕らの目指すところはトップブランド,絶対的なトップブランドになりたいので一緒にやってほしいと,ブランド事務所と当時契約をしまして,今でも月15万円以上の,当時も全然売れていないのですけれども10万円以上のお金を払って,今も15万円以上の月々のお金を払って,すべてのうちが見えるもの,見せるものについては全部検閲ではないですけれども,ブランド事務所のコメントを通ったりデザインを通ったりしてものが出ていくような仕組みになっております。そこでとったものが商標です。梅山豚のマークが商標登録なのですけれども,あのマークを見ただけで名前を書いてなくても,今は梅山豚だねとわかるようにだんだんなってきてくれておりまして,やっぱり区別する,ほかの商品と区別するものになっています。  2003年デパ地下で販売を開始ししました。  2004年に望来豚を販売しております。  それ以外でブリティッシュバークシャー,これは黒豚ですけれども,販売をしてほしいという依頼がありまして販売をしたり,今,生ハムもつくっております。  塚原牧場グループのブランド戦略,ブランド体系というのをちょっと説明させてください。  普通,豚肉というのは55%輸入です。すごいですね,豚肉の輸入が55%です。  国産豚肉というのはテーブルミートといって,御家庭に売っているものは大体国産豚肉です。アメリカンポークと書いていない限り国産豚肉だと思います。  その上に銘柄豚というのが,今ふえてきていまして,200以上あるといわれています。  この上に黒豚のマーケットがあります。梅山豚はここを目指しています。黒豚の上,黒豚の中の黒豚というブリティッシュバークシャーというのを販売しております。望来豚は黒豚と銘柄豚との間ぐらいを目指している。望来豚の中で少し格が落ちたものを石狩美味豚ということで,銘柄豚の真ん中として販売をするという位置づけで今やっております。  梅山豚はスーパーブランド,日本に原種が100頭,日中友好の贈り物,世界一の多産系,あと雑食,いろいろなことがあります。トップブランドとしてのブリティッシュバークシャー。あと,セレクトブランド,これは名前ですけれども,こういったものを区別しながら,どういう豚肉として世に出していくんだというコンセプトを明快にしながらやっております。  生産戦略ですが,希少性の維持,今,原種豚90頭,これは赤ちゃんです。本当に赤ちゃんはかわいいですよね。  林間放牧,これはクヌギの森に放しておりまして,ドングリの時期にはドングリが食べられるような豚になっております。  あとDNA管理,これは個体を一生懸命管理をしておりまして,なるべく親戚が結婚しないように,遠いところで結婚させるように一個一個の個体を耳に番号をつけて,名前がついております。  あとエコフィードですね。これは私どもの特徴です。で,おいしさを科学的に分析して生産をしております。  商品戦略。  もともと最初のころは入門編として,精肉というパッケージのお肉を売っていました。これはお試しセットといって,電話で御注文いただいて,まずこれを食べてみてくださいというものです。  あと基礎編,認知度を高めるために肉まんとかを開発しました。梅山豚の肉まん,つくば西武には置いてありますので,ぜひお近くに行きましたら買っていただければと思うのですが,今非常に冬は肉まん屋じゃないかぐらい売れております。  応用編,もっとおいしさをわかっていただくため,ウインナーとかハンバーグなどの惣菜類も私どもつくっております。  プレミアム編,これはこだわり中のこだわりの方のために,生ハムとかをつくっていまして,今多分日本で一番私どもが国産で生ハムをつくっている業者だと思います。今500本ぶら下がっておりまして,1本売りなのですけれども,レストランで1本ぶら下げて,この1本をこういう形でぶら下げているのですけれども,14カ月熟成です。ですから,1年以上ぶら下げて日本の四季を1年くぐったもの,イベリコ豚もそうですけれども,みな1年以上ぶら下がっているものです。1年以上ぶら下がって旨味が凝縮したものを,今はミシュランで二つ星,三つ星みたいな,あとホテルですね,そういったところのレストランに限定して卸しております。ことし200本完成する予定が,完売のペースで今動いています。ちょうど今クリスマスで一番売れるときに当たっていまして,非常に今飛ぶように売れております。  販売戦略ですけれども,先ほど会員制直販「梅山豚倶楽部」と,ちょっと字がはみ出ていて済みません。倶楽部には今500人ほどの会員さんが日本じゅうにいらっしゃいます。それはテレビに出て爆発的に問い合わせがあって,そのときのお客さんというのは多分4,000件ぐらいお出ししていると,そのうちで会員制としてファンクラブに残っていただいた方が今も動いています。その方に毎月,毎月会報を入れながらお届けしているのが「梅山豚倶楽部」という個人宅配の事業です。  こういうふうに牧場を開放しまして,皆さんに遊びに来ていただいて,梅山豚を見ていただいて,バーベキューをして帰ると。こういったことをやっております。今はちょっと中断をしておりますけれども,昔はよくこれをやっておりました。  さらに,今一番主力になっておりますのがデパ地下です。これは伊藤ハムさんがデパ地下のお店をテナントとしてやっておりますので,そこに出ておりますので,ほとんど全部の百貨店に出ております。大体は月に1匹とかしかいかないのですね。ですので,日本橋高島屋さんにきょう1匹とかというスタイルなのです。そうすると高島屋さんのお得意先様ではお待ちいただいている方が多くて,半分はとり置きで,店に並ぶ前に売れてしまったり,高島屋さんが御自宅にお届けしたりとか,そういう商品になっています。店に余り並ばないですね。そういう商品です。  さらにプレミアムレストランとホテル,これは私どもは独特ですけれども,豚が少ないものですから,1エリアで1業種で1店舗と,だから東京でフランス料理1店舗,ホテル1店舗,豚カツ1店舗,カレー1店舗,焼き肉1店舗,そういうスタイルですので,皆さんほかとバッティングしないものですから長続きが非常にしておりまして,非常に長年のお客様ばかりです。これは陳さん,陳健一さんです。  梅山豚倶楽部のポイントは,いつも買えるのはここだけと,デパ地下ではいつも買えないのです。今月1匹しか入りません。きょうだけですよという梅山豚なのです。いつも買えないのです。売っていないのです。日本じゅうのデパ地下に出していますけれども,1匹ずつちょろちょろ出しているだけです。いつもは買えないのです。いつも買えるのは会員さんだけ,会員制に引き込もうという流れです。デパ地下はどういうことかというと,売り切れ必至の限定量と期間を設けてデパ地下の目玉商品になっています。あと,レストランでは当店だけ,当店にしか置いていませんという限定感を説明するという満足感がお店に生まれているので続いていると。私どもがブランド事務所と決めておりますのは,「いつもはない,どこにもはない」というキーワード,このキーワードでずっとやらせていただいております。「いつもはない,どこにもはない」。  広告戦略を少し話させてください。  もともと売れない時代,ブランド萌芽期というところですが,一生懸命出るものは出ようということでいろいろ露出しました。これは「どっちの料理ショー」です。これもずっと前ですね。「どっちの料理ショー」に出て特選素材に選ばれ,これは父親ですが。このときはしょうゆ豚骨ラーメン対塩ラーメンということで,僅差で負けてしまったのですけれども,でも豚骨スープ,チャーシュー,あと背脂,全部使っていただいて非常によかったのですけれども,敗れました。10回,素材で取り上げられ,多分豚肉では最高に取り上げられている豚肉です。10回です。通算ではちょっと負けていますので余りうれしくはないのですけれども。  次,ブランド伸長期。ブランドが伸びているときというのは露出先を選定し始めています。例えばこれは「サライ」という雑誌です。「サライ」,これは有名ないい雑誌ですね。こういう雑誌にだけ出ようという動きになっていまして,これ「旨いもの取り寄せ帖」という雑誌。「サライ」の中の別冊で梅山豚の点心という,中華料理の点心のセットを組んで販売をした企画です。  次,ブランド開花期。広がってくるとどうしようと,協調露出をふやす。自分たちだけでなくて,よその人と組んで出ようということになった。これは「dancyu」という有名な料理の食の雑誌ですけれども,これは「日本一のソーセージをつくりたい」というイタリア料理の職人さん,これはうちのお客さんですが,梅山豚を使って日本一のソーセージをつくるという企画で一緒に露出をするというやり方ですね。  ブランド結実期。非常に有名になってきますと,今ぐらいになってきますと,今度はあえて露出しないという戦略に今は実は変わっております。今は皆さんに知られないと,多分この中でも梅山豚というのは名前を聞いたことがないとか,知らないという方も多分いらっしゃったと思います。私どもも,今はあえて出ないという戦略に出ております。  たまに出るのはこんなものです。「料理王国」がこの前,3月号で出ました。これは「世界の10の豚をトップシェフが選びました」というものに梅山豚が入っております。世界の10に選ばれるというのを,こういうものには,私どもに取材は来なくて拒否していたのですけれども,向こうは出したいということで選んで出ると。うちがお出しているレストランのシェフが推薦しているのでやっぱり出てしまうのですけれども,こういった形になっています。  あと,これですね。今よくインターネットで売っているのですかと言われますけれども,インターネットでの販売はちょっとしかしていません。お試しセットといって,1カ月10人しか売らないということになっています。すぐ売り切れてしまうと。  インターネットでよくやっているのはこういう,これは「やまけん」という食のブログといって,日記みたいなものを書いている人間です。山本さんという人が「やまけん」というあだ名なのですけれども,彼が書くと農産物は売れると。彼がうまいと言うと売れるという超有名な男でして,彼も野村総研,野村にいまして,独立してこういったことをやっているのですけれども,ブログでもうかるわけではないのですけれども,執筆したりして食のことを書いている彼ですね。彼は特に梅山豚を推してくれています。非常に梅山豚はいいと,こういうことがいいんだということで,私どもは出ないのですが,ほかの人が書くというやり方で今露出は抑えながら,でも気が利いたところではちらちらと梅山豚というのは出てくるという動きを今とっております。  最後ですけれども,人材戦略。  やはり人が非常に重要です。いいものを長くお届けしていくためには人が重要です。いい人をとらないといけない,しかも長くとらないといいものはできないと思っておりまして,献身的な人材を長期的に採用すると。私どもには外国人はおりません。日本人だけですね。それも長く勤めてくれる人,若い人を採用しております。これは品質の維持と発展につながると信じています。  あと社員の思い入れ。みんなが梅山豚一番にするんだという思い入れがないと進まない。これ社外へのメッセージも十分効果を発揮しないことになってしまいます。  社内にマーケティングといって,みな社内に知らしめることは最重要だと思っていまして,何周年記念とか農場ができたよとかのタイミングでも,ことごとく全員を集めてしゃべったり,社内と社外のマーケティングを同じにしていったり,同じメッセージで社内にも発信したり,社員にブランド精神を持たせたりして,顧客と同じような約束事を社員とも築いていって,やはりいい会社,いい品質,いい商品にするんだという意識を社内全体に持たせていくことが最後重要なのかなと。  今私どもは150頭一貫というような,豚では中の下ぐらいの規模です。150頭という親豚の規模ですと。その中の下の規模で,実際には20人の,えさから生産から販売まで入れると,パート社員も入れて社員がいます。だから本当は三ちゃん農業じゃないですけれども,お父さんとお母さんと僕が食えるのが精いっぱいの規模ですが,それだけ人がふえていますので,人もそれだけの意識を持ってトップブランドをいくんだということが,非常に大事に今はなってきています。  ちょっと時間は早いのですけれども,これで終わりますので,ありがとうございました。 52 ◯加倉井委員長 御説明,どうもありがとうございました。  それでは,これから意見交換の時間とさせていただきます。  ただいまの塚原様の御意見,御発表につきまして,委員の方で御質問,御意見等がございましたらお出しをいただきたいと思います。  山岡委員。 53 ◯山岡委員 貴重なお話をありがとうございました。  注文に対応が間に合わないというお話ですけれども,これから梅山豚というのはふやしていくのは難しいのですか,それとも今の規模ぐらいでやっていこうと思われているか,それを。 54 ◯塚原参考人 梅山豚はスーパートップブランドにしたいと思っているんです。希少性は非常に重要だと思います。  それから,2倍ぐらいの規模まではしたいというのはありますけれども,それ以上広げるつもりはないのです。  そうすると,やるというとどうやって会社を発展させていくんだということですと,先ほどの望来豚とか,豚に始まり,私どもは物すごくいいレストランとかホテルとかお客さんを持っておりますので,例えば羊を販売してもいいですし,豚肉を直接お届けしているのですから,そういう多角化,野菜でも果物でも,そういったものをやりたいなと思っていまして,梅山豚自体はこの辺でちょうどいいなと思っております。 55 ◯山岡委員 梅山豚というのは,ほかの人がやろうとしても難しいのですか。 56 ◯塚原参考人 生産が非常に難しいのと,あと市場性といって,私どもはたまたまテレビにも出てファンクラブができて,それ以外で市場外流通といってお客さんがカチャっと,今レストランを含めてつきました。やはり皆さん売り先がないと市場にぶら下げるだけなのです。市場にぶら下げると,曲がったキュウリと一緒で規格外なのですよ。形が悪いので梅山豚は。うまいのですけれども,形が悪いのです。じゃあ苦労してつくったのに半値かと,僕らもそういう時代がありました。ファンクラブができて,やっと生き残れている。やはり売り先を持っている人がやらないと生産は難しいし,さらに高く売らないといけないものですから難しくなってくると思います。  だから,皆さんやれることはやれると思うのです。家畜改良センターで農水省から払い下げてもらって,やれることはやれるのですけれども,売り先ですね,そこが難しそうですね。 57 ◯山岡委員 ありがとうございました。 58 ◯加倉井委員長 ほかに。  五木田委員。 59 ◯五木田委員 ちょっとお伺いしたいのですけれども,今の豚の話ですけれども,アジア系では牛よりも豚の方が多く食べられていたのですけれども,例えば韓国あたりに行くとやはり牛より豚の方が高級品はおいしいと言われるけれども,そのほかの国へ行くと豚はその次だということになるので,ただ,今ここで茨城県が中心で梅山豚を広げていてブランド化して大変貴重なあれなのですけれども,私は肉の方について何でも食べてしまうものですから,関東地方でも日本でもいいですけれども,アジアの中では,豚と牛の話ですけれども,どちらの方が我々アジア人種には合うような感じがするのか。  その中で高級品をつくったわけですから,ただ,私たちどっちを食べてもうまそうなものですから,今から広げていく戦略としては,アジア系の民族が豚が好きなのかどうかはわかりませんけれども,ただ,韓国に行った場合には豚の方が高級品から全部扱っていますね。牛の肉なんて持ってきたって,食べますけれども,そんな高級品扱いはしないので,そこら辺の位置についてはどうお考えになっていますか。 60 ◯塚原参考人 味はお好みだと思います。牛が好きな人もいますし,豚が好きな人もいますし,鳥が好きな人もいますし,あと料理にも水炊きは当然鳥がおいしいでしょうし,料理の方法でもありますが,一つ言えるなと思っていますのは,今メタボリックもそうですし,高齢化社会になっています。そうすると医者が言うのですね。牛食べるなら豚食べなさいと,皆さんおっしゃるのです。それがかなり大きい影響だなというのはじりじり,特にお金持ちの人は太っている方も多い,美食ですので,そうすると高級品で松阪牛を食べているけれども,1回はいい豚にしてみようと,松阪牛より断然安いしなと,じゃあ一番高いのは何だというと梅山豚なんですね。下手な和牛と僕らは言われていまして,今100グラム伊勢丹の本店ではF1と言って普通に売っているものが,僕らのものはロースが100グラム780円です。年末に,大晦日,伊勢丹本店の一番のことしの豚という豚に選ばれていまして,去年も選ばれた,ことしも選ばれました。そこは100%売ってくれといわれていまして,多分ロース1,000円という値段がつくと,ほとんど和牛ですね。そんなお値段だと思います。  やはり豚は高齢化社会の中で需要はふえていると思います。 61 ◯五木田委員 大変貴重な,私もそれを食べようとは思っていますが,茨城県が大体主産県ということですけれども,実はこの間我々も常陸和牛というのを見せてもらってきたのですけれども,黒毛和牛とか,今度は比較じゃなくて,茨城県の農地の保有率というのは高いわけですけれども,こういうものを飼うについては気候,農地,それから,食べてくれる消費地がなくてはまずいから,そういうのをあわせては,これをやっているぐらいだから,かなりそれに関してはどのぐらい有利なのか,大したことないのか,その辺,わかる範囲で教えてください。 62 ◯塚原参考人 私ども都市型養豚というのをコンセプトにしています。なぜならばエコフィードをやっているからです。16号沿線に食品工場がたくさんあるのです。そこが最高の立地なのです。えさ工場の周りに豚がいるようなものだからなのです。ですから,僕らは都市で生きていくためににおい対策を万全にしなければいけないし,近隣とのコンタクトも必死でやらなければならないし,でもそこにいないとえさが手に入らないから,えさが手に入らないとこの味が出ないからなのです。僕らは茨城県,特に16号の近いところから遠くに行くつもりはないのです。そこが抜群の立地だから。消費地に近いというのも当然にあります。 63 ◯加倉井委員長 新井委員,どうぞ。 64 ◯新井委員 今,説明の中で,大体今の販売量の格を重視して伸ばしたくないような話を聞いたのですが,販売理念としてどうなんですか,あと3倍ぐらいにはいけるのですか。今の日本の市場で。 65 ◯塚原参考人 3倍ぐらいが,今のプライスをキープするにはぎりぎりだと思います。  相当豚ではあり得ないぐらい,普通の豚屋さんは市場に持っていきますと,今二,三万円です。安いので。僕らは直売ですので,生ハムは後ろ足2本だけで10万円,だから20万円近い豚になっていますので,そういう意味ではぎりぎりのところですので,ふやし過ぎると安くせざるを得ないと,お客さんがいないので。そういうことも起きてくると思います。 66 ◯新井委員 今大体100頭ですね。 67 ◯塚原参考人 親豚がですね。 68 ◯新井委員 そうすると,今の日本の市場でその安定価格を維持するとすると,大体それ以上はふやすと危険度があるのですか。 69 ◯塚原参考人 あると僕は思っています。  今,東京はほとんど主要なところには販売し終わっていまして,関西に今一生懸命営業を変えております。あと中部をやって,そういう主要なところをやって,大体倍から3倍あたりがちょうどいいところだと思いますので。 70 ◯新井委員 わかりました。 71 ◯加倉井委員長 ほかに。  佐藤委員。 72 ◯佐藤委員 自社製品でえさをつくってということですけれども,豚というとイメージに,先ほども出たように,においがするとか,排泄物の処理とかというところでの環境への配慮というのは,具体的なものでもし何かあれば。 73 ◯塚原参考人 本当に名前が先行していて非常におくれておりまして,必死で今追いつけみたいにおっつけているところです。やはりにおい対策などでは,私どもお茶のかすですね,お茶のかすをベッドにしておりまして,緑茶の乾燥したものです。緑茶のかすを,それがえさになりにくいものですから,ベッドに敷いてにおいとりと,プラスたい肥の循環のために使っております。葉っぱですので非常にいいたい肥ができる。おがくずでよく豚を飼っている人がいますけれども,おがくずは木ですので,木をたい肥として畑に持っていくのかということですと,ちょっと分解が悪いのですね。葉っぱは非常にいいたい肥ができる,発酵もするし,においもいいにおい。そういったことで,今,対策として考えていますのは,そういうベッド,寝床なのですけれども,最後はたい肥化するわけですけれども,そういうお茶のかすなどをベッドに敷いて飼育しております。 74 ◯佐藤委員 もう1点,食育という観点でミッションの中に入っています。これらの考え方というのですか,もうちょっと具体的にわかりましたら。
    75 ◯塚原参考人 私は環境カウンセラーというのを環境大臣からいただいておりまして,環境に携わって長い人が認定されるわけですけれども,環境カウンセラーで私がやっている事業というのは,子供に環境について教えていくとか,食と農とのかかわりについて教えていくとか,あと先ほどちらっと画面でもありましたけれども,お客さん,子供と豚と触れ合う場を提供するとか,あと,えさの成り立ち,こんなえさで育っているのですよと教えるとか,最後に今回映画になるそうですけれども,豚を小学生が飼って,結局食べるために飼ったんだけれども,やはり食べられないというのが今度映画でもうすぐ封切りされるらしいですよ。やっぱり食べるために小学生が豚を飼ったんだけど,いざとなると食べられなくて,卒業して来年の子供たちに置いていって,来年また来年の子供たちに置いていって,大きくなってしまった。最後は食べるらしいのですが。そういった食べ物,命をいただくということはどういうことなのかというのも,将来的には僕も教えていきたいなというのは思っていまして,今,環境カウンセラーというのをいただいて事業を少しずつ活動を広げているところです。 76 ◯佐藤委員 ありがとうございました。 77 ◯加倉井委員長 本澤委員。 78 ◯本澤委員 すばらしい豚を飼い始めたことが原点にあるのかなと思うのですけれども,庶民的でない非常に高級な豚肉ですから,我々にとっては口に入らないのが残念なのです。我々の口に入る普通の三元豚のランドレースだとか,そういう豚を飼育している農家は茨城に,また私の地元に非常に多いのです。一度に何万頭ということで飼っているのですけれども,そういう豚を飼っていることを畜産課はどう指導していったらいいんだと,どういう豚を育てていったらいいんだというのが課題でいつも県ではやっているわけです。  ですから,塚原さんのような豚は特別な豚で,一般的な豚を飼育する農家にどういうやり方をすれば,安い肉で,なおかつ農家が非常に飼育がしやすくて,いい環境がつくれるような畜産経営ができるのだろうかということを思うのですけれども,何かアドバイス,我々に教えていただくことがあれば。 79 ◯塚原参考人 これは北海道で望来豚という豚を私がコンサルを4年して,今,総販売代理店として売っております。そこは本当に普通の農家でした。一貫経営の普通の農家でした。そこにエコフィードの概念を入れて,実際何を僕ら目指しているのかというと,商品というのは需要と供給のバランスで決まっているのです。プライスもそうですけれども。要するに欲しいと思う人をいかに多く獲得するのかと,人気ですね,お店もにぎわい,すべて,人が来るとか寄ってくるとか求められるものをしないといけない。それはマーケティングとか,やはりコンセプトとか,いろいろなキーワードがありますけれども,それをつくり上げていくしかないと思いまして,一番ポイントなのは茨城らしいものを,茨城の外に売っていって,茨城をPRしていくと。  北海道もそのやり方です。北海道の大地が生んだ牛乳,それとジャガイモで育てました,なんて言うとおいしく感じるのですね。茨城県にも非常にいいものがある,サツマイモもそうですし,えさに適しているいいものがたくさんありますので,茨城らしいものを,茨城を食べてみようみたいな人を,外の人がお金を払っていくとして,そういう人たちがふえていって,最後は需要が多いと,供給が少ないと値段は上がっていきますので。需要と供給ですから,やはり顧客を獲得していくことは非常に重要ではないのかなと思っています。  梅山豚もずっと売り切れですので,値上げを5回して今の値段になっています。やはり需要を起すということは非常に重要かなと思っています。あとは茨城らしさ,で,外に売るのが僕は必要だと思います。 80 ◯加倉井委員長 五木田委員,どうぞ。 81 ◯五木田委員 今の話だと,私も実はややこしい話になりますけれども,地産地消という言葉があったのですけれども,実は私は地産地消というのは農林水産省が考えたうまい言葉だと思ってはいるんですが,私としては実は農産物,農産製品に関しても地産隣消じゃないかと思っているんです。嫁さんと同じで,同じ品質のものでも隣の遠いところから見るとよく見えるのですね。動物は全部そうなのです。近くにあるものは当たり前だと思ってばかにして,遠くにあるものは,同じものなのだけれどもよく見えるのですよ。私は商売人ですから,そういうものの売り方,褒め方をして物は売りましたけれども,よく見ると,自分もそういう遺伝子か何か知らないけれども,隣でおいしいと言っていると,同じものなんだけど何だかうまそうに見えてくるんだよね。  これは物品販売の問題ですから,梅山豚って,梅と肉,大変合いそうな名前なんだよね。これ名前をつけるのもうまかったけど,売り方ですか,これ茨城の豚を茨城で売ったら余り高く買ってくれませんからね,自分の家でも飼っているなんて言われて。だから,隣のいないところでこういう名前を売れば,珍しいものだし,大変そういうものの特徴をかなりあれじゃないかと思って,そういうのもの恐らく先生自分で計算したのではなくても,本質的にそういう利用の仕方をしたんじゃないかと思うのですけれども,そこらについては何か,例えば余りこれふやしても,全国梅山豚になったらだれも高いブランドだとは思わないと思う。 82 ◯塚原参考人 本当におっしゃるとおりだと思います。そのとおりです。そういう考えで僕もやっておりまして,最終的に東京で売れていると,逆に今度は茨城の人が見直してくれて,東京で売れているんだってさという逆輸入ですか,そういった形の方が理想かなとは思っていまして,やっぱり東京で売るということを最初目指しておりました。おっしゃるとおりです。 83 ◯加倉井委員長 ほかにありませんか。  それでは,執行部の皆さんでもしありましたら,御遠慮なく,いかがですか。  大野技監兼畜産課長。 84 ◯大野農林水産部技監兼畜産課長 エコフィードをやられているということで,大変興味深いのですけれども,今,米というものがございますけれども,米についてどういうふうにお考えでしょうか。米を使ってえさに混ぜたりとか,そんなことはございますでしょうか。 85 ◯塚原参考人 米はいい肉になるのです。大麦とストロー,茎ですね,これはいい牛肉ができますけれども,米も同じです。まったりしたいい肉になる。それもみんな農家の昔の人たちは,くず米,くず麦,くず何とかで育ててうまい豚肉をつくっていましたから,昔の豚肉はうまかったというのはそういうことだと思うのです。米は非常にうまい肉ができるのですけれども,なかなか手に入らない。そこだけだったのです。そろそろ手に入るような気配が,これも思っておりまして,茨城県産の飼料米という事業がもしあれば,一番最初に手を挙げたいと思っておりますので,ぜひこの場をかりてよろしくお願いしたいと思っております。 86 ◯加倉井委員長 ほかにないですか,執行部の皆さん。  それでは,以上をもちまして塚原様からの意見聴取を終了させていただきます。  塚原様には長時間にわたりまして貴重な御意見,御発表をいただきまして本当にありがとうございました。本日いただきました御意見等につきましては,今後の本委員会の審査の中で十分に参考にさせていただき,生かしていきたいと思っております。  本日は,どうもありがとうございました。  それでは,ここで暫時休憩をいたします。  再開は,午後2時10分といたします。                 午後1時54分休憩      ───────────────────────────────                 午後2時8分開議 87 ◯加倉井委員長 休憩前に引き続き委員会を再開し,参考人の方から意見聴取を続けます。  本日最後の参考人といたしまして,小松水産株式会社代表取締役の小松伸克様より御意見を伺いたいと思います。  小松様におかれましては,大変お忙しい中,本委員会のためにお越しをいただきまして,まことにありがとうございます。本委員会を代表いたしまして心より御礼を申し上げます。  小松様のプロフィールにつきましては,お手元に配付してありますが,「久慈浜しらす」のブランド化の中心的存在でありまして,この「久慈浜しらす」はセブンイレブンにも商品を提供されております。  また,食品安全面における最高水準の国際規格であるISO22000の認証を取得され,消費者からの高い信頼を得ていると伺っております。  それでは,早速ですが,小松様,よろしくお願いいたします。 88 ◯小松参考人 小松水産の小松でございます。よろしくお願いいたします。  では,早速ですけれども,食の安全・安心という部分で水産分野ということで,少し我々の実績,今何をやってどういった結果が出ているかと,そういったことを御報告させていただきたいと思います。  まず,弊社,小松水産について少しお話をさせていただきます。  弊社は日立久慈浜港を目の前にして水産加工業を営ませていただいております。主に今はしらす干し,ちりめん,そういったものの関連の商品,それから,イカの蒲焼,サンマのみりん干し,こういった干物ですね,大洗や波崎やいろいろなところでもやっている商品,茨城県で非常に皆さん加工されている商品,こういったものになっております。  それとは別に有限会社しんようというのがございまして,そこでは直販の方,末端のお客様に向けた商品づくり,こういったものも供給させていただいております。  弊社が所属します久慈浜水産加工業協同組合,実はここで先ほど御説明いただきました久慈浜しらすというもののブランディングをさせていただいております。  久慈浜しらすのブランディングの前に,少しISO22000について御説明をさせていただきたいと思います。  まず,ISO22000についてですけれども,弊社は2007年の11月に国際最高峰の基準であるISO22000,これは食品の最新の基準で,これが2005年にできました。干物,小魚,こういった業界では日本初,世界初で取得させていただいております。なので,これをとってからいろいろな方面でのビジネスが広がってはおります。  これについて,2007年12月に我々お客様70社を日立市の方にお呼びしまして授与式を執り行いました。そのお客様に向けたスライドを,今から3分ほど見ていたたきたいと思います。少し音が小さいのですけれども,御了承ください。  それでは,調整している間に少し御説明をさせていただきたいと思います。  ISO22000といいますのは,食品業界でHACCP,ハードの部分ではきれいな工場で物づくりをしましょうというのがHACCPとISO的国際基準的な考え方のソフトの部分,ただきれいな工場であればそれで物づくりができるのかというと,そうではないと。そこに携わる人,それから,もののトレース,そういったものまですべてを管理しようということで,これができました。実際には水産業界では非常に取得は少ないのが現状です。多いのが冷凍食品とか,そういった決まりきった形のもの,そういったものが今とれている状況です。  なぜ水産業者が少ないかといいますと,やはりどうしてもトレースの部分とか,生の海から上がってきたものをきれいに除去して供給するのが非常に困難であると。それと,これの取得をして商品に付加になるかというものの疑問点,こういったのがあるのが現状のように,私は認識しております。  では,なぜ小松はとったのかということになりますと,安易な気持ちで実はとらせていただきました。もっと簡単だとは思っていました。ただ,取り組んで……。  スライドの方を見てください。                〔スライドを見る〕 89 ◯小松参考人 ありがとうございました。  このような,うちのコンセプトが詰まったスライドをお客さまに見ていただきました。  先ほどから説明させていただいているISO22000なのですが,これなかなか大手の会社さんもとれないものになっています。なぜかといいますと,HACCPと違いまして,ハードだけがいいとか,ワンアイテムとればいいというのではないのですね。結局小松水産から発信されるすべての商品,それについてこのISO22000の基準でなければいけないと,そういったルールになっております。なので,例えば手前ども塩辛とか,そういったものまでつくっておりますので,そういったものすべてが危機管理ができているか,仕入れは大丈夫なのか,販売先はちゃんとそれを理解して売るか,そこまでがトレースとして必要であるというのがISO22000であります。そういった部分,我々のような中小企業,小企業です。これがとったということで非常に話題を,水産業界では目を向いていただいているところもございます。  実はISO22000をとって,それですごい万々歳かと言ったら,そうではないというのが現状です。農業の方も畜産の方も上手にブランディングされていろいろやられていると思うのですけれども,実はこのしっかりした商品をつくったがために,しらす干しというのは,水戸市場でも日付は全く要らないで販売されているのですね。通常2キロとか3キロとか業務用がスーパーさんのバックヤードに入って,スーパーさんでパックをされているのがほとんどだと思います。多分しらすというのをお店でごらんになって,小松水産,どこどこ水産と書いてあるよりも,何々スーパーと書いてある方が多いと思います。そのような商品で僕らはISO22000をとったがために日付をつけなければいけない,品質の管理をしなければいけない,これを先駆けて始まったわけですね。  そうしますと,お客様はどういう反応をするかというと,すぐに日付が切れてしまう商品は買えないよと,そういう現象が起きてくるのです。なぜならば,しらすというのは,茨城県におきましては6月,7月,これが春漁,秋漁が8月,9月,10月,これぐらいになっております。年に2回ぐらいの漁期がぼんとやってきます。年間100日から150日ぐらいしか工場が稼働しないのですね。例えば船が出ない,きょうは天候が悪い,台風が近づいているとお休みになってしまうと,そういったものになります。  先ほど梅山豚のお話もありましたが,需要と供給すごくバランスが大事だと思うのですね。水揚げがどんなにあっても食べられる量は限られていると。逆に今,漁がない,そういうときでも欲しいと。そういうときの相場制というのは非常にある商品なのです。これをお客様,我々や問屋さんが年間安定して商品を確保してスーパーさんにずっと毎日,お客様がわからないように,常にあるというような現状をつくっているのですね。そこに日付をつけるということは,例えばそれが1月に漁がないときに日付が切れたらどうするんだと,いろいろなそういった問題があったのです。実際には,そういったマーケットからどんどん切られるという現象が起きました。  では我々はどうしたかというと,実際に僕らは,食というのはおいしい期間があると本当に思っております。お客様がわからなくて,実はこれが半年前につくられたもの,1年前につくられたもの,それはそれでいいのかもわかりません。でも我々はISO22000という考え方で本当にいいものをつくって旬を売りたい,そういう部分で日付をつけて供給する,そしてそういったマーケットを我々のような商品を求めてるマーケットを探そうということで,それでセブンイレブンさんと出会ったというところがあります。  実際にはセブンイレブンさんには,私の方からダイレクトにお話をさせていただきました。5年前に一度セブンイレブンさんのベンダーさんがうちに来ていただいた経緯があります。そのときは弊社はお断りをしたのですね。うちではちょっと難しいのではないかと,まだまだうちはそういう規模ではないとお断りをさせていただきました。  ただISO22000を取得し,この久慈浜しらすというのがそこそこ世の中に見えてきて,かつ今一番求めているマーケットというのは,量販さんもすばらしいのですけれども,自分の名前で売っていただくところと,素材として我々の商品を求めていただくところが,僕らの真のマーケットだと我々は考えました。  例えばですけれども,我々の素材を使って自分の名前で売る。セブンイレブンさんの名前で売るわけですよね,久慈浜しらす弁当というのがパブリシティーの資料にもあるのですけれども,そういった久慈浜しらすというのを使って,セブンイレブンさんの責任のもとで売っていくと。そういった商品が我々が心底供給するマーケットではないかという方向性で変わっていったのです。  今お客様として多いところが,そういった外食系,それと質を求めるスーパーさんですね,ヨーカ堂さんやイオンさんには取り引きいただいております。それとはまた違ったマーケットで,ふりかけとか,そういったものにもこういった素材は使われるのですね。ちりめんを使った野菜とあえたふりかけとか,玉子とあえたふりかけとか,いろいろ大手の食品屋さんであると思うのですけれども,そういったところにも供給させてただいております。  実際にこれをとってすぐには売り上げが減少したのですけれども,やっと最近になって持ち直してきたと。昨対を上回るような数字がやっと出てきたというのが,今の現状になっております。  少し久慈浜しらすについてお話させていただきたいのですけれども,久慈浜しらすというのは,我々久慈浜水産加工業協同組合で立ち上げたブランドになります。決して小松水産がつくったというものではありません。久慈浜水産加工業協同組合でブランディング,地域ブランドとして申請をしようと,これを目的に立ち上げたブランドになっております。ただ,そこの中で私がはしりとなってやらせていただいたのは事実であります。  では何で久慈浜がいいんだと。多分大洗でも那珂湊でも本当にいい魚が上がっていると思います。久慈浜のよかったところといいますと,少し小松水産商品案内というのに載せていただいているのですけれども,茨城一水質がきれいだと,海水浴のレベルでそういったお話をいただいた。それと,実はしらすというのは鮮度が命なのです。これは冷凍して置いておいて,また暇なときに加工したらいいんじゃないかと,そうはいかないのですね。イワシの稚魚は非常に弱いもので,水揚げしてから本当に3時間,4時間ぐらいでボイルしないと製品として成り立たないというような商品になります。なので,浜から近ければ近いほどいいと,久慈浜が実は加工業者6社,ここに6社と書かれておりますけれども,ことし1社廃業しましたので5社になります。この5社が実は本当に浜から車で5分ぐらいのところに全部その5社はあるんですね。そこを僕らは強みとさせていただいて,鮮度のよいまま保つのは実は久慈浜しかできないと,久慈浜の僕らしかできないんだというようなところでブランディングしようということで走りました。  いろいろな商品の基準があります。例えば水分は70%以下ですよ,塩分は3%前後にしましょうと,色はサイズは2センチ,3センチぐらいを厳選しましょう,いろいろなくくりがあります。そこの中で久慈浜しらすというものを,本来久慈浜しらすというのは,2ページにあります「久慈浜しらす」のラベルがあるものが久慈浜しらすとしましょうということで商品化させていただきました。  しらすというのは,実はあけてみれば,多分大洗産,久慈浜産,鹿島産,波崎産,大津産,あけてみて比べて,どれが久慈浜かというのは非常に難しい。差異性のない商品だと思います。そこで,あえて差別化するとしたらどういうことだというのが,今回うまくできたことだと思っています。その水質であったり,魚の鮮度管理であったり,そのトレースがしっかり,実は小さい浜だからこそ,それができたというのがこの成功事例だと思っています。そういったところをセブンイレブンさんは非常に好んでいただきました。  本当にとり手からつくり手,そういったものが見えるような状況ができていると。ただ僕らがお願いしたのは,我が身の丈を知るということはすごく僕は大事にしている言葉なのですけれども,決して拡販はしないと,久慈浜しらすに関しては,多分セブンイレブンさんが弊社で一番扱っていただいていると思っています。  ことし久慈浜しらすが大体130トンぐらい水揚げされたのですけれども,そして弊社で加工させていただいたのですけれども,そのうちの30トンぐらいはセブンイレブンさんに行くと思います。あとは方々の,茨城県中心のスーパーさん,生協さん,そういったところに流れていくと思います。  そういった感じで,関東,東京の方にぼんと送ろうとか,仙台に送ろうとか,そういった志向は余りなく,セブンイレブンさんも茨城県と,今は栃木県までふやしましたけれども,そこまでにしてくださいという言い方をさせていただいています。それと,今は産地偽装や何かが非常に話題になっております。そういった部分,では何でそういうことが起きるかというと,例えばですけれども,セブンイレブンさんに僕が言ったのは,量が売れてくると,もっと売りたくなるわけです。そうするともっともっとくれと,いや30トンしかないですよといっても,あと10トン追加してほしい。そういった話が必ず出てくるのです。  僕らが最初にここで契約したのは,この数量だけですよと,あとはなくなろうが,なくなるまいが御社で調整してくださいと。多分今までの量販店さんでも,僕らでもそこまで,つくる側,売る側が強くは言えないのが今までの商流の流れだと思っています。  例えば茨城県一大きいカスミのバイヤーさんに,これしか売れないよとか,うちはこの値段しか出せないよというのはなかなか言いにくい,買ってやっているんだろうというような風潮が強いのが水戸市場でもあるような気がします。それを逆にブランディングすることで,弊社のこの商品を扱っていただくのであれば,このように扱っていただきたいという思いを伝えられた商品,これが久慈浜しらすであると認識しております。  セブンイレブンさんにはことしの1月に商品化していただきました。それから順調に販売させていただいております。多分米飯部門では全国で5本の指に入るぐらいのヒット商品だと役員様からも言われました。それぐらいの実績がついたものですから,すごくいろいろな拡販もしたいという話もあったのですけれども,先ほどのように数量は限定させていただいたと。  それとセブンイレブンでISO22000の工場,小松水産でどういったものがあとできるんだということのお題をいただきました。そこで,茨城県産のサバの切り身を使った茨城包括弁当をつくらせていただきました。これは本当に茨城県,行政の方に感謝申し上げます。また議員の皆様に本当に感謝申し上げます。ちょうどいいタイミングで包括提携を結んでいただいたと。あれは僕たちはすごく励みになりましたし,引き金にもなりました。そこで切り身は小松のサバを使おうということで,それも商品化していただきました。  それと最近,セブンイレブンさんやいろいろなところから言われる,日立保健所などからも言われるところなのですけれども,食の安全・安心,この辺についても小松さんの役割が大きくなってきたねというお話をいただきます。産地偽装や,本当にいろいろなわけのわからぬ薬が入っていたりとかが多いというのが,昨今こういう状況だと思います。  我々久慈浜しらすだけをつくっているわけではございません。しらすを大洗や大津港や,そういったところからも仕入れをさせていただいています。なので久慈浜しらすと常磐沖しらす,茨城県産しらすという二本立てでしらすというものはつくらせていただいております。  我々がどんどん売りたい,商売を大きくしていただきたいとなると,利益を考えなければいけない部分も多少あります。ただ,最近思うのは,利益の方ばかりに走っていくと,やはりそういった間違いが起こりやすいのかなというのも感じております。我々の商材は原料を高く買えばいいかといったら,そうでもないと。きょうのように浜が出ないとか,そうやって水揚げがない,仕事がないという状況もあるわけです。ですので,すごく契約量とかは非常に重要な数字のつくり方になってくると思うのです。これも幾らでもありますよ,どんどん売ってくださいとなると,例えば茨城県産がなくなって築地市場から静岡県産をいただいて,それをパックしたりとか,そういったことというのはよくよくある話です。  僕らは,それではいかんというので,ある程度数量なども強く言わせていただいて,本当にいいものであればこういう数量で,こういう売り方をやっていただきたいというような,メーカー側からの主導的立場でお客様には御報告させていただいて,商談をさせていただいているというやり方をやっております。  なので,多分ISO22000をとらせていただいて,いま安全・安心のリーダーカンパニーと皆さんからこうやって御評価いただいております。例えばうちが何かちょっとした偽装やミスや何かがあったら,すぐに我々はテレビに出て謝罪をしてという立場になってしまったと。冒頭にISO22000をとっている水産業者が少ないといいましたけれども,本当に少ないのは,実は自分の責任の転嫁をしているという方が僕は強いと思っております。自分の名前を出さずにしらすの業務用をぽんとお店に送って,それがお店でどのようになっているか。例えば異物が入っていた,でもお客様は何々スーパーさんが悪いと,スーパーのバイヤーは我々に文句を言うわけです。お前のところでごみが入っていたと。それが僕らはそれでごめんなさい,済みませんと,今回だけは勘弁してくださいと,そんな話が昨今多々ある水産業界の流れだと思っています。  ただ,我々はそうはならないような商品づくりをしましょうということで,この規格をとらせていただいて,いま商売をやらせていただいております。非常に楽をすれば,その方が実は会社として利益は出るのかもわかりません。ただどんどん自分を苦しめていったところもあるかもわかりません。でも今,我々の安全・安心,しらすと言えば小松だねと言ってくれているお客様がこのようにふえたということは,こういう道を進んでよかったと本気で思っております。  それと最後に,地域や社会とのかかわりについて少しお話をさせていただきたいと思っております。僕らのビジネスは漁師さんがあってというところがすごくあるのですね。漁師さんがいい魚を鮮度よくとっていただいて,それを値よく買わせていただいて加工させていただくというのがあります。漁師さんが命がけで海に行って,例えば3年ぐらい前にお一人亡くなっているとかいろいろな現象があると思います。そういったものをただ安く仕入れるというよりも,価値あるものは価値ある仕入れをして,それを付加価値をつけて僕らがどのようなマーケットに販売できるかというのがすごく大事なような気がしております。  それと行政,今まで日立市や茨城県に対して余り僕らもアクションというのはとっていなかったような感じがします。日立市の農林水産課とか,そういった方には非常にいろいろお世話になりました。茨城県の漁政課の方々にもいろいろな部分でお世話になってここまで来ていると思っています。ただ,今は久慈浜しらすというのが少し注目を浴びて,どんどん受注が入ってはきております。ただ,それにはつくるキャパとかいろいろなことが出てくると。例えば少し工場をきれいしたいなと,流れをつくりたいなというときに,日立市などからこういった土地があるよとかいろいろなことも,今実際現状いただいております。この久慈浜しらすというのは実は何が一番大事かというと,鮮度なのですね。ですから日立市の山奥に工場をつくってというわけにはいかないと。できれば久慈浜漁港のそばにそういったものとか,そういった環境があれば,なおぼくら加工屋は加工しやすいのではないかというのも感じております。  実際に去年おととしですか,もう大分たちますね,茨城県漁連さんというのもしらすをやってきました。久慈浜漁港でしらすをやっていました。で,こういった状況になってしまったと。  実は一番ああいった環境が,目の前でとったものをすぐにゆでると。昔の漁師さんがやっていたやり方が一番魚にはいいんじゃないかとは真剣に思っております。こういったものなども何かしら我々や,我々組合員にプラスになるような方向性やそういった支援サポートなどがあれば,いろいろ教えていただきたいなとも思っております。  最後にですけれども,これは私の考えですけれども,久慈浜だけでなくても,大洗でも那珂湊でも,本当にいいものは必ずあると思うのです。ただ,100点をとろうと思うと多分難しいと思うのです。100点をとろうがために,実は平均点になってしまうような気がします。久慈浜のいいところといったらどうなんだと,魚は真っ白ではないかもしれないけれども,鮮度管理ができるのが久慈浜の業者なんだよと,こういうところを訴えたのが実際によかったのかなとも思っております。  それとブランディングの際に,僕らが非常に困ったのは資金面,それとその価値をどのように広報活動できるかというのが非常に問題になりました。実際には加工組合でブランディングをやりましたけれども,弊社が全部のお金を出しました。いろいろなラベリングデザイン,ブランディングの販促と弊社の営業マンを使って,すべてのお客様に広報活動をさせていただきました。それを組合から回収できるかどうかちょっとわからないのですけれども,そういった部分などでも,なかなか我々の企業ではやりにくい,なかなか踏み切れないところもそれが現状なのかなとも思っております。  ISO22000の取得には500万円ぐらいかかっております。それと,それの取得をするためのハードの構築で3,000万円ぐらいかかっております。それをISO22000,この食品に関しましては半年に1回の監査になります。半年に1回までにほつれや何かを修繕し,かつまたその監査料なども発生するということになっています。実はあさってからまた監査も入るのですけれども,そのように維持するのに非常に資金もコストもかかってくるというのが現状であります。そういった部分も含め,なかなか思い切って踏み込もうという業者が少ないというのも事実かもわかりません。  これを価値にしようと,ISOをとったから,ブランディングしたからそれがお金になるよと思ったら,なかなかそういう思考では難しいかもわからないです。本気で安全・安心のものをつくろうと,我が息子に食べさせて,それで本当に喜んでもらえるものをつくれるかどうか,これが実は我々の食品業界には必要なのかなとは思っております。  最後になりますが,久慈浜には,小松水産とほかに4社あります。なかなか皆さんブランディングとか工場なども,見すぼらしいところも実際あります。そういった部分なども何かしら皆さん方行政さんのお力でプラスになるような,何か支援策などがあれば私が本当に望むところでもあります。  御清聴ありがとうございました。 90 ◯加倉井委員長 小松様,どうもありがとうございました。  それでは,これからは意見交換の時間とさせていただきます。ただいまいただきました発表,御意見につきまして,委員の方で御質問,御意見がありましたら,お出しをいただきたいと思います。  新井委員。 91 ◯新井委員 ありがとうございました。  きょうは小松さんを入れて3人の方にいろいろ意見を聞かせてもらったのですが,3人とも話を聞いた中では,1本同じ筋が通っているというか,それぞれの製品に対する一つの理念というのが確立されているような気がしました。全く共通するようなすばらしい理念があるなと思ったのですが,この小松さんの場合もISO22000の取得というのは,やはり営利ですから,物品販売の商品販売の糧にならなければならないと思うのですね。そういうことではどうなんですか,この取得に対して,製品のブランド性というのは高まって販売価格に影響が出ましたか。 92 ◯小松参考人 おかげさまで,やっとですけれども,価格には転嫁ができるように少しずつなりました。ただ,先ほどもお話したように,最初はそういったものの認識は全くないというのと,結局はどれだけ安全・安心なんだというのが上手に伝えられなかったのが弊社にあったところもありまして,実際にはそうは言ってもものは一緒じゃないかというので苦戦をしたというのが現状です。やっとです。やっと,ことしあたりから,小松のものはISO22000の基準でこれだけクオリティーが高いんだということを認めていただいたという感じになっております。 93 ◯新井委員 こういう生物といいますか,鮮度を維持するというのに非常に苦労する製品でISOをとったというのは,私も驚いているのですが,この維持というのは今後本当に大変だと思うのですね。年間を通じて販売できる体制を,こういう環境の中で維持できるのですか。 94 ◯小松参考人 漁期は春と秋の2回しかありません。そこに年間安定した量を確保するようなキャッチングをしております。  今,冷凍技術は非常にいいものですから,変な話2年ぐらいは平気でもってしまうのです。ただ,やはり2年前のと今とれているものでは風味が違いますので,僕らはそこの中でも基準を設けようと。実際には食べられるけれども,本当においしさを伝えるには半年ぐらいじゃないかというような基準を設けながら,ビジネスをやらせていただいています。春と秋にバランスよく,これぐらいの数量かなというのを計算して,それで仕入れをして加工をして,それを冷凍して,端境期もお客様にお届けするような感じでやらせていただいています。 95 ◯新井委員 今現況ではあれですか,ずっと3人の皆さんが言っているのは,必要以上には販売しない,100をねらわないで50をねらっていくような,その中で品質管理と製造はしていくというような一貫性があるような気がしたのですが,やはりもっと市場を広げようというようなお気持ちはないのですか。 96 ◯小松参考人 私は市場を広げようという気持ちはあります。ただ久慈浜しらすに限りましては,ある程度の数量までしかできないと思っております。なので,先ほどもお話させていただいた久慈浜しらすと茨城県産しらすという二本柱でやらせていただいております。久慈浜しらすというのは,高級ブランドとしてこれからどんどん伸ばしていきたいと,ある程度の数量でとまるところはあると思うのですけれども,茨城県産しらすはどんどん,これこそ量販していきたいと。  あともう1社,ちょっと話はしなかったのですけれども,パブリシティーの方にうちのタイランドに会社があります。「SAIKOMATU(THAILAND)」という,我々の現地法人100%の会社があります。そこで,例えばペットフードとかにもしらすが入っているのを御存じでしょうか。ああいったものにも供給させていただいているのですね。ですからしらす,小魚に関しては,どういったマーケットにもいける体制というのをつくる,そういうことを考えております。  久慈浜しらすに限っては,やはりパイは決まってくると思います。ほかのそういった小魚関係で,いろいろなアイテムとして規模拡大をしていきたいとは考えております。 97 ◯新井委員 ありがとうございました。
    98 ◯小松参考人 ありがとうございます。 99 ◯加倉井委員長 磯崎委員,どうぞ。 100 ◯磯崎委員 きょうはすばらしい話をありがとうございました。  地元久慈浜の誇りとしてなりたいという,それは完全に達成したのではないか,そしてまた世界で幾つという,そういうものですから,これは茨城の誇りだし,日本の誇りとも言えると思うのですね。大変すばらしい。  そして,水産加工会社は茨城県海岸線に何百以上あると思いますけれども,大体跡継ぎになる人というのは,東京の築地に修行に行ったり何かします。あるいは大学でも水産学部みたいな卒業なんですけれども,経歴を拝見いたしますと日本大学文理学部ですか,理工学部ですか,ということですが今回の発想について,大学の理工系で学んだことというのは遠因というか,何か関連性は,御自分ではどんなふうにかあるのかないのか,ちょっとお伺いします。 101 ◯小松参考人 私,文理学部で実は文系の方だったのです。英文学部というので。  なさけない話,そこしか入るところがなかったというのが現状です。ただ,僕が思ったのは,大学を東京に行かせていただいていろいろな人脈といろいろな環境に触れ合うことができたというのは,実は生きているかもわからないです。  それと,それを今のビジネスでというと,やはり大学を卒業してから,僕はキヤノンに勤めさせていただいて,キヤノンの販売代理店でコピーのセールスマンを飛び込み部隊をやっていたのですけれども,これが非常に生きていると思います。本当にリコーもあってゼロックスもあってというような競合の中で,実際にその商品価値をどのように新しいお客様,新しいマーケットに御案内できるかというのは,ここで学ばせていただいたような気はします。そういうのは実は今セブンイレブンにダイレクトにセールスをするとか,そういうのには生きているのかなとは思っております。 102 ◯磯崎委員 しらすの需要は大体限られていると,急に日本人がしらすをわっと食べるような,そういう状態はなかなか考えられないわけだから,大体決まっていると。それに対して半年以下の漁期しかない,でも冷凍技術があるから何とかできると。ただ,相場ですね,しらすは安定供給のために相場の変動が激しいと聞いているのですけれども,これはどんなふうに対応していますか。 103 ◯小松参考人 まさしくおっしゃるとおりで非常に相場制のある商品だと思います。 104 ◯磯崎委員 幾らぐらいから幾らぐらい。昔と今で。 105 ◯小松参考人 例えばですけれども,僕が入社したころ,10年,15年ぐらい前はキロ2,500円,3,000円ぐらいまであったと思います。それがインドネシア物とか外国物でそういう値段でありました。ことしの築地のセリ場で一番安い茨城物でキロ700円とか,そういう相場もことしは出ました。それぐらいの相場制はあるような気がします。  ただ昨今はちょっと低価格制にはなっているかもわからないです。築地のセリ場の値段ですけれども,1,000円から2,000円ぐらいが中心なのではないでしょうか。 106 ◯磯崎委員 安値と高値で,最近はどのくらいの感じですか。 107 ◯小松参考人 需要と供給が本当に反映するので,浜がぱっとなくなるとすぐに値段が上がるという感じではあります。僕らは久慈浜しらすに関しては余り相場関係なく,ある程度一定値段で納めさせていただくというようなやり方をやらせていただいていますので,この久慈浜しらすに関しては相場は関係なく動かせていただいています。  ただ,ほかの茨城県産のしらすに関しては,やはり量が多いときには多少安めに供給させていただいて,量がなくなってきますと,これから次の漁までは幾らですよという商談をさせていただいくようなやり方をやらせていただいております。 108 ◯磯崎委員 130トンの中に久慈浜だけでは何トンぐらい。 109 ◯小松参考人 久慈浜しらすが130トンぐらいです。そのほかに茨城県産のしらすがことし製造させてもらったのが同じ130トンぐらいですね。それぐらいの量の数量を確保させていただきました。 110 ◯磯崎委員 先ほどの話で,大体水揚げして3時間から5時間で処理しないと間に合わないと,鮮度が保てないということですけれども,県内にしても各浜で水揚げしたもの,久慈浜まで持ってきてやるのに3時間,5時間かかってしまうでしょう。そうすると,それはどういうふうに。 111 ◯小松参考人 ですので,我々の久慈浜から地の利的に動けるところというと,南は鹿島ぐらいまでなんですね。鹿島まで1時間半から2時間で陸送すると。来たらすぐに加工するという状態でやるという感じになります。  波崎まではちょっとよう行けないというところは,我々の距離からはそういう感じで,僕らができるところは鹿島までというくくりでやらせていただいています。 112 ◯磯崎委員 そうすると,各浜の冷凍庫を利用するのではなくて,あくまでもどこでとれても久慈浜に一たん持ってきて,待ち構えていて取りかかると。 113 ◯小松参考人 はい,基本はそうさせていただいています。  やはりつくり手の思いが製品には出ますので,素材とつくり手のやり方,どんなに同じ設備でも,つくる側のオーナーの温度調整や炊き時間などで製品はがらっと変わっていきますので,極力我々のISO22000の工場でつくりましょうというやり方をさせていただいています。例えば鹿島に鮮度が悪い魚しかないという場合には,これは仕入れはできなく,空のトラックで帰ってくるということも,もちろんございます。 114 ◯磯崎委員 ISOのことは実は私何もわからないのですけれども,14000幾らとか,幾ら幾らとあるのですけれども,22000というのはどういう意味ですか。 115 ◯小松参考人 22000といいますのは,食品メーカーさん,食品工場さん,食品を扱う業者さんにつくられたISOになります。ISOの9001や14000という品質,環境というのがありますけれども,そういった品質の方とハードの部分にプラスしてソフトを入れたものがISO22000なのです。食品工場はやはり野ざらしではいけませんよと,それなりに囲いがあって空調管理があってと,そういうハードの部分,かつソフトの部分というのは,例えばつくる側の理念,ここから入っていくのです。ただきれいな会社で物を流せばそれにできますよではなくて,つくる側の私のインタビューとか,私の理念,どういうものでつくっていくんだ,そしてそれはどういう仕入れをしてどういうマーケットに売っていきたいんだというところを逐一全部管理をすると。ですから,お客様に行くトラックの温度設定から,そういうものまで全部管理するような形になります。  実はこれで余りよくないなと思ったのは,うちは冷蔵庫がそれで変わったのです。実は久慈浜水産加工業協同組合で冷蔵庫を持っています。品質の管理がちょっと上手じゃないというので,実は水戸のニチレイに全部変わったのですね。そこですと1日3回しっかり温度管理をするよと,そういう基準がISO22000には必要になってくるのです。ものを優先して,地域で実の組合なのですけれども,そこの蔵を使わなくなってしまったという,そういったことも現状はございます。 116 ◯磯崎委員 そうすると,22000というのは水産関係に限った番号ではないんだね。 117 ◯小松参考人 畜産でも食品メーカーさん,ですから,とっているのは冷凍業さんとか佃煮屋さんとか惣菜屋さんとか,そういうところが多いですね。 118 ◯磯崎委員 世界で幾つという大変すばらしい,発明にも似たようなものをなされておるので,茨城県としてもモデルになると思います。水産だけではないということですので,大変参考になりました。  きょうはありがとうございました。 119 ◯小松参考人 こちらこそありがとうございました。 120 ◯加倉井委員長 ほかに,五木田委員,どうぞ。 121 ◯五木田委員 違う方からお聞きしたいのですけれども,先ほど,こういう数量でこういう売り方をやっていただきたいという話がありましたね。セブンイレブンなり業者に対して,一方で幾らでもありますから買ってくださいというのが,普通今までのものなんだね。実はこの点について,今のその方向が大変いいと思うのですけれども,こういう食品についてはセブンイレブンとか大型食品スーパーについては,日本だけは世界から輸入していて30%食べるものを全部捨てているわけですね。加工食品は。これがCO2のマイレージにも影響してきて,大変今バッシングを受けていると,そういうことで,売り方としてはこういう数量で,要するに生産メーカーが優先,普通は買う方が優先で,あるだけ売れなんて話で,ちょっとは混じってもいいからという話ですけれども,この姿勢は大変いいと思うのですけれども,一つ聞きたいのは,こういう乾物類に関しては今言ったセブンイレブンとかの返品廃棄率とか,そういうものについては非常に低いと思うのですけれども,例えばお弁当とかああいうのはちょっと期限が来るとみんな1日前でも捨てますから,そうするとその中に入っている食べ物というのはほとんど,オマーンの野菜とかアルゼンチンの鳥とか非常に30分の1ぐらいで仕入れてくるから,それは安くて3割ぐらい捨てても残りもうかるんだからいいんだけど,これは日本特有の一番よくない売り方だと指摘されているわけですね。  その点について,こういう数量でこういう売り方をやる。しかもこれはブランドに近いような売り方だと思うので,そこらの考え方と,さっきタイに食品会社をつくっていると言いましたよね。実はタイは食品については相当いい材料を持っていると思うのです。一つ聞きたいのは,魚醤については,ビーンズのしょうゆの日本のよりも,においさえなければ,向こうの魚が腐ったしょうゆの方がよほどうまいんだよね。  そういうことについて,非常にキヤノンから食品までやっているようですから,キャラクターが広いと思うので,そういう食の質の向上,ここにちらっと見て「いかかば」と書いてあるから,イカの蒲焼の略称だと思うのですけれども,ここらを発明してくるようだと,その辺のことについては将来展望がありそうな感じもするので,あったら聞かせてもらいたい。この2点について。 122 ◯小松参考人 ありがとうございます。  こういうやり方でこうすると,本当に抽象的で申しわけないのですけれども,実際に契約数量とか価格というのはちょっと申し上げられないのが現状です。録音されているということも聞いておりますので,それはちょっとおおっぴらにできないところがあります。  私が申し上げたいのは,実際に僕らは10数年と加工をやっているわけです。ですので,久慈浜の大体の総水揚げ量というのは大体把握はできると。ことしはあと水温によってどれぐらい上がるんだろうというのを,大体ですけれども予測はできると。そこの中で,じゃあセブンイレブンさんには何トンぐらいかなと,何十トンぐらいかなという大体の枠を僕らの中で検討させていただいて,ことしはこれぐらいの数量でお願いできませんかというアナウンスをさせていただきます。  じゃあことしはちょっと多いから,ほかのスパゲティしらすもつくろうよとか,そういった商談になっていくと。じゃあことしは少ないからもうちょっと地域を絞ろうかとか,茨城県内だけにしようとか,県北だけにしようとか,そういったことを商談させていただいているというやり方になっております。  スーパーさんも,今はそれに近いようなやり方をできるだけやらせていただいています。ですが,なかなか難しいです。スーパーさんは年じゅうあって,年じゅう安定して,それで利益率もある程度とってというようなところもあるので,あと市場には安いものとかがありますので非常に難しいのが現状でございます。  あとタイについてですけれども,僕はこれを思い切ってつくろうと思ったのは,実際にきのうなども東京でお昼を食べて,すごい魚料理屋さんで釜揚しらすというのがきょうのお昼のランチのメニューになっていて,そこで食べさせてたいただいたしらすはインドネシア産なのですね。外食産業さんで大手,名前はあれですけれども,僕が知る限り全部インドネシア産のしらすです。大体の大手といわれるところはそういうものを使っています。  こういった現状でいいのかというところをすごく疑問があると。ただ,そういうのを使わざるを得ない現状もあるというのも一つなのですね。やはり価格の部分であったり,主要な商材でないのかもわからないし,例えば先ほど何とか食品さんで何とかのふりかけとか,スーパーさんで並んでいるあのちりめんに久慈浜しらすを使ったら,一袋500円とか800円とか,そういう商品になってしまうと。それではまず消費されないと。消費されないものをつくっても仕方がないというのも,これもすごく理解できるところなのです。  そういう部分でやはり輸入商材,インドネシア,ちりめんで言えばしらすで言えばインドネシアが今一番日本に入ってきています。その次が,ちょっと中国がこけたので,今は台湾,韓国,タイの順番だと思っています。タイの素材というのは非常にいいのですね。シャム湾の素材は非常にいいです。それがつくる過程が下手なもので評価がずっと低いと,それを僕らの技術を持って向こうに参入すれば,まずいいものができるだろうという考えもありました。  それと一つ,今メラミンとかそういうので騒がれていますけれども,中国の商材で,僕らがそういった商材を求めるのに,向こうの企業さんにお願いした方がすごく楽なのです。向こうの企業さんにバイイングして加工してもらって,それについて僕らがある程度のノウハウを出して,じゃあこの値段だよとやった方が絶対にいいのです。その方が僕らも楽ですし,逆に言ったら僕らはお客さんになって接待されるぐらいかもわからないです。ただ,それであれば,やはり何をどんなふうにつくったかというのは,見えなくなるところはあるというのが,僕の考え方なのです。なので,僕は100%で自分の会社を立ち上げました。浜まで行って船に乗って一生懸命物をつくります。うちに勤めているタイ人スタッフは全員が日本で研修をしています。その人間を向こうに送り込んで,我々の責任で「SAIKOMATU(THAILAND)」がつくるということは,メラミンがあったらそれ小松水産の評判になるのですよ。そういうふうに僕らは物づくりに対して全責任を負うという気持ちでタイに進出し,つくらせていただきました。  委員おっしゃるように,ナンプラーとか南アジア圏には非常にいい商材があります。ただそういったものもまだ上手に日本で生かせていないのかもわからないです。よくお土産などで,うちの母とかかみさんなどに,これを使えというのですけれども上手に使えない,しょうゆがいいわとか,みりんがいいわというのがやはり日本人の今の流れなのかなと。ただそういった食材に触れて食してくると,違った動きなどは出てくるのかなと思っています。実際でタイで今,違った商品づくりというのも動いております。  以上でよろしいでしょうか。 123 ◯加倉井委員長 ほかにありませんか。  執行部の皆さんで何かありましたら,どうぞ。  別井漁政課長。 124 ◯別井漁政課長 非常にすばらしいお話を聞かせていただきましてありがとうございます。  鮮度管理って非常に大切なことだと思うのですけれども,久慈浜しらすをつくる上で地元の漁業者さんとの話,鮮度管理のための話,それはどういう形で進められておられるのか,ちょっと聞かせていただければと思います。 125 ◯小松参考人 ありがとうございます。  久慈浜には30そうぐらいの漁師さんの船があります。僕の同級生がそのうち2人,先輩が3人ほどいます。同級生には非常にいろいろな話をさせていただいています。やはり船の下に氷を張って冷やしてちゃんと持ってくるところもあれば,そこまで手が回らなくて,そのまま置き去りにして陸に上げてくる船もいろいろあります。それを統一するというのは非常に難しいような気がします。ただ,そうやって前向きに僕らの思いをやってくれているところには,値をよく買おうというようなやり方はやらせていただいています。鮮度が命なものですから,そのように漁師さん方も,僕らのやり方を理解していただける漁師さんを求めているかもわかりません。  あと,例えば競る時間とかそういったのも,午後になってしまうとおそくなったりとか,そういうのもありますので,そういうのはセリ人さんあたりにはいろいろな話はさせていただいています。これぐらい気温が熱いから早目にセリをやりましょうとか,そういった感じで鮮度管理なども意識してやらせていただいています。 126 ◯加倉井委員長 ほかにはありませんか。  ないようですので,小松様からの意見聴取は,以上をもちまして終わらせていただきます。  小松様には,貴重な御意見を長時間にわたりましてお話をいただきまして,本当にありがとうございました。  本日いただきました御意見等につきましては,今後の委員会審査においてぜひとも参考にして生かしていきたいと思っております。本日はまことにありがとうございました。  以上で,本日の意見聴取を終了いたします。  さて,本委員会では,本年の閉会中委員会の活動テーマを「安全・安心で付加価値の高い農林水産物を提供していくための生産,販売,情報提供等」とし,説明聴取や現地調査など,鋭意審査を行ってまいりました。  こうした審査の過程で,委員や参考人の方々から出された御意見等につきましては,これを集約して,執行部に対して提言として提出をしてきたいと思いますが,これに御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 127 ◯加倉井委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。  次に,提言の案文ですが,これにつきましては,委員長に御一任いただき,次回の委員会の際に御審議をいただきたいと思いますが,御異議ありませんか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 128 ◯加倉井委員長 御異議なしと認め,そのように取り扱わさせていただきますので,よろしくお願いいたします。      ─────────────────────────────── 129 ◯加倉井委員長 それでは,以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。  お疲れさまでした。                 午後3時5分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...