私ども,
ユニオンファームを含めまして,
茨城県内,現在36農場が加盟しております,
いばらき農流研,
農産物流通研究会という正式名称がありますが,若干名前が長ったらしいということで,農流研という略称を使わせていただいております。
この
取り組みの中で,2006年の3月から活動を始めたわけですが,その中のGAPという部分について御説明をさせていただければと思います。
このグループをつくるきっかけとなったのは,皆さん御承知のように,昨今食品の安全について社会問題化されている部分があるかなと。これは農産物も例外ではないというところから,根拠ある安全・安心をお届けしようと,その
取り組みの中で有利に販売をしていくわけですが,生産者もやはり現在
取り組みとして不足している部分もあるであろうと,やらなければならないことはあるであろう,という認識の
農場生産者を募って活動を始めさせていただきました。
まずは信頼される
生産者グループを目指すというところで,現在,青果物,特に野菜の自給率は70%を超しておりまして,その中で
産地間競争,県内外と繰り広げております。その中で流通業者の方々,小売店,外食というユーザーの方々に満足できる農産物,彼らのニーズに合致したものを生産し供給することが,安定的な販売,安定的な経営につながるだろうというところから,こういうテーマを掲げております。
資料の方,進めさせていただきますが,簡単に概要を説明させていただきたいと思います。
生産者は地域をまたがっております。現在ここにありますように7市町村にまたがっております。中核となっておりますのが,行方市,茨城町というところになっておりますが,複数の市町村にまたがっております。
正会員を生産者,
農業生産法人ということになっておりますが,このほかに賛助会員ということで,我々と利益をともにする者ですね,資材を供給する側,そして流通業者,彼らは我々生産者がいかにもうけていけるかという部分に利益を共通しているわけですね。私も前職,農業資材を販売する側におりました。その中で危機感を感じております。やはり,お客さんである生産者が減っていけば減っていくほど,事業継続の危機という部分を,今後10年先を見据えていった場合に必ず起きること。その中で
生産者現場をいかに盛り上げていくか,これが大きな課題でした。その中で生産者みずからが取り組むこうした
取り組みには,こういう会社の皆様にも多大な御協力をいただいております。
取り組みとしましては,メーンのもの,やはり生産して販売をすること,ここが中核となっております。それに付随する機能として,集荷,そしてお客様のセンターヘの配送という部分の物流機能,そして農産物に関する研究ですね,根拠ある
農産物づくりということで,茨城県におきましても
農業総合センターにも御協力をいただいております。その中でそれを根拠にした販路を開発すると,主にこのグループでは私の方が販売促進の担当をさせていただいております。
さらに,今回御説明させていただきますが,
JGAPに基づいた
農場管理基準というものをつくらせていただきまして,全員でそれを運用しております。
次のページにいきますと,生産・販売の共通認識,これはやはりつくる人がこれだけ多い人数がおりますと,さまざまな視点でやられております。
過去からさかのぼっていきますと,やはり
生産者現場におきましては,品質の追求はもちろんのことですけれども,どうしても収量という部分に注目が置かれている経緯がございます。戦後,食料難から生産者の収量をふやしていく,食料を安定供給するという視点があったわけですが,ここにきて飽食の時代を迎え,農産物が余っている状態になっております。その中で選ばれるためには,やはりこういった安全で新鮮でおいしいもの,安心というのは,我々が提供する情報をもって食べていただく方,買っていただく方がそれを判断して得られるもので,我々が提案で提供できるものはこの3点にとどまるかなと。すべての生産者,多かれ少なかれこの視点は持っていると思いますが,我々の
取り組みとしては,その明確な根拠を持ちましょうと。うちの農場の野菜は日本一ですよと,おいしいですよと,安全ですよと,これはやはり日本国内すべての生産者が口にすることだと思いますが,
買い手側に立ってみた場合に,ではどれぐらい安全なのですかと,どこと比べておいしいのですかと言われた場合に,やはり答えようがないわけですね。その中で一番わかりやすい方法は,やはり数値化である部分だと思います。
そこをできれば数値化していくと。もしくは違う論理的な根拠を持つという
取り組みをしていこうと。その中で農産物の安全を確保する。そしてそれを高めていくということも一つの
取り組みでした。
昨今問題となっておりますのが
残留農薬,国内の野菜に関しても
残留農薬の
基準値違反という事故は起きております。そのほかにも,病原性の細菌ですね,O-157の事件もありましたし,大腸菌,サルモネラ菌,そういったさまざまな食中毒,人間の健康を脅かすような細菌というのが
農業生産現場にはございますし,農産物に付着する可能性は十分に考えられるという状況です。
また,ここ最近の
一大テーマでありますが,
軟弱葉菜類,例えばホウレンソウ,コマツナ,チンゲンサイ,みず菜,茨城県でも主要な品目がございますが,ここに含まれる
硝酸態窒素が人体の健康被害をもたらすのではないかということで,今,各産地がさまざまな
取り組みをしているところでございます。
このほかにも,これは
買い手側のところでたくさんと出てきておりますが,異物の混入ですね,そして表示ミス,特に最近は
認証制度が幾つかできておりますし,特別栽培,
あと有機JASといったような表示の制度があります。その中で表示ミスというのが現に起きているということ。こうした食品の農産物の安全性を脅かすような事例というのが,今の
生産現場にあるという事実から,これを解決する仕組みを取り入れなければいけないと。
まずは,いろいろさまざまな現在行われていた
取り組みを検討しました。
有機JAS,私の今現在いる
ユニオンファームも
有機JASの認証農場です。このほかにも特別栽培,
エコファーマー等の
認証制度,そして
生産履歴記帳運動ということで各地に広まっておりますが,このほかに
残留農薬の
抜き打ち検査ですね。こういったことが安全性を高める
取り組みとして現在行われておりました。
ただ,それぞれの
取り組みに関して,これでは安全性は確保できないと考えておりました。現に
有機JASをやっていても,
有機JASの生産者,そこから出てくる
有機農産物がもろ手を挙げてを安全といえるのかという部分は,やっている私自身が感じるところではありました。特別栽培もしかりです。
エコファーマーも似通ったところがあります。あとは生産履歴,これは非常に重要なことではあるのですけれども,記録を書くことで
農産物そのものの安全性がどこまで高められるかという部分に関しては,特に根拠がなかなか薄い部分ですね。例えば登録のない農薬,例えばイチゴに登録のない農薬を使ってしまったと,気がつかないで使ってしまったと。その場合に記録をしたところで安全性は高まらないわけですね。間違ってそういうのを使わないような仕組みという部分が必要なところで,記録では限界があるんだと。
抜き打ち検査,その工程管理がされていない農産物を
抜き打ち検査したところで,それに漏れた農産物に
残留農薬が含まれないかどうかというのは,やはり
抜き打ち検査の限界という部分が見えてきております。
その中でちょうど1年ぐらい悩んだところでした。実際の
取り組みでは安全性の高さを証明できるような
取り組みがなくて,当時私は前職に,生産者の
グループづくりの企画を担当していたのですが,ここ一歩を欠くというところでした。たまたま会を立ち上げるという,会議の日程の方が決まっていまして,それの日程が迫る中で安全性を確保する
取り組みを
日本じゅうを探して回りました。その中で偶然,
茨城県内つくば市でこのGAPに関しての国際会議がありました。その中で,たまたま知人に誘われて行ったわけですけれども,そこでこのGAPの事例報告がありました。
主にはアジア,オセアニアの国からの報告でしたが,やはり英語での
プレゼンテーションでしたので理解できない部分が往々にあったのですが,何となく農産物の安全を確保する仕組みなのかなということはありました。その中で気がついたのが,周りの国々は既にこういう
取り組みをしていると。もしくは国がそれを推進しているということに,若干危機感を感じながら時間を過ごしていたわけですが,一番最後に報告があったのが日本からだったのですね。今の
日本GAP協会の方が日本の
取り組み事例として報告したわけですが,日本にもあるのかと。その場で,私がちょうど足りていないところにすぽっとはまるのがこのGAPという
取り組みでした。
当時,GAPを調べてみたわけですが,我々が今回採用しています
JGAPのほかにもたくさんのGAPがあります。現在GAPを推進する上で問題といわれているところですが,
GAP制度の乱立という状況が今ございます。それを行っておりますのが,最大手の量販店だったり,生協もしくは行政というところで,さまざまな立場の方がGAPという制度をつくり上げております。8割,9割,ほとんど内容は同じにするものなのですが,それぞれの立場で行われてしまっていると。
ここを現在の問題と指摘される方もいますが,私などは,このGAPが始まってまだ2年足らずという状況の中で,むしろ好ましい状況かなと。やはりそれぞれの立場の人が食品の安全に関して何かやらなければいけないということで,このGAPに注目しているという事実だと思います。この中で今現在農水省でも行われておりますし,
日本GAP協会内でも行われておりますし,基準の一本化,日本の標準的なGAPをつくりましょうという活動がされております。
当時さまざまなGAPを知ったわけで,その中でこの
JGAPを採用したという理由がそこに上げられております。
農場側からしますと,安全性を確保するだけでは事業の安定的な継続というのは難しく,自然環境にも配慮しなければいけません。やはり農業は地下水を大量に使いますし,肥料を使うことで
地下水汚染というものを起こしております。
茨城県内の地下水を調査しても,幾つものところで
硝酸態窒素の基準値を超えた地下水というものがあります。それが家庭内で飲まれていたりとかという事例はあるわけで,そういった環境にも配慮しなければいけないと。
もう一つは,私の会社もそうですけれども,
茨城県内は特に大規模化が進んでおります。その中で研修生,実習生,そしてパートさん,社員を含めた企業化がされているわけですね。そうなると,今まで家族経営で行っていた部分,すべて家族で
コントロールのきいたところから,
コントロールのきかない他人が農業生産に携わるという局面に来ております。その生産者の中で労働者という視点が生まれたわけですが,彼らの安全を確保しなければいけないと。残念なことに,日本の
農業生産現場というのは労働者の安全を確保できておりませんで,過去30年から毎年400名が亡くなっているという状況です。ほかの産業からしますと,徐々に業界団体での活動として,この作業現場での事故というのは格段に減ってきたわけですが,
農業生産現場においては,高齢の方がこれからふえていくということもありますし,こういった亡くなる方は400人おりますが,もっとたくさんの事故というのが
生産現場に起きていると。ここにも取り組まなければいけない。
もう一つ最後に,農場経営と販売管理ということで,やはり我々事業としてやっておりますので,もうからないといけないわけですね。いかにしてもうけていくか,安定的な経営をやっていくかという部分で,
経営そのものと販売管理もやはり委託してすべて販売を賄うということには安定性を欠くと。
こういった点から,四つのテーマ,細かく分けますと129の項目が
JGAPにはございます。およそその6割が農産物の安全を占めたものですが,129項目を農場管理の理想とすべき農場の管理点,そしてそれぞれの項目に対しての適合基準,この基準を満たしましょうというものが策定されております。実際読んでみますと,適正な
農場管理をする上で何をすればよいかと,それが合法的かどかも含めまして,的確に整理されていたということが一番大きなものです。
この129項目を策定するに当たっては,生産者だけではなくて学識者も当然いらっしゃいましたし,農産物の
取り扱い業者,
食品メーカー,さまざまな方がさまざまな視点で,売り手と買い手が参加してつくり上げたものであるということに一定の評価が得られるかなと思いました。これが販売の局面で生きてくるなという感触を得ております。
また,今現在,
世界基準といわれているGAPがあります。当時は
ユーレップGAPというものでしたが,
ヨーロッパEU内で策定されたGAPです。現在は
グローバルGAPと,名実ともに
世界基準ということで名称を変更しておりますが,現在,
日本GAP協会の方で昨年行っております
同等性レベルの
認証制度,いわゆる
JGAPは
世界基準となっております。当時これに向けての準備が進められておりましたので,やはりやる以上は世界で共通するもの,なぜこれ
世界基準なのかと,我々自身は輸出というものを一切考えておりません。その中でなぜ
世界基準かというのは,GAPのシンポジウム,先ほど御説明した国際会議の中で感じた危機感の一つです。
そのとき積極的な
プレゼンテーションがあったのが中国,台湾,韓国,ベトナム,タイ,ニュージーランドということで,日本にたくさんの農産物を輸出している国々です。
買い手側に立ってみますと,今は安全な農産物として国産を選ぶ方々が多いです。ところが,安全な海外の農産物が出てきた場合に買い手はどうするかと,これは間違っても安くて安全なものを選んでいきます。その中で,それよりも
取り組みとして劣るものをやっていたのでは,
買い手側に確実に評価されてはいかないということで,やはり
世界基準のものが必要だということを考えておりました。ですので,
世界基準の必要性は輸出のためではなくて,輸入品に対する危機感とういところから求めておりました。
このさまざまなGAPの中で
唯一第三者認証という制度を,当時
JGAPは求めておりました。現在はそういう形になったわけですが,民間の
審査認証機関に審査を外注しております。ですので,協会が行う審査ですと,どうしても第二者認証ということで公平性を欠く形になります。ですので,第三者,利害関係を持たないものが審査を行うことで,その
取り組み自体の評価が高まっていく,信頼性が高まるということで,ここを一定評価しております。
当時
JGAP,私もよく理解しておりませんでしたので,特に農業資材の販売をしておりましたから,
生産現場というものを深くは理解しておりませんでした。その上で,やはりこれは指導していただかないと,40名弱の生産者には普及は難しいなと。その当時,
JGAPには
導入指導員という制度が誕生しておりまして,そこには指導員というのがおりました。ですので,導入するに当たっては,彼ら,
JGAPの
導入指導員の協力が得られるということも
JGAPを採用した大きな理由になっております。
次のページにいきますと,こういう過程の中で,まずは我々グループとなっております。それぞれの視点で生産をしていた生産者の方々がいらっしゃるわけですが,共通の農産物としてグループとして販売する以上,やはり規律が求められていきます。
買い手側からすれば,生産者が変わっても同じものでなければいけない,安全性に関しても同じレベルでなければいけないという視点から,まず第1段階で,すべての農場が
JGAPの認証を取得するというのが第1段階。
第2段階として,それをベースとした
農場管理基準,そして内部でそれを取り締まれる仕組み,内部監査というものを制度化していきました。昨年,団体認証という一歩踏み込んだ認証が
JGAPにあるわけですが,その認証も取得しております。
個々に当たっては,現地,生産者の現場においてどういう管理のやり方が適切なのかどうかというのを現地指導に当たったと。生産者みずからだけではなかなか行えない部分がここにはございましたので,指導というものはやはり今後も不可欠であろうと考えております。
また,記録という部分ですね,農薬,肥料の散布記録だけはなくて,農薬,肥料に関しては在庫管理,農産物の取り扱いに関しての危害要因の分析,さまざまな記録が
JGAPの中では求められてきます。やはり
生産者現場,記録にはなかなかなれないところがございます。ですので,まずは書き込む,いかにして楽に記録をとっていくかという視点での
帳票フォーム,フォーマットをつくっていきました。それに加えて
管理基準の策定ということになっております。
これをいかに生かしていくかと,これは販売の局面でしか生かされないと,まず考えておりました。ですので,商品管理,品質管理ですね,安全性というものも一つの品質という理解をしておりますが,まずは安全性の部分,信頼を一番失いやすい部分に関しての管理の手法として,
JGAPが生かせるであろうという役割に現在もなっております。
実は
茨城県内でも
残留農薬の事故を起こした事例というのもここに数件ございますが,その方々の末路がどうなっているかと申しますと,やはり
契約取り引きをしていたところからは契約を打ち切りということ,これは当然なっていきます。そのために出荷した農産物の回収,ここに数千万円のコストがかかっていると。
栃木県のイチゴでもありましたように,集荷被害ということで数億円といわれておりますが,多額の,信頼を失うだけではなくて,実際かかってくる多大なコスト,これを避けなければいけないと。今後将来得られるはずの売り上げも失うという観点からすると,この農産物の食品事故の起す影響というのは計り知れないということから,そのリスクを最小限にできるGAPの役割というのは大きいなと考えております。
実際に私の方で販売をしたわけですが,私も大学を卒業してからずっと農産物の販売,もしくは仕入れという業務に携わらせていただきましたけれども,農産物というのは全く扱ったことがなかったわけですね。営業の方法自体は似通った部分がありましたが,業界のことも余りよくわからずに,飛び込み営業的にやった部分もありました。その中で
マーケティングツールとして活用できた部分が大きいかなと思っております。
野菜を一品も扱ったことがない人が営業しに行って,我々の野菜こうですよといったときに,恐らくはこのGAPという
取り組みがなければ,評価されることはなかったであろうと思います。農産物の販売自体は極めて簡単なものというわけではなくて,やはり過去長い間やられた中でノウハウというものが必要な部分があります。それを欠いた上でも現在の販売が成り立っているというのは,やはりGAPを評価していただく方々への一つの
プレゼン材料になったのかなと思います。
この中で一つありますが,農産物の最低条件は安全であって当たり前と,それほど高い付加価値かどうかは相手側の評価するところですが,これは最低限のものとしてとらえております。現在までには,この農産物の安全というものを担保する制度というものがありませんでした。その視点で量販店などもプライベートブランドですとか,独自の
管理基準などを設けておりますが,明確にできない部分でした。
生産者サイドにとっては,一番下に書かれておりますが,需要者にとっても満たされないニーズというのが,実はこの安全性だったわけですね。量販店のバイヤーさんからお話を聞いても,安全なのは何となくわかったけれども,本当かどうかという確信は持てないというところは,大手の量販店さんのバイヤーさんもおっしゃっておりました。そういう意味で評価をしていただいたのは,やはりこういった根拠のある
取り組みですね。バイヤーさんが実際に農場の現場を見られることもありますが,正直言って全くわからないそうですね。当然スーパーの管理をされている方が農場,つくられている場所の管理点というのはわかるはずがないわけですね。どういう作業があるのかもわからない。どういうものが使われているかもわからない。こういう専門外の方に農場の安全性を確認する方法というのは現実的にないわけですね。この方法がない中で農場を審査,監査するプロ,いわゆる第三者認証における認証機関ですね,そのプロが見て問題ないという太鼓判を押したところには無条件で信頼を置けると。
実際に商談の場では,幸いながらも相手がGAPを御存じでした。特に
JGAPに関しての理解が深い量販店もしくは外食の買い手の方々で,GAPという部分を我々は取り組んでおりますよという,この一言で安全性の確保,
取り組みに対しての説明は一切要りませんでした。GAPをやっているのね,わかりました。次は品質,おいしさの部分はどうなのですかということで,商談が極めてスムーズにいったという
取り組みです。なので,ここでは記帳がどうこう。どういう記帳をしていますよという説明もありませんし,
残留農薬の検査をどうやっているのという質問も全くありませんし,農薬をどういうふうに使っているの,肥料は何を使っているのという質問も全くなく,安心していただいたという評価をいただいていると感じております。
実際に国内,個々熾烈な
産地間競争があるわけですが,それぞれの産地が取り組んでいる農産物,その中には必ず商品性というものがあると理解をしております。それは品目によって,地域によってさまざまで,ここに上げただけでもさまざまな商品性というものがあります。
近年ですと,ゴボウ,前は長いものが中心でしたけれども,最近はカットゴボウと。車で買い物をされる方は長くても短くても構わないかもしれませんが,電車もしくは自転車,ちょっと前に三人乗りでスーパーに買い物に行く主婦の映像がテレビでありましたが,あの状態で長いゴボウ,長いネギを持って帰れるのかどうかということから,特に都内に行きますと電車で農産物,野菜をスーパーに買いに行くという方もたくさんいらっしゃいます。その中でカットゴボウ,そして冷蔵庫に入る,最近の冷蔵庫は長いゴボウも入る冷蔵庫がありますけれども,短いまま冷蔵庫にも入れられるということで,使いやすさに視点を置いた農産物もございます。当然おいしさ,もしくは新鮮さと。
茨城県内でも真空予冷が大きな産地で取り組まれておりますが,この一例かなと思います。
こういった見た目,内患的なものだけではなくて,その地域の文化を背負った,一番わかりやすいのは京野菜なわけですけれども,おいしいか,おいしくないか,新鮮かどうかという以前の問題として,京野菜という文化を背負った農産物もございます。これは
茨城県内にも当然あるわけですが,さまざまな商品の根底にあるのは,これは積み木だと思っていただけるとわかりやすいのですが,一番根底にあるのはやはり安全という部分なのですね。この安全という部分が揺らぐと,上にいかなる商品性を積み上げたところで一気に崩れてしまうわけですね。
例えば
茨城県内で一番評価が高い新潟県産の某産地のコシヒカリ,ここも安全性が確保できていないと,あそこの米は危ないよとなった途端に,おいしさ,そこまでの歴史というものをすべて失う結果になるわけですね。現に某地域のお米に関しては,カドミウムが過剰に含まれるということで産地の
取り組みをしておりますが,産地内では前から知られたことですけれども,やはり鉱山が近いということで用水からカドミウムが水田に入ってきて,稲は非常にカドミウムを吸いやすい作物ですので,玄米への残留が多いということは,以前から指摘されておりました。
こういった中で,その産地も今は
JGAPに取り組んでおりますが,やはりこういった部分を,今までは余り対策もなく取り組まれていなかった部分を,今取り組もうという産地がふえてきております。
ただ,これだけではいい条件で売っていくというのは極めて難しい話でして,実際に営業という局面にまいりますと,その価格が適正なものなのかどうか,その販売するところで売れる金額なのかどうか,業界によっては,例えば百貨店,量販店,それぞれ適正価格というものがあります。大体一般のスーパーで売られている農産物ですと,198円を超える農産物というのはほとんど売れないと。ですので,上限価格198円で設定しているところが多いと思います。これは果物とか,そういったものになると若干異なってきますけれども,一つの上限などを求めている量販店さんもおります。
ところが,一方百貨店に行きますと,安いものはなかなか今度は売れないと。極めて価値の高いものを高く売ると。高く買っていただけるお客様を客層として持っておられるプレイヤーもございますし,そこの販売するところに合った価格なのかどうか,そしてその規格ですね,一つの包装に入っているものが,そこのお客さんにとって適量なのかどうかという判断をしなければいけません。
そしてその供給時期,一年じゅうそれを供給できるのか,安定的に供給できるのか。毎日100ケース欲しいんだったら,365日それを切らさずに納品できるのかどうかということも,
買い手側にとって,幾ら商品性が高くても入ってこないときがあるということがあると,特にチェーンストアの業界というのは困るわけですね。私もその業界に農業資材ということでおりましたが,やはり次の日に入ってきてもらわないと困るわけです。チェーンストア業界の中では商品の棚をあけるということは完全にタブーなわけですね。壁面を見せてはいけないという常識がございます。ですので,供給量,供給時期というものは極めて重要な販売上の条件となっております。
もしくは品ぞろえという部分も,我々一つの重要な要素だと思っております。一品を買うのに一つの取引先としかできないと。例えば我々のところで買うとサツマイモは山ほど買えますよと,でもサツマイモしか買えないということは,
買い手側からすると仕入れ先としてのメリットというのは薄れていくわけですね。市場というものがその逆をいっているわけで,何でもありますよということが強みだったわけですが,やはり品ぞろえをそろえていく,これが実現できるのは全国でも限られ地域になるわけです。
茨城県,この温暖な気候と広大な面積の農地,これを生かしてさまざまな品目が生産されております。これを流通の段階では弱みとされている部分も若干ありましたけれども,これを強みにできる地域,これは茨城県しかないなということで,あえてその強みを出していこうということで,我々年間を通して30品目の取り扱いをしております。
また,リードタイムということで,これは向こうの発注してから納品するまでにかかる時間,短ければ短いほどいいわけですが,それを物流の仕組みでどこまで成り立っていけるかということも,販売の面では,有利な条件を引き出す上では極めて需要な要素と,さまざまな要素があるということを説明させていただきました。
具体的なGAPの
取り組みを簡単に御説明させていただきますが,2006年の春から,すべての生産者への認証取得に向けて
取り組みをしました。
まずは,動機としてさまざまありましたが,大きく上げるとこの3点。安全性は価値ではなくて,これは前提条件であると。これを活用した販売チャンネルを広げていくということを一つの動機としております。
また海外でGAPが普及しておりますので,近い将来,農産物を買わないといっていられるのも恐らく限界はあるだろう。いつか農産物が大量に入ってくる時代も恐らく来るという危機感は,我々生産者,皆さんがお持ちのものです。
事業継続の不安というのは,先ほどお話した食品事故を1回起こしてしまうことで失うロスということで,ここを確実になくしておいて継続的に事業を行っていくと,その上でGAPを導入していくということで春から始めております。
実際には,一番前におりますが,
日本GAP協会から派遣されてきた指導員という方に,地域ですとか,テーマを分けて,すべての生産者全2回,まず1回目で「農産物の安全」についてというGAPの項目について,なぜこの項目をやらなければいけないのか,実際的にここにある問題なのだろうか,その裏づけとなっている法律,例えば農薬取締法ですとか,毒物劇物取締法,危険物,さまざまな法律が食品衛生法も含めてございます。そういう法律も含めた説明を,まずはしていただきました。
2回目でそのほかの部分ですね。環境への配慮,その他2点の項目について指導員から説明をいただいております。
同様に,この座学の研修は午前中の4時間だけということで,私も含めて生産者は,なかなか人の話を長時間聞くということにはなれておりませんで,まずは午前中ぐらいにしておいて,御飯を食べてから外の空気を吸いに行くという視点からも,その代表農場の現場に行っております。
午前中言っていた話がどこにどう当てはまっていくのかと,まさしくここは百聞は一見にしかずというところに該当するわけですが,目で見て問題点,さっき言ったのはここなのかという新たな問題の発見がこの場で見つけられていきました。その際に対策というのはどうすればいいのかと,これは建物を建てなければいけないのかというところを,問題解決を一通りしていきました。
この研修で一通りGAPというものを理解して,それぞれの農場がまずは自主的に改善を行うということを,およそ1カ月間をかけてやってもらいました。その中で初めてやる
取り組みですし,現場個別に状況が違います。方や1億円の売り上げを持っている
農業生産法人,方や家族だけでやっている生産者,当然施設,
取り組み自体が,取扱量も含めてですけれども,全く異なるわけですね。それぞれの生産者に合った個別指導というものを,私は「農家の店しんしん」の
JGAP指導員いう方々に協力をいただいたわけですが,当時,実は私,こちら側にいたわけですね。この40名の指導をしていく指導員の一人でした。
ここで現場の改善も去ることながら,記録が適切にとられているのか。そのとる場所,場所によっては家に帰ってから書くよりも,現場で書いた方が効率よく記入ができるというケースも含めて,必要な記録がつけられているかということを確認していきました。この中で問題点の改善がなされたという形になります。
先ほど第三者認証という説明をさせていただきましたが,
JGAPに関しては審査を受けての合格,不合格で認証が発行されております。当時は第二者認証だったわけですが,昨年から第三者認証に移行しておりますが,一番右の奥にいらっしゃる方が
JGAPの審査員です。この審査機関から現在は派遣されて来ているわけですが,一番左の奥にいらっしゃる方が旧美野里町のニラの生産者の方ですね。その農場の審査の画像がそこにあると思います。
まずは聞き取りということで,129の管理点について,記録も含めた聞き取り調査を行い,その後,現場確認。圃場,作業場,貯蔵庫,さまざまな施設,圃場の実態調査と周辺状況の確認をしていきます。およそ4時間の審査となります。
これをすべての生産者,当時40名いたわけですが,40名の生産者が審査を受けております。ここに下に費用と書いておりますが,個人で審査を受ける場合には,現在でも同じかと思いますが,5万円の審査料がかかっていきます。ここに旅費,交通費は別途ということになりますが,団体審査になると2万円前後に下がるということになっております。これは人数によっても異なりますので,詳しいことは審査会社に問い合わせていただく形になると思います。
実際にこの審査を終えた後に,その場で不適合項目が上がってきます。あなたの農場はこことここが不十分でしたよということで,審査員から報告をもらいます。その場で合格,不合格と,あなたよかったよ,あなただめだよという話ではなくて,その1カ月間,是正期間というものが設けられます。1カ月以内に今回十分ではなかったところを是正してくださいと,そこを改善した内容もくしは画像も含めて報告をしてくださいと,それが適切であれば合格,それでも不適合ということになると不合格になるわけですが,それを4週間以内にやってきました。
この中でも是正指導というのを行っております。それまでに自分が考えることというのは,すべて生産者はやったわけですね。それでもだめと言われた。これは打つ手がないということですね。そこに対しては,あなたここをこうしなければいけませんでしたよということを,指導が必要な部分として上げられると思います。
これを終えて審査機関への届け出をして,合否判定が行われるわけですが,審査判定委員会というものが当時ありまして,今現在は
審査認証機関が行っておりますが,そこで合格さされますと
JGAPの認定書というものが農場に配られます。
この認証期間を確保される有効期限ですね,これは1年となっております。現在は129の項目すべて審査の際に不適合がゼロ,すべて適合している農場に関しては2年という猶予がありますが,ほとんどのケースで1年となっております。ですので,毎年審査を受ける形になります。
ことしも9月に我々の方も3回目の審査を受けておりまして,実はおととい認証継続が認められたという状況になっております。
1年目やっていく中で,前段に御説明しております
管理基準ということで,より具体的に落とし込んでおります。これ,今変更が加えられておりまして,正式な項目数は記憶しておりませんが,およそ129の
JGAPの管理点から必要な対策というものを抜き出して,現在154項目程度あったかなと思います。あくまで
JGAP自体は管理点と,ここを押さえてくださいよという内容にとどまっております。そこからどういうふうな手法で農場管理をしていくのか,どういうふうな記録のつけ方をしていくのかというのは,農場に一任されているわけですね。ですので,さまざまな1年目,ここはかなりちゃんとできているなと,ここは何かぎりぎりだなというところがございましたので,まずは一つの最低限の基準づくりということで,こういう基準をつくらせていただきました。
主に二つあるわけですが,
農場管理と。これは圃場だけではなくてすべてそこに働いている人も含めて全体的な管理をする,販売管理を含めてですけれども,生産工程以外の部分も管理するパート1。今度は生産工程ですね,種がまかれて収穫するまでの間の管理点というものをパート2でまとめております。
このほかにも我々事務局の方で農場ごとの情報を管理しております。そこの農場が定めている責任者がどれなのかと,
JGAPの中では農薬と肥料,あと雇用に関しては責任者を設けることという項目がございます。それぞれ問題があったときには問い合わせるわけで,その責任者がだれであるのか,栽培している作物,圃場,そして圃場の面積,圃場の所在地,そして機械,どういうものが使われているのかということを事務局で集中管理をしております。
あと栽培基準書ということで,ここの農場が作物ごとに使用する農薬,まず事前に事務局の方で,その農薬の登録が正しいかどうかというものをチェックしていきます。そのチェックされたものを生産者,グループ農場の方では使われていくという形になります。
ここに幾つか,象徴的な導入後のコメントをされた生産者の話の内容を若干まとめておりますが,共通して言えるのは,多くの方が正直なところ本当に安全かどうか自信を持って出荷できていなかったと。きょう出したものが,もしかするとあしたクレームで返ってくるかもしれないと,しおれがあったかもしれないと,こんなものがついていたかもしれない,入っていたかもしれないという不安を,やはりどこか持って出荷していたわけですね。それがやれることをやっていると,これだけのことをやっていればある程度の安全性というのは確保できているだろう,というところの安心感を生産者自身が持つことになったということになると。一つ上げられると思います。実際にクレーム自体が減っていくという農場も多くあると聞いております。
GAP自体,先ほど129もあるということですが,この後の説明にあるかもしれませんが,一個一個見てみると,極めてハードルの高い項目というのは実はないのですね。それがたくさんあるので大変な印象を受けるのですが,実際に今GAPを御存じの生産者でも,余りやりたくないなという方も当然いらっしゃるわけですが,まずは読んでいただくこと,無茶な要求はしていないということを読んでみると理解していただけるかなと思います。
一番下にあるA社ですね。ここは3ヘクタールの施設を持っている
農業生産法人ですが,法人となりますと若干考え方が変わってきまして,やはり企業運営という視点がありますね。経営改善のためだけに行ったと,有利な販売は営業力によって変わってくると。ですので,まずは,特に法人,大きな生産者となりますとさまざまな
取り組みをしております。取引先の要望にあわせて使える資材というものを限定されていきますし,その上で安定生産もしていかなければいけないと。確実な労働力も確保していかなければいけない。その
取り組みの中ではいろいろなことをしているわけですが,やはり
農場管理の専門家ではないので,どこをどういうふうにしたら満足なのかということを常に模索しているわけですね。その方々にとっては,ここを押さえれば一定のレベルでこういう基準を満たせるというものがあるのは,極めて便利な道具ということが言えると思います。
またほかに幾つかありますが,後で御一読いただければと思います。
よく
JGAPは勘違いをされるケースがあるわけですが,導入そのもの自体に果たして目的があるかということを,まず取り組む生産者は理解しなければいけないということですね。これをとれば世界が変わる,どんどん引き合いがふえて有利に動いていくということは,恐らくないと思います。そこに積極的な販売の意思がない限りは,やはりものというのは有効に動いていかないと,これは農業に限らずすべての製品でそうなはずなのですね。ですので,そういった
取り組みは必ず必要ですし,産地はそういう
取り組みを既に行っていると思います。その積極性の中でこういう道具は生かされていくということから,
JGAP自体は導入に目的はなくて,あくまで手段であり道具であるということを,まず理解すること。これがないと,
JGAPを導入したといった後に何も変化がないという状況になると,これは余りいいものではないなと。続ける必要はないなということを農場側が思ってしまうわけですね。ですので,あくまで道具であり,その使い方次第で物事は変わっていくと,有利な条件で販売するかどうかも,その活動いかんによるということが一つ重要な要素ではないかと感じております。
やはりコストというものが,導入していく上ではかかっていくわけですが,このページにまとめておりますのは,まず行政から出てきている公的な支援というものがあるかなと思います。食の安全・安心確保交付金ということで,我々初年度これを活用させていただきました。その際には県庁の園芸流通課の方に多大な御協力をいただいて,この場をかりて御礼申し上げたいと思います。この費用がかかっていく中で,その費用の50%を負担していただくというのは,取り組む上で強力な推進力になったということは紛れのない事実だと思います。
お金があればできるかというと,決してそうではなくて,これとあわせて生産者の導入を支援する方々の協力というもの,これも不可欠であったと考えております。
今現在,私の団体の方によく視察の依頼が来るわけですが,よく年に2回来ていただいているのが,普及員の方々が毎回30名から50名ぐらいでGAP農場の見学にいらっしゃっていただきます。農林水産省の生活技術研修館というところが対普及員へのGAPの指導をしているということで,我々喜んで受けさせていただいておりますが,なぜそういったものの御協力をさせていただくかと言いますと,全国に農業改良普及員というのがこれだけいらっしゃいます。さまざまな業務に携わって大きな負担になるかもしれませんが,普及員という方々がこれだけ日本全国に散らばっている中でGAPを理解してやりたいというときに,すぐに相談できるところ,なおかつコンサルタントであれば,我々も当時
日本GAP協会には多額のコンサル料を導入指導の際には払っております。これを気軽に近いところで指導のお願いをできるという立場から,やはり公的機関の中で普及員の活動できる部分というのが往々にあるのかなということで,どんどんまずはGAPを知っていただいて,
日本じゅうでGAPをやってみたいという方には手を差し伸べていただきたいなという視点から,どんどん我々のグループの農場を開放しているという次第でございます。ですので,こういう公的な金銭面での支援と,あとはこういう技術的な人的支援というものは,今後のGAPの普及の中では欠かせない大きなテーマであろうと理解をしております。
以上が,我々が取り組んできておりましたGAPの
取り組みの経緯と動機,そして使い方というようなことになっております。
7
◯加倉井委員長 長時間にわたる御説明,ありがとうございました。
それでは,ここから意見交換の時間とさせていただきます。
ただいま御説明をいただきました内容,御意見につきまして,委員の方で質問,御意見がありましたら,お出しをいただきたいと思います。
佐藤委員。
8 ◯佐藤委員 いろいろ御説明いただきましてGAPに対する理解というものを,多少わからせていただきましてありがとうございました。
その中で玉造さんが事務局という形も含めて,正会員が36名という形で現在いらっしゃいますけれども,このGAPを含めたところでの正会員さんとか準会員さんがいるかどうかわからないですけれども,それが拡大をするとか,このGAPに対しての考え方でもっともっと幅広くやっていきたいとか,その辺の状況についてわかれば。
9
◯玉造参考人 そうですね。生産者の頭数で勝負はしていないのですが,やはりお客様がより多くの商品を欲しいと,こういった品目が欲しいという場合には,随時補充をしていきたいなとは考えております。
この36名,どういうふうにして集まったかと言いますと,最初は私が前職で所属しておりました「農家の店しんしん」ですね,アイアグリのおなじみのあるお客さんに対して100名,まず,この小美玉市を中心とした100名に声かけをしていただいて,そこから集まりスタートを切ったわけですけれども,その後は,会員からの紹介制をとっております。
この紹介制のよさは,やはりGAPというもの自体,我々の販売自体を理解していただかないで入るといろいろなトラブルを起すわけですね。思った以上にGAPは大変だったということになってしまうと,我々も困るわけで,現在それを実行している方,販売をされてこういう販売,販売もある程度規律がありますので,約束事もたくさんありますし,それを守れる方々,同じ感覚で農業生産をできる方々ということは考えております。
先ほど申し上げました地域だけですと,品目が限定されるというのが今のテーマの一つですね。例えばレタス,キャベツ,白菜と,茨城県は県西が大きな産地ですけれども,今の地域の中にはそういう商品の生産者は限りなく少ないわけですね。また県西はネギの産地だったりするわけですし,あとはトマト,キュウリというところはまた別な産地に広まっていくと思います。そういった中でお客さんの要望にあわせてそういう品目が必要となれば,そういった得意な地域にメンバーをふやしていくという構想も直近のところで持っております。
10 ◯佐藤委員 ありがとうございます。
また,消費者側から見たGAPに対する理解度というのですか,意識というものはどのように受けとめられているか,感想でも結構ですが。
11
◯玉造参考人 消費者の方でGAPを御存じの方というのは,恐らくほとんど国内にはいらっしゃらないと考えております。私どもが量販店向けに販売させていただいている商品には,
JGAPの認証取得ですとか,GAPをやっていますという文言は一言も書いておりません。表示するばかりがいいことではないとは思うのですけれども,私個人としては,表示して消費者にそれを知っていただいて選んでいただくということは,必要なことだと思いますが,現在の
JGAPの
取り組みとしては,個包装に
JGAPの表示をしてはいけないという規定がございます。
何のためにしているか,現在でも議論を進めているところですが,同等性を確保している先ほどの
グローバルGAPですね,この
世界基準のGAPが表示を認めていないからなのですね。
何のためにヨーロッパでGAPができたかと申しますと,あくまで仕入れ基準なのですね。それぞれの大手の量販店,EUになりましたので域内であれば広域農産物が扱われるわけですが,それぞれの大型の量販店,日本などよりもトップの会社のシェアが限りなく大きいところですね,それぞれGAPみたいな仕入れ基準を持っていたわけですね。まず最初に彼らが集まって一つの組織をつくったときのテーマは,農産物の安全というものは全国共通でなければいけないだろうと。この基準は一つにしないかというところから始まっております。
日本国内で言えば,ヨーカ堂さんですとか,イオンさん,日生協,CGCという農産物の大きな扱い手が一つの基準づくりをしたというのが,
グローバルGAPの生まれです。その中で仕入れ基準だから消費者はそれを知らなくていいと,あそこのスーパーで売っているものは安全だということを確保するのが売り手の義務だというところから,表示を制限しております。ですので,日本の
JGAPもその
グローバルGAPと同等性の手続をとっておりますので,同じように表示はしてはいけないということになっております。
その
取り組みの中で農産物,今は
JGAPの認証農場は私の知っている限りですと250農場ぐらい,今日本全国で誕生しておりまして,いろいろな産地が取り組んでおります。その中にも表示をすべきだと,もしくはすべきじゃないという議論もたくさんありますし,
日本GAP協会の中でも推進する派と,それをしない方がいいという部分が分かれておりますが,私自身は表示をすべきという立場で議論をさせていただいております。
12 ◯佐藤委員 ありがとうございました。
13
◯加倉井委員長 ほかに,御意見,御質問。
山岡委員。
14 ◯山岡委員 今,全国で250くらいということですけれども,
茨城県内ではどのくらい。
15
◯玉造参考人 そうですね。茨城県,実は認証農場数で言うと恐らく一番多い県でありまして,そうですね,私どものグループが認証農場36です。つくば市にみずほの村市場というのが,社団法人日本
農業生産法人協会の長谷川会長の組織ですけれども,ちょっと正確には覚えていませんが,そこで数十人,我々よりも人数が多かったと思いますけれども,認証農場が昨年誕生していると思います。
また,県西の
農業生産法人でも団体認証を取得しておりますので,恐らく100弱ぐらいあるかなと。正確な数字はあれですけれども,
日本GAP協会のホームページにもしかするとのっているかもしれませんが,100を切るぐらいの認証農場数があります。
16 ◯山岡委員 私も今お話を伺っていて,GAPの認証を受けたら何かあった方がいいような気がするのですけれども,見通しというのはどうなんですか。
17
◯玉造参考人 そうですね,これは国内の
JGAPだけの問題ではなくて,その部分になっていきますので,これは協会側としても早いタイミングで議論をして,ある程度の結果を,結論を出さないと,これが続くことで認証農場数が減っていくという局面はやはり避けなければいけませんし,それは緊急課題として今取り組んでいる部分かなと思います。
我々の場合,農産物のブランドというものをやっております。これは,販売する量販店さんがプライベートブランドというのをお持ちの量販店も今たくさんいらっしゃいます。そのブランドの仕入れ基準が
JGAPという量販店もありまして,そのプライベートブランドは我々も含めて共同開発したものですけれども,プライベートブランドを量販店が立ち上げるというのは,極めて大変な話なのですね。そこに人も割かなければいけない,プロでもないのに基準もつくらなければいけないと。そういう意味では,こういう
JGAPを一つの仕入れ基準にしてブランドを立ち上げると。
イオンさんは実はグリーンアイというプライベートブランド,あれもイオンさんが定めた,通称イオンGAPというものですけれども,あれに合致した商品を仕入れ基準としていると思います。ああいったパターンでさまざまな量販店が自社でコスト,人的負担もかかることなく,プライベートブランドを,
シールだけつくってしまえば,あとは産地を囲い込むということで,ある一定の価格競争にさらされない商品づくりができていくかなと。
我々はそこに積極的に入っていこうと考えております。
18
◯加倉井委員長 新井委員。
19 ◯新井委員 今のに関連する質問なのですが,今や喫緊の課題になっているのが安全だよね。食の安全。だから,おいしい,おいしくないは二の次で,まず安全かということが非常に,消費者は生産のことは全くわからないわけですから,だからこういう何か基準があってこの判が押されているものは安全だよというものを示してもらわないと,消費者というのは選ぶ能力がないわけですから,せっかくこういうものを立ち上げているんだったら,どういうわけでそういう基準の認定を認められないのですか,反対もあるというのは,なぜ反対するのですか。このマークをつけるということ。
20
◯玉造参考人 表示をしてはいけないということですね。
21 ◯新井委員 すべきだと思うのだがな。
22
◯玉造参考人 私もすべきだと思います。
すべきでないという方は,ヨーロッパのGAPと同じような視点の方ですね。これは
買い手側と売り手側との信頼関係の仕入れ基準として使うべきだという方が,反対されている方の中では多いのかなという感触を得ております。
また,一方で懸念される部分もありまして,確かに安全なもの,そこに価値があるかもしれませんけれども,例えばGAPという表示をされた商品が,例えばホウレンソウが
茨城県内のスーパーで78円で販売されていたと。今度困るのは我々なのですね。これは都内で時期ですと大体148円から158円で売っているGAPの商品ですね。それは表示をされてなく,量販店のプライベートブランドとしてやっているわけですが,これ同じGAPが片方は78円,片方は148円,どこかの産地が例えば200円で,見た目は同じホウレンソウがついた場合,これは消費者がどう判断するかという議論がまた一方であるわけですね。
今おっしゃられたように,GAP自体は安全性を確保するものですので,おいしさとか形を評価する方法ではないわけですね。ところが,農産物の評価自体は,安全性は当たり前のものとしてありますけれども,さまざまな要素というのを
買い手側の方々,消費者の方々お持ちなのですね。なので,このGAPが保証する部分が目に見えない部分であることに対して,こういう価格がさまざまに出てきてしまう部分,なので,始まっているこのタイミングですといろいろな
取り組みがされてしまいかねないのですね。
ですので,私はその言い分はわかってはいるのですね。わかってはいますけれども,やはり生産者の立場から言うと,これを食べていただく方に選んでいただきたいと。中には文章なんかなくてもいいよという消費者も恐らくいらっしゃると思います。ただ,そうじゃないとだめだという方々には,そういう商品として提供していきたいという観点から,やはり表示はすべきだという方に賛同している部分がございますので。
23 ◯新井委員 安全を担保する場合には,市場性だけを追うわけにはいかないんだよね。今みんな市場,市場で競争原理でやっているでしょう。だから,安いのを欲しがるのは当たり前なんだが,でも危険性があればだれも欲しがりませんよ。
今,公共的に我々純粋な消費者感覚から言うと,高い安いはどうでも,まず安全なものが第一,その中で一番安いものをねらうのが目的だと思うのだよね。だから,きょう先生の話を聞くという中で,こういうシステムでこういう安全の担保をつけられるシステムがありますよと。だから今後こういう表示のものをきっちり皆さん買うようにした方がいいとか,そういう話を聞けるのかなと思ったのですよ。
だから,これは県の農林水産部の方でも,いかに安全なものを県民に対応する指導をしていくかということで大きな問題だと思うのですが,表示をする必要はないという感覚の,そんなの自己満足だと思うのだな,中途半端な学者の頭みたいな気がするんだが,きちっと,だめだよこういうのは,と思います。
以上です。
24
◯加倉井委員長 五木田委員。
25 ◯五木田委員 関連なのですけれども,今のGAPの表示をする,しないというのは,最初は仕入れ基準ということが基本的,ただ,今の話の中でも対象者には表示すべきだと。それで,そのスタンスをちょっとお聞きしたいのですけれども,中国,台湾,韓国,あとはベトナム,タイ,そういう東南アジア諸国の思い,体制,考え方というのは,どっちの方なのかどうか。
それから,もう一つはGAPのちょっと意味がわからないから,「G・A・P」の解釈について,わかる範囲で教えてもらいたい。例えばJISマークみたいにジャパニーズ・インダストリアル・スタンダード,そういう決められた枠内でやっているようだったら全部表示するよね,商品。でなくて,このGAPについては一番先の説明では仕入れ基準だから,仕入れた,今言ったメーカーの方で安全ならば,メーカーでその次の表示をしてやればそれでいいのか,そこらのところの考え方と東南アジアではどう考えて今進捗しているのか,そこら辺わかる範囲でお聞かせ願いたい。
26
◯玉造参考人 そうですね,今の御質問の中で2点あるかと思いますが,まずは簡単な方からということで,GAPの頭文字ですね,グッド・アグリカルチュラル・プラクティスですね。これは農水省の訳も大分変わっておりますが,最初は農業適正規範という表示をしていたのですが,よくわからないのですね。ですので,最近は
農業生産工程管理の手法というような呼び方をしていまして,直訳するとなかなか難しいところがありますので,要するに安全な農産物,そして環境に配慮されたもの,作業者も安全な農場というところでの工程管理をしていきましょうという形ですね。協会側としては,よい農業のやり方という訳をしている方もいらっしゃいますけれども。
海外の
取り組み状況に関しては,余り深く理解していない部分がありますが,まず一つ言えるのは,やはりふえていると。特に中国は国の政策として,中国はチャイナGAPというものを一つつくっております。これも特に表示はしていないわけですけれども,輸出国ですね,当然国内の消費もあるわけですが,する中で,まずは買っていただくために,例えば日本に買ってもらうためにGAPに取り組むと,彼らの中には消費者にどうこうという視点は特にないわけですが,日本の商社にいかに買ってもらえるかと,その
取り組みとしてどんなことをやっていくか,これはヨーロッパの
グローバルGAP視点の
取り組みだと思いますけれども,指導員も昨年聞く話ですと,政府が養成して200人の
導入指導員が生まれていると,審査員も生まれたという話を聞いております。
東南アジアに関してはちょっと情報を持っていなくて,細かい御説明はできないかもしれませんが,認証農場はふえていると。
一つ,昨年か一昨年のFOODEXという食品の展示会が幕張で行われたと思いますが,そこで国内の食品事業者がたくさん農産物も含めて出ていたわけですけれども,その中でメキシコですとかチリといったような国のブースには,メキシコGAPを取り組んでいますよというブースが幾つも見られております。ですので海外からは,末端の表示をするかしないかという部分よりもこういうホールセール,ビジネス,小売りという部分ではなくて,大分使われ方が海外では広がっているのかなと。
海外の貿易という視点ではそれでいいのかもしれませんけれども,先ほどおっしゃられたように,国内には消費者という独自のマーケットがあるわけですし,生産者はそれに向けていろいろなマーケティングをしています。この機能が足りないという御指摘がかなり大きく,実際そうだと思いますけれども,消費者とどう向き合っていくかという議論をしなければいけない部分なのかなと思います。これは買い手の方々等も含めた上で表示する,しないを含めて,まず,今GAPの基準が一つではないわけですので,まずそれを一つにした上で表示をどうしていくのかという,ちょうど議論の時期に,GAPが日本に誕生してやっと3年目ですから,そういう時期に達してきているのかなとは考えております。
27 ◯五木田委員 ちょっと単純な話を聞きたいのですけれども,コンサル料という説明があったと思いますけれども,GAPのコンサル料については,これは量がふえればペイできるでしょうけれども,実額どれぐらいなのか,それとも製品に何%ぐらい入っているのか,その辺,わかる範囲で聞かせていただきたい。
28
◯玉造参考人 コンサル料がかかったのは初年度のみです。
このGAPの導入に関しましては,初年度の事業額として400万円かかっております。そのうちの大半,300万円強がこのコンサル費用,いわゆるGAP導入の指導料になっております。
現在
日本GAP協会は指導の業務を行っておりませんが,当時は行っておりまして,その外注費用ということでかかっております。
29 ◯五木田委員 わかりました。
30
◯加倉井委員長 ほかに。
本澤委員。
31 ◯本澤委員 余り言葉が上手でなくて率直に伺いますけれども,会員の方々は,この
いばらき農産物流通研究会の方々は,GAPをやることによって収入はふえていますか。売り上げ,農産物をどこかスーパーなどに売っているのでしょうから,その収入はGAPをやることによってふえているという話でしょうか。
32
◯玉造参考人 そうですね,それぞれの農場の情報は持っていますけれども,財布の中身までは情報を持っていませんで,詳しい幾らふえたのかという部分までは,正確にすべての生産者把握しておりませんが,我々の根本的な目的としては,やはり規模を拡大していくという共通理念がすべての農場にあります。逆に規模を拡大しませんかというところで人を集めていますので,その中で何が大切かといいますと,既存で,例えば市場もしくはJAさんに100円で売った商品を,有利な条件の110円が出てきたからこっちにシフトする,これでは農業経営はうまくいきませんよという指摘を最初の,私が前職で提案をさせていただいたときにあります。そこはそこで大事な取引先としてつき合うべきだと,新しくできた販路に関しては規模を拡大して生産しましょうと,それで1億円の農家を目指しましょうということを上げております。
ですので,基本としては,我々のグループはそれぞれの農場にとっては販売チャンネルの一つだという理解をしてほしい。今まで所属している任意組合ですとか,さまさまな部会がありますが,そこはやめずに,継続的にそこも信頼関係を保ちながら商売を広げてくださいと。
また,別な販売先として我々用意しますと。販売先をつくるための研究会という位置づけにもなっておりますので,ただ始まってすぐこれ1年間続くかどうか,自分のところで売っているチンゲンサイが一年じゅう取り扱っていただいて,今後も継続的に扱っていただけるかどうかという判断ができたタイミングでは,ハウスを増設したりですとか,そういう農場は幾つもあります。ですので,大きくふやした分は恐らく収益が上がっているのだろうなという解釈をしておりますが,そういう農場もふえております。
33 ◯本澤委員 規模拡大ができているということは,再生産価格で売れているのかなという気もするのですけれども,実際資材費が厳しい中,販売額は全然伸びないという現実が今言われていますよね,にもかかわらず,まだコンサルタント料も含めて大変な費用がかかっていて大丈夫なのかなと。だからここで,GAPで審査して生産された野菜がほかの野菜よりも高く売れていれば,差別化がされていれば,これはどんどん食いつくと思うのですけれども,差別化はされていますか。
34
◯玉造参考人 されています。
35 ◯本澤委員 やはり価格差はありますか。
36
◯玉造参考人 あります。
これは
JGAPによるものではなくて,
JGAPを根拠とした販売の活動の中で得られたものだと思っていますが,例えばこの周りの生産者の方々が
JGAPの認証を取得しましたと。それを市場に持っていきましたと,これは10円,20円高く売れるかというと,恐らく売れないと思います。例えば水戸の市場の仲卸の方が
JGAPの理解をしているかどうか,これが全く疑問ですね。恐らく茨城県の市場の関係者の中で,
JGAPの指導員研修というセミナーがありますけれども,そこに参加された方はいらっしゃいません。今市場関係者で来ているのは,横浜の丸中さん,東京青果,シティ青果,こういう大手の市場の方々はいらっしゃっています。
現に丸中青果では
JGAPの農産物が扱われております。それは売り手の方々が理解されて,そういうものを望むお客様にそれをお届けしているという実情があるわけですね。やはりサプライチェーン,今つくっているものがだれのところに届くのか,そのルートが確立されない限りは,市場の相場に振り回されてしまうわけですね。これから抜け出そうということで,我々の,例えば外食向けに出している品目が10数品目ありますが,この価格に関しては1年じゅう同じ価格なのですね。いつつくっても同じです。そのかわり量もほぼ一定しています。ですので,生産者側はこれを安定的につくるためにはどうすればいいか。ですので,そのコストというのは,我々生産者も今よりも条件が悪いところに販売しようとは思っていませんので,まず売るか売らないかは,私の方でこういう品目がありますよと。大体これぐらいの価格でここで売れますよと,もっと安くほしいと,それは必ず生産者に伝えます。この価格と条件を出しますかと,仮にそのときの相場よりも安くても,1年じゅうこの値段で売れればもとがとれると,いわゆる年間を通しての再生産価格に見合うという判断がされたら,やられる方もいらっしゃいますし,プラスアルファの販売ができない限りは恐らく出荷はしないだろうなと思っていますので,そういう意味ではよりいい条件,これだったら出してもいいよという話で今の販売は実現しておりますので,損をしている生産者というのは恐らく一人もいないと思います。
37 ◯本澤委員 ここ茨城県は非常に大消費地の東京と近いものですから,農協などでもそういうきちんと生産履歴があるものをと,GAPとは違う形で,市場に大田市場などに出しているわけなのですよ。ところが実際有機野菜は,こだわり野菜ということでまた別なコーナーで扱う。あとは農協関係でまとまって出荷された野菜も,ちゃんと特別に見てもらっているようなのです。ところが,大田市場のもっと違うところに行くと野積み,たくさん任意農家から持ってこられたものが山になっていることがあると。最終的にはどうしてもそのものに足を引っ張られて,農協から出されたものだとか,こだわりはこだわりであるのかわかりませんけれども,なかなか価格が伸びないで,結果的には農協の出荷品もぐっと価格が下がってしまっているんですということが,ふだん私へいろいろな農家の方々から話があるものですから,そのこだわり商品としての価値が,数字的にはどれだけ懐に利益をもたらしているのかというとちょっとわからないという話ですが,その辺がどれぐらい伸びているかが今大切なことじゃないかなと思ってお聞きしているわけです。
ここは余りにも近過ぎて,任意の出荷業者が自由に売り場に入っているところもあるものですから,その確立,GAPがどれだけ認知されているのかなということが,ぜひ農家の収入など後でわかればと思いますので。
あと,今,会員が何人でしたか。
38
◯玉造参考人 36名です。
39 ◯本澤委員 36名が,会員から会員ヘの口伝えで入ってくるようにしていると言いますけれども,2年間でどのくらい会員が,ぜひそれに入った方がいいなという思いで入ってきているのかということも,やはりGAPのバロメーターになるんじゃないかと思いますけれども,どうですか,2年間でふえ方というのは。
40
◯玉造参考人 3年目にしてようやく基礎ができたと私たちは思っているのですが,最初の集まった40名というのは,実は考え方もいろいろな方がいらっしゃったわけですね。資材店のお客さんを中心に提案をさせていただいているので,期待している部分もそれぞれ違いますし,これが2年目のときには大幅な入れかえが発生しました。10名ぐらいがやめて,10数名が入会してくるということで,一つの,これは最初は創生期なのでやむを得ないことだと思いますが,2年目である程度の今の基礎ができて,3年目では足りない部分の生産者が入ってくる。
例えば今は野菜ばかりでなくて,ことしはお米の取り扱いもさせていただきました。米の業者の方々,大手の卸ですけれども,GAP認証をとったお米が欲しいと。野菜でやっているのでお米でもできないかと,茨城県にもお米を生産している方たくさんいらっしゃいますので,そこから生産者を芋づる式というか,つながりがあるところで集めていって,ことしはある程度の量の出荷ができたわけですけれども,3年目にしてようやく基礎ができたかなと,これから人数がふえていくかどうかというのは,生産者の満足度とはまた別な部分があるかもしれませんけれども,今,年間でもこのグループの売り上げが1億円ぐらいなのですね。ですので,今の潜在能力とすれば,恐らく20億円ぐらい売れる生産量を持っていますのて,当然規模を拡大するということを見込んだ上でですけれども,ですので,今は品目をふやすと,人数をふやすということではなくて,より規模拡大していただくことで伸ばせる販売量をいかにつくっていけるかということで,私の方は中心的に考えておりますが,もし足りない部分に関しては,例えばみず菜の生産者が数名しかいないと。ちょっと安定供給しないといけないわけなので人が足りないという場合には,その近所の方でもいいですし,こういうGAPに取り組めそうな人を紹介してもらって,その人にリスクを分配するという人のふやし方はあるかもしれませんけれども,あとは足りないアイテムに関して,ほかの生産者に加わっていただくというのはあるかもしれませんけれども,ここは何10人ということで,量的な拡大をしていこうと今は考えていない。むしろ質的な拡大をする時期かなとは考えています。
41 ◯本澤委員 会員の方々の3年間の経過の中で不平,不満,こうあってほしいという,
いばらき農産物流通研究会の中で,もっとこうありたいなみたいな不安みたいなものがあれば。
42
◯玉造参考人 そうですね,今一つあるのが規格外商品の取り扱いですね。いいものばかりができるわけではないので,上物,下物をどううまく売っていくかと。
事例としては,これは1年目のときから一つあったのですけれども,大きな,2L以上という大きさなのですけれども,ものになればビール瓶ぐらいの人参の規格を限定した外食のお客様がいらっしゃって,当然量販店に並ぶようなものをやっていてもそういうのが出てくるのですね。ある程度の場合は,時期によって,いい条件か悪い条件かわかりませんが,例えばそんな大きなものを市場に持ってきてしまうと,例えばキロ単価でも30円とか20円とか使いようがないわけですね。大き過ぎて。でもそれがほしいというお客さんがいるわけですね。ここでは80円に化けるわけです。こういうのがあるものですから,うちのサツマイモ,こんな小さなものもあるんだけれどもどうにかできないかと。
あとは,大きくなり過ぎてしまったコマツナがどうにかならないかということで,そういう,今どうしても量販店というといいところだけを欲しがりますよね。LサイズとかMサイズとか,ほかの部分をうまく販売先として確保してもらいたいというのが,一つの要望として上がってきてはおります。
43
◯加倉井委員長 山岡委員。
44 ◯山岡委員 きょうはせっかくお越しいただいたのですから,例えば県でこういうことをやってもらえたらいいとか何とか,そういうのがありましたらお聞かせください。
45
◯玉造参考人 そうですね,このGAPという点に関して申し上げますと,まだまだいろいろな場面で普及がしていないなということは感じます。これをやるかどうか,生産者が主体的に選んでやるべきだと思います。決してやらされるものではなくて,これはやるべきだとか,やりたくないけれどもやらなければいけないとか,というところで取り組むべきことだと思います。
ただ残念なことに,このGAPの中身というのがなかなか広がっていかない部分があると思うのですね。量販店もくしは消費者という方々に対しては,そういう物がなければ何の説明のしようがないわけですよ。ですので,まずは認証登録は別としても,事故の少ない産地づくりという意味では,安倍内閣のときにあった新農政2001の中では,あと何年後か忘れましたけれども,2,000産地にGAPを導入するということが上げられているわけですね。この中で,まずは正しいGAPの理解,もしくは情報を,いろいろなJAさんも含めて県内に広めていただきたいなという部分と,これをやろうと思っても,どうやったらいいのと困ってしまうわけですね。相談しても,だれもまだちょっと勉強中ですと答えられてしまっても,せっかく熱いうちに打たなければいけないので,JAさんの営農指導員でも構いませんし,普及員でも構いませんし,そういったところでやりたいという人,やらなければいけないという人に対して,そういう指導をしていただきたいなというのもありますよね。
私も今
ユニオンファームとして茨城県の法人協会に所属しておりますが,やはりそれぞれの法人の中には,取引先から認証を取得するように言われているところがたくさん出てきて,やりたくないとか,やりたいとか言っている場合ではなくて,やらなければいけないことが出てきますので,そういった部分である程度生産者への情報供給が必要なのかなと。
余りやりたくないですよ,手間かかるので,痛いところつかれたりとか,見られてほしくないところを表に出してしまうので,黙っておきたいところだけど,やはり今の状況で生産者がやらなければいけない局面だと思います。
46 ◯山岡委員 ありがとうございました。
それで,執行部にお伺いしたいのですけれども,農林水産部としては,このGAPというものに対してどういうふうに取り組んでいくおつもりなのか,まだ決まっているかどうかわからないのですけれども,考えをお聞かせいただければ。
47
◯加倉井委員長 大和田技監兼園芸流通課長。
48 ◯大和田農林水産部技監兼園芸流通課長 GAPの推進につきましては,この委員会でも暫時報告していると思います。
先ほど出ました全国で250と,そのうち茨城県では95農場がGAPをとっているということで,なかなか今,玉造さんが御説明いただきました,JA,役場で取り組めない産地もございますの,基礎的なGAPということで,今,営農支援センターとともども,いわゆる部会で,
JGAPまではできないけれども,もうちょっと安全に
取り組みたいということ,基礎的なところをきちんとまとめた中で今指導をしてございます。
できるだけ
JGAPという
取り組みもふやしていきたいと思っておりますので,普及員を対象にした研修会というものもやりまして,生産者から求められれば,そういうことも指導できるように,今,充実を図っているところでございます。
49
◯加倉井委員長 よろしいですか。
ほかにないですか。
ないですね。
それでは,以上をもちまして玉造様からの意見聴取を終了いたします。
玉造様には貴重な御意見をいただきまして,大変ありがとうございました。本日いただきました御意見等につきましては,今後の委員会審査の参考とさせていただきたいと存じます。本日は,まことにありがとうございました。
それでは,ここで暫時休憩をいたします。
なお再開は午後1時といたします。
午後0時0分休憩
───────────────────────────────
午後1時0分開議
50
◯加倉井委員長 休憩前に引き続き委員会を再開し,参考人の方から意見聴取を続行いたします。
本日2人目の参考人といたしまして,株式会社塚原牧場代表取締役の塚原昇様より御意見を伺いたいと思います。
塚原様におかれましては,
大変お忙しい中,本委員会のためにお運びをいただきまして,委員会を代表しまして心から御礼を申し上げます。
塚原様のプロフィールにつきましてはお手元に配付してありますが,現在,国内で約100頭前後しか飼育されていない梅山豚(メイシャントン)を生産出荷され,その品質の高さと希少性から「幻の豚肉」と呼ばれるほど,高い評価を得ております。また,エコフィードを取り入れるなど,環境にもこだわった独自の飼育にも取り組まれているとお伺いいたしております。
それでは,早速ですが,塚原様,よろしくお願いいたします。
51 ◯塚原参考人 御紹介いただきました塚原牧場代表の塚原でございます。きょうはこういった機会をいただきまして,大変光栄に思っております。40分ですけれども,よろしくお願いいたします。
今回のテーマの「安全・安心で付加価値の高い
農林水産物を提供していくための生産,販売,情報提供」ということですけれども,タイトルはやっぱり複雑ですので,梅山豚(メイシャントン)を私どもやらせていただいておりますので,その事例を紹介することで何かの御参考になればと思っておりまして,事例をまとめてきておりますので,ごらんいただければと思います。
スクリーンをぜひごらんください。
まず,私のプロフィールから,1966年生まれの41歳です。千葉大学を卒業しておりまして,日本合同ファイナンスという,今は株式会社ジャフコと名前は変わっておりますが,野村証券のファンドをやる部門でした。今ファンドは悪の象徴みたいになっておりまして,当時は平成元年でしたので,ファンドという言葉が皆さんよくわかっていらっしゃらないような時代でした。僕はファンドの走りのような人間の一人でして,当時も数人しか同僚がいないようなところで,野村グループの一員として
茨城県内にも大分お金を落としまして,一番私が担当した先で今伸びておりまして一番有名になっておりますのが,ライトオンさんというジーパン屋さんですね。あれが4店舗のときに,立川が本社だったのですが,つくば市に移りたいということで野村グループにお越しいただいて,私が4億円を入れまして,今は東証一部に上場しておりますが,大分サクセスしたというストーリーの一つです。エコスさんも当時私が担当しておりまして,まさか茨城に出ていらっしゃるとは思いませんでしたけれども,エコスさんも担当の一つでもあります。
そういうファンドといって,お金を入れて株主になって上場してもらうと。上場したらマーケットは上場した市場で売るという商売を5年間やっておりまして,金まみれのことを5年間やってきまして,5年で退社をしております。
そこで,もともと社長になりたかったのですね。何か会社を起こしたかった。父親がやっておりました豚肉の生産販売会社の子会社が「ACT21」という会社がありまして,ここが新規事業ということで梅山豚を販売するということをやっておりました。そこを私に売ってくれと,子会社だったんですけれども,で,半分の株を私が買い取りまして私が代表として戻ったというか,跡継ぎなのですけれども,結局子会社部門を買い取って社長になったというのが歴史です。
豚の生産に携わってみますと,豚はくさい,あと本当にハエとか,あとうるさいということで近隣の迷惑がありまして,しかももうからない,全然もうかりません。大赤字でした。梅山豚は全然売れませんでした。
何か社会的に貢献するものをやらなければいけないんじゃないかと,存在意義がないではないかということで,筑波大学を社会人入学で受験しまして,環境科学研究科ということで,リサイクル,今はエコフィードという名前になっていますが,当時は全然そんな名前ではありませんでして,リサイクル,捨てるようなもの,要らないものをえさにしようではないかという研究をやりました。それが畜産が存在できる意義だろうと,当時考えたのです。
それで私の論文で書いておりますのが,カゴメ六条麦茶の搾りかすですね,麦茶の搾りかすをえさにしようということで論文を書きまして修士をとっております。カゴメ六条麦茶は,当時カゴメ那須工場で全量燃やしていまして,年間4,000トンを燃やしていました。私が大学院のときにスタートしまして,今は全量えさになっているというものです。ですから,もともと私がカゴメ六条麦茶の,麦茶の搾りかすですよ,大麦ですけれども,北海道産大麦なのでいいものなのですが,いかんせんなかなかえさにする人がいなかった。それをやり遂げたということで,エコフィードのスタートがそこで切れています。大学院で勉強をしておりました。
2002年,これは忘れもしません。BSEが日本で発生した年です。牛は危険だということで,何か牛にかわるいい豚はないのかということで,みんな探した時代です。そのときに,全然売れなかった梅山豚が急に売れるようになりました。それまで,余って,余って,たたかれて,たたかれて,どこにも持っていきようがなかった梅山豚ですけれども,和牛にかわるものでいい豚肉がどこかにないかという問い合わせが殺到して,そのときから,今もそうですけれども,売り切れの状態が続いています。
そこで私も考えまして,ACT21という名前では豚肉屋ではないような気がするなと思って,エコフィードをやるにはいいのですけれども,リサイクルなどをやるには。で,会社を分けまして,塚原牧場という会社で販売をしようということで会社を分けております。